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ロザリーナお嬢様と軍事学の大学講義

 一旦、帰郷問題は皆様に報告して終わりを告げる。

王都でも大分ご迷惑をおかけしたみたいである。

申し訳ありません、

という所で普通の学生生活に戻る事になったエリオス君。


 今日の午後は選択教科で大学で軍事学の講義。

戦史研究の講義室内に入ろうとすると、

後ろの方の席で人がいない空間がありぽっかり空いている。

原因はシンプルでどこかのアルビノ美少女お嬢様が座っていて、

近寄り難いオーラが漂っている。

呆然と講義室の入り口で立っていると

一番うしろにいるメイドと執事がエリオス君にアイコンタクトしてくる。

ロザリーナお嬢様の隣に座れ、と指をさしている。

そんな事をしたら全校の噂になってしまうし、それ以上に怖い。

丁重に首を横に振ってアイコンタクトをする。仕方がない、講義はサボろう。

途端にメイドと執事の顔色が険しくなり殺意のオーラが漂ってきた。

良いから座れとアイコンタクト。


 ヤバイこの二人のあくま。

本当に逃げたらコロされる。

そして魔法を掛けられたのか後ろに足が動かない。

エリオス君は思いっきり勇気を込めてロザリーナお嬢様に近づく。



「少尉殿。お隣に座っても宜しいでしょうか」



 エリオス君は丁重に声を掛けると

ロザリーナお嬢様は一瞬こちらをちらっと見て嫌そうに、



「妾に近づかないで頂けます?」



 思いっきり拒否られる。

ホッとした思いでサッサとこの危険な空間から離れようとすると

後ろからガシッとメイドさんに腕を掴まれて動けなくなる。

もの凄くお怒りでいらっしゃる。怖くて動けなくなる。

この人達、絶対武術の達人ですよね・・・。

それを見てロザリーナお嬢様もため息をついて諦める。

で、隣に無理やり座らされるエリオス君。



「いったい何のつもりですか?

 イザベラ、ランベルト?」

「お嬢様にはもうちょっと世間の方々とコミュニケーションを

 学んで頂く必要があります。

 ちょうどここに年下で飛び級の神童がいるので

 彼の持つ知性を学んで頂きましょう。」

「・・・汝も本当に物好きね。イザベラ。

 フン。良いわ。座りなさい。」



 許可が出たのでホッとして座り直す。

引きつった顔色を可能な限りポーカーフェイスをエリオス君は試みつつ

・・・本当に怖いわ、この人達。

ロザリーナお嬢様は年下で飛び級という発言に反応していない。

気がついていないのかな?

また、こんな所で美少女の隣に座って噂になると、

後でニーナさんに何を言われる事か。



「汝は確か2週間位、学業を放棄して帰郷していたそうね。

 国家の支援を受けておきながら義務を果たす気はあるの?」

「少尉殿。家族と故郷の危機でした。SOSの手紙が届きました。

 若輩の身ですが、家族の為に出来る事をしたかった所存でございます」

「・・・フン」



 おおう、怖いコワイ。

ご機嫌斜めですね。

何故その事を知っている?と後ろの二人にアイコンタクトをすると

メイドさんが笑顔でウィンクしてきた。

くっ、お前か。と言葉を出さずに呟く。

仕方がないな、とエリオス君は心の中だけでため息をついて言う。



「国家の為という意見であれば、僕は必ず産業で国家に貢献してみせます。

 商業ギルドを通じて、既に賽は投げられました。

 いずれ超大国の魔王国に経済力で追い抜いてみせます」

「汝の大言壮語もそこまで行けば立派じゃな。

 まあ子供の言うことなど誰も聞く耳を持たないだろうが」

「ふふふ、少尉殿。

 我々を子供、野蛮人と見下していますと足を掬われますよ。

 かの古帝国も蛮族に滅ぼされています。

 蛮族は案外強いですよ」

「フン。汝がそうだと言いたいのか。

 蛮族は蛮族でも知性の無い方の蛮族じゃな。

 やはり子供じゃの」



 事実、前世でも昔に栄華を極めたローマ帝国は東ゴート族に滅ぼされている。

こういうインテリの相手には歴史上の名言や歴史的事実をかぶせて

語ると否定出来なくなって効果的である。

もちろん、相応に知識が無いと通じない事も珍しくないが。


 講師の講義が始まったのでそちらに注目する。

どこかで見たことあるな。

ああ、有名な戦いだ。


「この講義の戦いは、

 古代の包囲伏兵戦ですね。

 歴史上の伏兵戦術として有名です。

 敵を砦からおびき出す心理戦から既に勝負が決まっているかもしれません」

「まあ戦史としては有名じゃの。

 ・・・その歳で良く知ってるな。

 妾もこの将軍の様に見事に軍隊を操れるかどうか」



 伏兵戦と言えばハンニバルのトラシメヌス湖畔の戦いが有名である。 

徳川家康も三方ヶ原の戦いで武田信玄に浜松城から

引きずり出されて大敗している過去がある。

こういう心理戦は名将の実力であろうか。



「そう言えば汝は何故この講義にいる?妾と同じ飛び級か?

 ちなみに今は何歳なのじゃ?」

「少尉殿。ええと歳は10歳になったばかりで、王都に留学に来たばかりです」   

「・・・汝は妾より2歳も年下で、Dクラス特待生で

 かつ飛び級で、しかも大学生扱いとな」

「もし興味があれば後で教授と研究室で研究会がありますが、

 一緒に少尉殿も来られますか?勉強になりますよ」

「なんと、大学への飛び級だけじゃなくて研究員として既に

 配属されているのか。あの研究所に。

 汝はどれだけ天才なんじゃ」

「たまたま選抜試験の成績が良かっただけですよ」

「あんな無茶苦茶なテストが解けるか?

 あれは人を小馬鹿にしておる。あ奴ら教授の趣味だと聞いたぞ」



 エリオス君は一瞬考え込むが、例の入学テストを思い出した。

あ、あのマニアックな方のテストを受けたのね。お嬢様。

まあ僕は異世界転生のチートですけどね・・・、と。

この世界の知識レベルは正直低いもん。時代と教育レベルが違います。

スミマセン。あと歴史ネタ大好きです。お嬢様。

今回は再びロザリーナお嬢様。

軍人なので軍事学の講義に飛び級で参加しています。

しかし、友人が異国では少なそうです。

メイドさんの黒い策謀に落とされる

ロザリーナお嬢様とエリオス君でした。


史実のネタをそのまま被せていたのですが、

異世界という事で設定を変更しました。

申し訳ありません。

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