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第1回ジュリヴァ王国戦 ヴァルヴァー川沿いの戦い 軍議 その1

 エリオス君と仲間たちが伯爵様の館に向かう頃には、軍人が集まっていた。

直接援軍に向かった武官もいて数は少ない。

王都駐留部隊のコネット中佐、傭兵隊長ジェレール中佐、

筆頭魔法使いのアイヴィーリさんが来た。



「よく来た。

 事態は深刻な状況だ。

 直ちに軍議を始めよう」

「承知しました」

「まず戦況は…」



 伯爵様が戦況を説明し始める。

国境を突破したジュリヴァ王国軍に対し、国境守備隊のレイモンド大佐は

引きながら山間の砦まで撤退して集結する事に成功した。

王都までの街道の後方線を襲いかかれる位置にあるこの砦を

ジュリヴァ王国軍も無視出来ず包囲して睨み合いが続いていた。



「父上とアーシャネット大佐に後詰めに出てもらった。

 あの砦は要塞化して今は難攻不落。

 簡単には落ちないだろう」

「敵が奇襲による時間の利を捨てて砦を包囲し続けるとは思えません」

「そうだ。卿の言う通りだ。

 恐らく敵は軍を2つに別けてこの伯都と王都へと強襲するだろう。

 しかし余には敵の数がまだ分かっていない」

「中途半端な数では各個撃破されますな」



 伯爵様が頭を抱える。

敵の戦力が不明だと戦術が立てられない。

戦うべきか引くべきか。決断を求められていた。

もっとも放置していても領内が荒らされて住民に被害が出る。



「この子が例の王子様ですか?

 しかし何故伯爵様?」

「新教徒とはいえ差別せぬ。既知の関係でな。

 どうせ継承権剥奪と拘束は避けられないだろう」 

「・・・」



 ことの原因である小さな子ども王子を見てため息をつく一同。

トップの伯爵様のご判断であるから仕方がない。

しかしこの事は後日非常に大きな影響があった。



「伯爵様。ジュリヴァ王国から和平の手紙が来ています」

「和平だと?そちらから侵略しておいて。

 ・・・王子を帰国させて、漁港リヒハイト、

 鉱山セントハイム、キルテル村を割譲しろだと。

 降服勧告のつもりか?

 連中は余を舐めているのか」

「この時点の交渉はありえませんね」

「もはや一戦しかあるまい」


 この降服勧告文書は伯爵家の戦意を高める効果しか無かった。

戦争は避けられない。あとは如何にして勝つかしか無い。



「伯爵様。ご隠居様から急報。

 敵軍は1万2千が国際河川ヴァルヴァー川をつたってこちらへ南下しております」

「(その先には砂糖工場が・・・)」

「流石は父上だ。見事に敵を捕捉した」

「この城で籠城しますか?」

「いや野戦で迎え撃ち、食い止めて時間を稼ぐ。

 敵の侵入経路の先に塹壕を掘り防衛陣形を作れ。

 敵は必ず包囲殲滅を狙って食らいついてくるだろう」

「我が軍は寡兵で無謀です。伯爵様」

「余の近衛兵、卿の大砲戦術、ミルチャー卿の歩兵戦術があれば対抗できる。

 心配するな。余が自ら全軍の指揮を取る。

 卿を参謀長に任命するから勝つ作戦を立てろ」

「しかし・・・」



 伯爵様の指示はエリオス君にとって無謀だと思った。

しかし一旦食い止める事ができれば援軍を待って反撃は可能である。

であれば一撃を加える戦術を戦史から頂戴することにしようと

エリオス君は判断した。

大勝利は困難だが、一戦だけそして初戦だけ勝てれば

勝馬に乗りたい国内貴族が参戦して五分以上の状況を

作り出せるだろうと判断した。奇策でも何でも有りだ。



「ではこうしましょう、伯爵様」

「卿は余よりもはるかに冒険家であるな・・・」



 こうしてヴァルヴァー川沿いの戦いが始まることになった。

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