表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
350/450

魔王国へ留学⑮ ベネヴィア大学の話と近代化

 朝食を食べたらべネヴィア大学に向かう事にするエリオス君。

もちろん、ロザリーナお嬢様やマルゲリーアお嬢様も一緒である。

当然であるが、この二人と護衛の執事さんメイドさんがいると

とても人の目を引くのである。目立ちすぎる。

エリオス君はロイスター王国にいる時は外国人だから目立つ

と思っていたが、魔王国では有名人でよりいっそう目立つので困ると思った。


「通りゆく人々がすべてこちらを見てきます。

 凄く目立ってますね」

「まあ妾たちは顔が知られているからの」

「そうですわよ。

 お姉さまは暴虐で、ワタクシはおしとやかで有名ですから」

「誰が暴虐じゃ。マルゲリーア。

 この姉の目をしっかり見ながらもう一度言ってみるがよい」 

「お、お姉さま。暴力は反対ですわよ」


 仲が悪そうで良い姉妹が文句を言い合う。 

もはやこの姫君にツッコミを入れる気力すらないエリオス君。 

早く仕事を終わらせてのんびりしたい気分である。


 そんな会話をしながら、大きな大学の建屋に入る。

館というよりまるでお城である。古くからある建物だろうか。

古来からある高い城壁と歴史的建造物が一層と雰囲気を出している。

そして壮大な教会。

確かに数百年はたっていそうな大学である。

またあちこちに増築したあとも見られた。

時代に合わせて、学生が増えたのだろうか?


「ここがベネディア大学ですわ。

 一般教養と専門学科に分かれていてそれぞれが

 分担して学生の教育を行うの。

 歴代の魔王陛下をはじめとして多数の偉人を生み出した大学よ」

「なるほど。

 確かに歴史のある立派な建物ですね」

「専門学科は神学と法学と医学が主体ですわ。

 他は一般教養の先生がそれぞれ自分のテーマを持っているの」

「軍事関係は?」

「軍事関係はあくまで軍の管轄下じゃ。

 ロイスター王国の様に大学が口を出す状況ではないの」

「・・・あくまで研究者有志と軍隊内の研究ですか」

 

 独特な大学制度であった。

神学は宗教問題、法学は近代への法律制定、医学は健康と安全。

など重要となる視点が現代社会とやや異なる。


 現代人から見ると、文系のそしてより人間的な所を重視している様にも思えた。

それは階級社会の伝統が残っているのか?宗教観によるものか?



「不思議な構造ですね。非常に興味深いです」

「ニールさんもそう思いますか?」

「そうですね。

 確かに歴史深そうです。

 しかしそれがこの最新技術の先進国の根底につながっているかは、 

 僕にはまだ分かりません」

「・・・なかなか鋭い所をついてきますね。ニールさん」


 ニールさんの何気のない発言にドキっとするエリオス君。

大学がいかに優れていたとしても科学技術に繋がっているようには見えなかった。

科学技術は民間の研究者と資本家候補に依存しているようにも思えた。

貴族は政治家や軍人が多く、あまり興味がないのだろう。


「もともと大学は貴族の子弟への教育が目的だったのですが、

 社会が大きく激変しています。 

 魔王陛下が進める政党制度や民事制度に

 法律が追いついていないのです」

「法律の隙間のグレーゾーンが多いという事ですかね?」

「そうです。法学は、

 法律や司法を一生懸命研究して提案している所です」

「(近代化も簡単には出来ないんだな・・・)」

「法律関係者の必要が大きくなっています」

「あながち社会に与える影響は小さくないという事ですね?」

「そうです。

 知識階級を育てるのはやはり大学か教会か軍になりますね」



「そして新しい制度に法律を整備して新しい国を作り上げるのです」

「素晴らしい話ですね」

「そうじゃ。エリオス。それが魔王国じゃ」

「エリオスさん。

 魔王国は宗教の内戦を超えて、新しい国を作る魔王陛下と政党を

 選挙と国民が選んで歩む事に決めたのです。

 そのための人材を育成するのです」

「・・・我が国からしたらはるか先の話ですね。

 近代への道か・・・」

「はたしてどんな国なんでしょうかね。エリオス様」

「ちゃーには想像すら出来ん」

「良いか悪いかどうかは神様のみぞ知るってね。エリオス君」

「このエリカお嬢様は・・・」



 未来を目指して語る魔王国と、

封建社会のロイスター王国と異世界人。

それぞれに視点が違うのであるが、この時にはまだ気づいていない。



「あれは姫様たちだ」

「凄い偶然だ」

「大学にいらっしゃるなんて」


 と学生に囲まれる一同。

ロザリーナお嬢様とマルゲリーアお嬢様は凄い人気である。

そうここは異国の地。

キルテル村を懐かしむエリオス君であった。

本小説を読んで頂き誠にありがとうございます。

ちょっと話が難しくてネタにつまりましたが、世界を歩む魔王国と異世界人。

よろしければブックマークと評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ