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期末試験結果と大学卒業、新学期

 帰国早々に学術報告会がある。

卒業論文と期末テスト結果の季節であった。

単位を習得し、卒業論文の認定を貰えば大学卒業いわゆる学位が取得出来る。


 エリオス君は「鋼鉄の大型化量産技術確立」という学術論文を発表しており

これがロイスター王国内で高く評価されおり学位を取得した。

わずか14歳になったばかりであった。

そして次の年度から日本であれば中学3年生に相当する。

しかしエリオス君は教授と伯爵様の要請により研究を続ける事になり

これからも大学に残り続けて博士号を取得する事にしている。



「今年の学術報告会は盛り上がりましたね」

「いや、アンタの論文の方がはるかに凄いわ」

「ニーナさんも大学生なんだからどんどん論文を書いて良いですよ」

「・・・この男は。自分が規格外だからってよりによってそんな発言を」

「そんなに怒らないで下さいよ。ニーナさん」


「大学に入ったばかりの1年生に最先端の論文を書けと?

 まだ基礎講座も学んでいる最中に?

 とてもひどい事を言うわね。

 この鬼畜男が・・・」

「ま、まあ怒らないで下さい。ハイお土産」

「もう、アンタには慣れたわ。

 アタシ以外にそんな事を言わないことね」 



 すっかり怒ってしまったニーナさんをなだめるエリオス君。

しかし大学1年生に論文を書けは流石に無理かな?と思った。

学術は長年の知識と経験の集大成であり、初学者が簡単に対抗できるものではない。

それは新しい職業、職場、会社、分野に移った時も同じである。

エリオス君はすっかり忘れていた。

本人の賢さだけでは研究者は成り立たないのだと。



「そう言えば、成績発表がありましたね」

「付属学校のね。

 大学生はテストで結果が決まらないから、

 アタシには良く分からないけど」

「論文数と評価結果は公開されていますね。

 取得単位数もそのうち出てくるでしょうか?」

「まあ、大学生はそんな所ね」


 そして今年も成績発表の季節である。

付属学校の方は成績上位者が飛び級などでいなくなったので混戦である。

ウィントリン公爵家の次男のヴィクター様が1位であった。

また伯爵様の長男のアーヴィン様も5位と健闘している。

エルン君も6位と上位に残ってる。

その後に、グリーヴィス公爵家の二人姉妹がランクイン。

双子エルフの成績も少しづつ上がっている。



 大学生の方は単位認定制度のため、直接的な順位が出てこないが

論文提出件数と評価点は圧倒的にエリオス君がトップであった。

特に理工学軍事に飛び抜けていた。

そしてニーナさんとエリカお嬢様がツッコミを入れる。



「アンタの論文数と評価点には誰も勝てないわね。

 いつ論文を書いているのよ?

 相変わらず何処からその知識を得ているのか…」

「現代知識を使うこの卑怯者め…」

「いやエリカお嬢様。

 貴方も立場は同じ大学生のはず…

 むしろ論文をどんどん書いて下さい」

「ふっ、人生は学業だけでは無いのよ。

 論文なぞ大学1年生に要求するレベルの内容ではありません事よ」


「エリカ…

 そんな事ばかり言ってると馬鹿娘と呼ばれるぞ。

 公爵家で。そしてまたグリーヴィス公子に怒られるぞ」

「…どこの大学で大学1年生に論文を要求するのよ!

 それに貴方の論文はどんな内容かしら?

 ロザリーナさん?」

「妾の論文は魔王国に送っておるのでの。

 それもこの前の異教徒戦争の内容じゃ」

「あれは沢山論文を書きましたね。

 学ぶ所が沢山ありました」

「・・・私は参戦していないわよ」



 今年は戦争をテーマにした軍事学の論文がエリオス君周辺では増えていた。

もちろん、理工学の内容も進んでいる。

これだけ差をつけられるとグリーヴィス公子も比較されて辛いであろう。


 結局、論文を書く秘訣は何であろうか?と考えると

やはり毎日真剣にデータを残し続ける事であろうかと思ったエリオス君。

日々、実験やデータをとって記録し続ける事で、 

後で重要な結果に結びつける事になる。

毎日地味に活動し続ける事が重要だろうと。

そういう差が出ている事に気づいている人は少ないのだ。



「フン。

 愚民どもが、此方の下で騒いでいるわね」

「出たわね。東洋お人形姫」

「久しぶりのご登場よね」

「雹華お嬢様もお元気そうで」

「確かに論文数では負けているが、此方もまだ1年生。

 先は長いわ」

「・・・エリオス君は既に大学卒業なんですけどね。アタシ達と違って」

「本当に非常識な奴じゃ。エリオスは」



「そう言えばエリオス君は大学卒業した後はどうするのよ?

 まだ14歳でしょう」

「一応大学に残って研究を続ける事になっています。

 教授と伯爵様の要請ですが・・・」

「当面、大学にいるわけね」

「伯爵様から、大学を卒業したらアナトハイム領に大学を作ろう、と

 要請されています」

「ロイスター王立大学はエリオス君が商売敵になるのね。

 それは恐ろしい話だわ。

 内緒にしておきなさい」

「・・・そうしておきます」



「研究者と経営者。

 どちらを重視するの?」

「まだどちらも引き継ぎ出来ませんね。

 後継者不足です」

「アンタはまだ14歳でしょ?

 アタシと同じじゃないの。

 後継者なんてオッサン臭い事をいわないの」

「時間は平等なので、どんどん任せていかないとですね・・・

 属人化は敵です」

「また訳の分からない事を言って・・・」



 エリオス君は実は悩んでいたが、

製造業はまだ道半ばなので技術開発も重要であった。

そして自らが産業資本家になって、他国と競争する未来があった。

まだ製鉄業も成立していない、

しっかり未来を見据えていかなくてはならない。

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