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3年戦争 伯都アントウェルペンの作戦会議 その5

伯爵様が自室に戻ってから作戦会議を開くエリオス君。

普通に戦っては勝ち目がない。

さっそく皆に相談するしかなった。



「伯爵様もご機嫌斜めだし、これからどうしようかな?」

「エリオス殿。ちゃーが御身の剣になりましょう」

「ちゃー殿。良いのですか?

 グリーヴィス公爵家と事を構えると後々領地奪還の時に問題になりませんか?」

「あの者達では領地奪還は無理じゃ。

 ちゃーには分かる。

 この国で南の異教徒共と戦える人材は限られておる」

「ありがとうございます。

 今はとても嬉しいです」

「軍の指揮はちゃーに任せよ」



 ちゃー様がいる。

軍司令官は任せられそうだ。

いざとなれば夜襲で活路を見出してもらう手もお願いするしかない。

この国では数少ない強力な武人であった。



「後は傭兵をとにかく集めて数を」

「それは俺に任せな。

 すでに募兵はかけてある。後は時間が必要だな」

「傭兵隊長ジェレール中佐」

「しかし勝たねば逃げ出す連中だ。金はあるんだろうな。

 勝つ打算は頼むぜ、青二才」

「ありがとうございます。

 金があれば戦争はなんとかなるのか・・・」



 先の戦いを見て態度が軟化しつつあるジェレール中佐。

この時代の主力は良くも悪くも傭兵である。

敵との兵力差は傭兵を雇って補うしかない。

問題は、兵を集めて鍛える時間である。戦闘中に逃亡されてはたまらない。



「で、どう戦うのじゃ。エリオスよ」

「・・・一応聞きますが僕らを助けてはくれないんですよね」

「無論。だが戦争ではなく商売の話なら聞いてやらん事もない」

「商売?」



 一人ウキウキのロザリーナお嬢様と気が滅入ったエリオス君が会話する。

一体このお嬢様は急に何を言い出すのだろうか、と訝しむ。



「商売とは?」

「うむ。妾が汝に売りつける。

 エリオスは買う。

 それだけじゃ」

「良く分かりません」

「察しの悪い奴じゃな。頭を使え」



 いかにも有頂天なロザリーナお嬢様を見ると切羽詰まっているエリオス君

はちょっとイラっとくる。こめかみに手を当てて、冷静になれと自念する。

魔王国から何が買えるか?何を買うと役に立つか?



「で何を売ってくれるのです?」

「逆じゃ。

 エリオス。汝は妾から何を買いたいのじゃ」

「・・・そういう話ですか」

「金で買えるものなら妾は何でも用意しようぞ」

「なる程、確かに商売ですね。

 ならお願いしたいものが沢山あります」

「まいどありじゃの」

「後でリストをお渡ししますので急ぎ便でお願いしたいです」

「新開発の蒸気船でただちに向かわせようぞ。

 ふふふ、それまでに負けるんじゃないわよ」



 魔王国から金で買えるもの。欲しいものは沢山あるだろう。

即戦力で役に立つものはそれほどない。

しかしこの時、エリオス君はあるものを思いついた。

それは戦力不足のこの状況にたいへん助かる物になった。



「作戦はやはり、ここは退きます」

「伯都は明け渡すのか?」

「伯都は一旦は我々の手で守り時間を稼ぎます。

 伯爵様は国境警備隊と合流して戦力化してもらいます。

 ジェレール中佐には傭兵をかき集めて頂きます。

 そしてあとは援軍のアテさえ付けば・・・」

「援軍は期待できるかどうか不透明ですぞ。エリオス殿。

 アテにせぬ事じゃ」

「ですよね・・・」



 基本的な考えを述べるエリオス君だがちゃー様に一蹴される。

援軍が来るかどうかは現在未定である。

負ければ足元をみられる。

しかし、ルガリーンの町の虐殺を快く思わない貴族はいた。

この時にはエリオス君はそれに気がついていない。



「我々は籠城します。

 報告では敵は籠城戦に十分な野戦砲を持ってきてはいません。

 野戦築城と榴弾砲で一旦敵を食い止めてから、

 夜襲で敵の補給路を絶ち、強襲します。

 援軍が来るまで時間を稼げれば、伯都を捨てて体制を立て直しします。

「夜襲なら、ちゃーに任せよ」

「今回の所はちゃー殿にお任せするしかありません」

「・・・苦しい戦いになりそうじゃの」



 エリオス君が説明する。

籠城戦と言っても長期間耐えられるものではない。

まず時間稼ぎが必要である。

ここで、敵が援軍を得てさらに強大になるのか?

伯爵軍が援軍を得て巻き返すのか?

かなり部の悪い作戦に思えた。

しかしこのまま飲み込まれる訳にはいかなかった。 



「所でエリ君。

 魔法使い隊にはどんな任務にゃ?」

「魔法使い隊には重要な任務がありますので、

 今回は伯爵様の護衛として逃れてもらいます。

 魔王国からブツが届いたら活躍してもらいます」

「???」



 筆頭魔法使いのアイヴィーリさんが首をかしげる。

この時点ではわからなかったが、魔法使いの任務はまだ先があった。

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