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高炉建築 初期流動指定 MP情報リストの見直し その2

 エリオス君の起案で全部署統合チームを結成する事にした。

新規開発品の高炉を製造移管するには技術者だけのリソースでは足りないと判断した。

また全ての部署にそれぞれ新しい仕事を覚えて欲しいという理由もある。

現実問題として、早く生産出来なければ事業として成立しない。



「という事で製造移管に向けて統合チームを作る事にしました。

 全部署が自責で協力して設備を立ち上げて、

 事業に貢献しましょう」

「しかし・・・エリオスさん。

 立ち上げは技術者で、ものづくりは製造で、

 品質は品質保証で・・・」

「そういう決まりきったカテゴリーで話すのは

 このチームでは不要です。

 皆で出来る事を皆でやる。

 まだ専門知識も十分ありませんし」

「実際何をすれば宜しいのですか?」



 統合チームはまず人材つまり人手リソース。

当然、現代の人から見たら統合チームを作るのが遅すぎるという批判はあるだろう。

しかし研究開発品からのスタートなので仕方がない反面もあった。



「最初にやるのはMP情報リストを作りましょう」

「MP情報とは何ですか?エリオスさん」

「不具合、トラブル、不良などなど。

 過去のそういう悪い情報を徹底的に集めてきて下さい。

 作業のやりにくさでも良いです。

 製造は生産、品質保証は品質、技術は条件や設備・・・何でも。

 作業者教育でもマニュアルでもなんでも」

「悪い話なら何でも良いんですか?」

「とにかく悪い沢山情報を集めてきて下さい。

 リーダーはラスティン先輩。情報の取りまとめをお願いします」



 関係者、そうでない人にも徹底して情報集めに専念してもらう事にしたエリオス君。

MP情報とはMaintenance Preventionの略である。

本来は新規設備を立ち上げる際の設計時点での不具合抽出が目的なのだが、

今回の高炉の立ち上げには問題はまだ山積みなので

そういう問題も出来るだけ沢山かき集める事にした。



「エリオスさん。

 取りまとめと言っても、どうしたら良いんですか?」

「まず集めてきた情報に日付と内容を紙に表にして書いてどんどん追加していきます」

「はあ」

「その後は昔コークス試験で事故した時にやりました

 4Mに内容を層別します」

「・・・4M?」

「覚えていますか?当然覚えていますよね。

 ラスティン先輩?」

「・・・勿論ですとも」



 かなり前の話なのですっかり忘れていそうなラスティン先輩に4Mに層別してもらう。

4MとはMan、Materials、Method、Machineの略である。

層別する事で問題を大きなカテゴリーで見る事が出来て、

さらに問題の過多を比較する事が出来る。



「・・・Method(方法)が多いですね。

 その次がMan(人)」

「どういう意味でしょうか?僕にはよく分かりません」

「作業のやり方が悪い、手順が悪い、プロセスが悪い。

 次に作業者のミス、つまり教育が悪い」

「・・・」

「重要な所から優先に対策してもらいます。

 まずは作業方法を誰でも出来る方法に作り直しましょう」

「手順書ですか?」

「うん。手順書と要領書ですね。

 後でQC工程表を作りましょう。ちょうどよいタイミングです」

「・・・QC工程表???」



 手順書と要領書は技術者総出で書き直しをお願いしている。

その中で製造から分かりにくい作業、やりにくい作業を出してもらう。

やりにくい作業とは例えば、道具なのか?設備なのか?条件なのか?環境なのか?

色々要因はあるだろう。

それは実際に作業をしてみなければわからないものもある。



「MP情報の表の後ろ側に何故発生したのか?の原因を予想して追記していきます」

「予想ですか?」

「予想です。

 原因が特定出来るまで作業者にヒヤリングして下さい」

「聞き込みですね。承知しました」

「どうしても分からなければ、代わりに実際に自分が作業してみて、

 気がついた内容をメモして下さい」

「・・・自分で体験してみなければ分からない、ですか」

「うーん。この項目は前に作ったFMEAにもあったな。対策していないな。

 人の伝聞よりも自分でやってみた方がより多くの事実に気がつくかもしれません」

「書類上では分かりませんですものね」



 こうして幹部や間接部門が総出で作業を実際に体験して、

その問題の内容が一体何であるかを全員参加で考えていく。

そうやって不具合の原因と対策案を考えていくのであった。

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