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宗教改革 騎士ジョナサンと宰相閣下 その8

「公爵様。お連れしました」

「よくやった。

 さて小僧。久しぶりだな。

 今更余の自己紹介は不要だな」

「・・・貴方様は」



 エリオス君の目の前には公爵様、

ギルバート・ステュワート。ウィントリン公爵。

つまり宰相閣下がいた。

この大展開にエリオス君は思考がついてこない。


 宰相閣下は顔をウィリエルさんの方に向けて

一瞥をしてから話かける。



「ふん、小坊主とアナトハイムの小僧共だな。

 確かウィリエルと言ったな。

 陛下相手にあの啖呵は見事だった。

 余も金の亡者と化した教会の連中は気に入らん」

「・・・宰相閣下」

「余の領地から金銭を搾取されるのは問題外だ。

 そしてお前を教会の連中に害されるのももったいなくなった。

 そういう事だ」

「・・・」



 あの傲慢な宰相閣下らしかぬ発言に驚くエリオス君とウィリエルさん。

外目では旧教徒である宰相閣下も内心は教会に不満があったのだろう。

これまた驚きの事実であった。


 当時、金銭を集める教会は意外と嫌われていた。

しかし手軽に魂の救いを求める人々はそれ以上に多かったのである。

全ての教会の派閥が贖宥状を販売していた訳ではない。

研究者や聖職者の中でも、清貧である神の教えに反すると反論もあったのも事実であった。



「教会の手の者が落ち着くまで一旦、その小坊主を余が預かろう。

 この国で余に歯向かう者などおらぬ」

「分かりました。宰相閣下」

「・・・それで、よろしいんですね?

 ウィリエルさん」

「ええ。ほとぼりが冷めましたら再び大学でお会いしましょう」



 エリオス君は一旦、本人の意思を尊重してウィリエルさんを

宰相閣下に預ける事に同意した。

いずれ伯爵領内の大学で再会する事になる。



「話はまとまったな。

 ならば小坊主。お前は「騎士ジョナサン」と名乗るが良い。

 教会の連中の目を欺くために騎士として余が保護する。

 良いな」

「・・・騎士」



  騎士待遇としてウィリエルさんは一旦公爵家に所属する。

騎士ジョナサンはのちに宰相閣下の領地で布教に貢献する事になるが

それは先の話であった。



「そうだな。

 小僧共。アナトハイム卿には余から連絡しておく。

 今日は泊まっていくが良い。

 執事よ。宴だ」

「承知しました。公爵様」



 そこにケンタウロス姉妹がやってくる。

良い白と黒のワンピースを着ており新教徒風の牧師スタイルである。

東の神聖王国は新教徒の国であるので、宰相閣下も

影響を受けているのかもしれない、と思ったエリオス君であった。



「あらあら。かわいい坊や。

 お久しぶね。以前の戦場以来ね」

「・・・エリツカヤさん、シュミットさん」

「お姉様。エリオス殿に失礼ですぞ」

「だって〜。こんなに可愛らしいんですもの」

「僕は男ですが」

「ちょっと、エリオス君は渡さないわよ」

「そうそう。このエリオスは妾のものじゃ」



 先の戦いで活躍したケンタウロス姉妹のエリツカヤさんとシュミット君と再会する。

この二人も戦場では相当の武人であった。

人間の頭脳と上半身、馬の下半身とスピードを持つケンタウロス姉妹は非常に強力である。

残念ながら弱点は体力が低いのとその体格を維持するために暴飲暴食するのが

長期戦に耐えられない体質なのが悩みであった。



「ふふん。

 余の領地から金の亡者の坊主どもを一掃してくれる。

 良い道具が手に入ったものだ。

 領内の布教を進めさせよう。

 せいぜい利用させてもらおうか」  

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