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グリーヴィス公爵 死去

 鐘がなっている。

弔いの鐘である。

ここに一つの時代が終わろうとしていた。

そして新たな時代の始まりを向かいていたのだった。



「父上・・・」



 ここはグリーヴィス公爵領城塞都市ローリッジ。

まだ異教徒戦争の傷跡が残ったままである外観が実に痛々しい。

しかし雰囲気が、戦後より重苦しい空気をまとったままである。



「これからは殿下がグリーヴィス公爵様であります。

 家臣一同、忠誠を公爵様に誓いまする」

「・・・よろしく頼む」



 グリーヴィス公爵は先の異教徒戦争で受けた傷が悪化。

一時期はローリッジに戻っていたがついに体調は戻らず亡くなった。


 そしてグリーヴィス公爵家は公子に相続される。

このロイスター王国を代表する大貴族として。

若き公爵としてその名を恐れられる事になる。



「悲しみに沈んでいてはなりません。

 まだ南の異教徒も健在。

 グリーヴィス領を狙っております」

「そうだな。

 ・・・異教徒か」

 


 実の所、南の異教徒との休戦条約はたったの3年である。

そしてグリーヴィス公爵が交代。

若造として侮られても不思議ではなかった。

当然、南から異教徒に狙われてもおかしくはない。

このグリーヴィス公爵家は安泰ではないのである。

ただちに軍備を整える必要があった。



「ところで妹のエリカはどこに行った?

 父上の危篤に戻らず一体どこで遊んでおるのだ。

 婚約者とも会いもしない。

 直ちに呼び寄せろ」

「ハッ」

「余は父上ほど甘くないぞ。

 己の義務も放棄して遊び呆けて。

 余に従え、と伝えろ」

「承知しました」



 エリカお嬢様はグリーヴィス公爵領に戻ってはいなかった。

グリーヴィス公爵の危篤は知っていたが、拘束されるのを恐れていたのだ。

幽閉されて、婚約者と強制的に結婚させられる。

そう思い込んでいたのだ。

そしてその判断が大きな過ちを生んでしまうのであった。



「エリカ姫様は、アナトハイム伯爵領にいらっしゃるかと」

「奴らの領地か。

 神の命に従わぬ魔王国と新教徒どもめ・・・」

「如何なされますか?公爵様」

「・・・」



 黙ったまま答えない新しいグリーヴィス公爵。

家臣の目からは一体公爵様が何を考えているのか分からなかった。

しかしその目は明確にアナトハイム伯爵領に向けられている様な気がしていた・・・

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