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魔王国へ留学⑲ 魔王国の競馬産業とリオネアスさん

 今日は魔王国のイベントに連れて行ってもらう。

どうやら大きいイベントがあるらしい。

ウキウキするマルゲリーアお嬢様とそれを横目からジト目で眺める

真面目なロザリーナお嬢様。

一体、何であろうかと首をかしげる一同。



「お姉さまお姉さまお姉さま、お姉さまってば。行きましょうよ」

「・・・この好き者の妹が。

 まあよい。今日は皆に競馬を紹介してやろうぞ」

「それは何ですか?」

「うむ、ニールよ。

 競馬とは馬を競い合わせるレースじゃ」

「うふふ、楽しみですわ。

 今回は勝つわよ」

「・・・競馬ですか」

「あったのね。この時代に。競馬が。

 そちらの方が驚きだわ」



 ロザリーナお嬢様の発言に違う意味で驚くエリオス君とエリカお嬢様。

もちろん、ニールさんは競馬を知らない。

そして意味を説明されてため息をつく一同。

魔王国では既にギャンブルとして確立している様子であった。

そして一同はジト目で再びマルゲリーアお嬢様を見つめ直すのである。


 競馬発祥の国のイギリスでは1540年にチェスター競馬場が

世界初の競馬場として建設されて以来、競走馬として進化してきた。

当時は王族貴族のステータスであったが、 次第に民間の資本家にも

入っていって金持ちのステータスになる。


 しかし競馬がブックメーカーによるギャンブルとして成立したのは

1790年代のニューマーケット競馬場でハリー・オグデンが始めてからである。

実に近代の話であった。

しかもこの時はまだ公営ギャンブルとしては成立していない。

民間の賭け事としてどんどん競馬が進歩していく。


 そして、競馬場に着く一行。

意外にも立派な競技場と芝があり先進的な競馬場に驚くエリオス君。

一体、どれほどの資本が投下されているのか、

その人気に心の中で驚くのであった。

それはエリカお嬢様も同じである。



「凄い競馬場よね」

「驚きました。本格的です」

「妾から見たらギャンブル好きな国民性にうんざりするがの」

「エリオスさん。試しに馬券を買ってみましょう。

 日記への良いネタになります」

「まあ良いですけど、ハマらないで下さいね。ニールさん」



 と言いながらブックメーカーが裏で運営する馬券を買う。

既に国家から黙認されている状態であるかもしれない。

法律がゆるい時代なのと、課税対象として

まだギャンブルの取締が無い時代なので裏ではやりたい放題である。



「勝ったわ。〜♪」

「全く、この妹は。ギャンブル好きなのは」

「あらお姉さま。競馬は良質な競走馬と

 その産業育成は陸軍の強化にも役に立つのですわ]

「・・・それは本当なのか、エリオス?」

「何故、外国人の僕にそれを聞いてくるのですか?

 ロザリーナお嬢様」



 という事で軍事と競馬の関係について説明しだす妹様。 

移動や運搬など広く馬が使われて飼われている時代では、

当然数と質を追求する流れになるのは自然の成り行きである。

鉄道や自動車に完全に置き換わるまでは、

馬を広く育成する文化と産業は時代から求められていたのである。



「〜という背景でしょうか?」

「まあ間違っていないわね。どこでその知識を学んだの?

 エリオスさん」

「レースの起源は古代からありますので」

「・・・まあ良いわ。

 そういう話でね。お姉さま。

 競馬は軍事目的としても陸軍の強化の理にかなっているのですわ」

「戦争の時は大量の馬が必要になりますので

 競馬どころでは無いかもしれません。

 もちろん大量に徴用して全力で戦闘に参加させます」

「話は一応理解したがエリオス、

 どうやって競馬に勝つのじゃ?」

「・・・競馬は実績とコンディションと血統など

 情報が支配するレースでもありますので。

 素人がカンだけで勝負するのはあまりにも危険です。

 馬も人間と同じ様に得手不得手と体調がありますから」

「高度なゲームなのじゃな・・・」



 競馬を楽しみながら雑談をする一同であった。

ふと見ると、馬以外の人がレースに混ざっている。

目の錯覚かと思ったがそうでは無いらしい。



「あの人は一体?」

「あの人はケンタウロス族のリオネアスさんですわ。

 ケンタウロスランナーとして非常に有名な方です。

 打倒競走馬を目指して日々参戦されていますわ」

「人の胴体部分が重くて不利なのに走る方に参加するとは・・・」

「なんて物好きな方ね・・・」

「こちらに手を振っているわね」

「ふふふ。リオネアスさん。

 勝ちなさいよ。

 今日のディナーは豪華になりますわ」 

「知り合いですか。お姫様」

「全く、このギャンブル好きな妹は」



 応援に力が入るマルゲリーアお嬢様を横目に、

再び思考に入るエリオス君。

この競馬の文化の育成には経済力が必要であるが、

陸軍の強化に役に立つのでロイスター王国にも導入しようと思った。

ギャンブルは旧教徒の文化には合わないと思われがちであるがそうではない。

神様からギャンブルは否定されていないのであった。

実際は規制されながらもゆるく運営されている様子である。

伯爵様に相談してなし崩し的に競馬を取り入れようと思った。

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