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ジェニー紡績機の増設と改良

幸いにも盗賊に出会うことは無かった。

急いでキルテル村に戻ると予想以上に不景気な事態になっていた。

事態をお父様にお聞きする。


「おかえり。

 わざわざ帰ってきてきたのか。

 学業の方は大丈夫か、エリオス。」

「お母さんは可愛いエリオスちゃんが帰ってきて嬉しい。

 もう王都に帰らなくても良いのよ。すりすり。」


お父様、SOSの手紙を書いてきたの貴方ですよね。

お母様、スキンシップは程々にしないと息子が自立できませんよ。


「・・・景気が悪くなるかもしれないと思っていたのですが、

 そんなにこの村まで影響がありましたか。」

「何しろ、糸の原材料が高騰して手に入らないのだ。

 あの、飛び杼は優れた製品だったがまさか

 ここまで壊滅的な影響が出るとは思わなかった。」


本来喜ばしい事態を想定していたが、

まず人員リストラと原料高騰により失業者が増大。

村の副業収入が激減して生活難に陥っていました。

実は沢山の人が織物をして副業をしていた様です。

特に冬場とか。

まさか雇用を確保する手段を用意しないといけないとは。

産業革命は恐ろしいですな。


「お父様、お母様。今直ぐ糸車を改良して増設しましょう。

 当面、店を閉めて下さい。

 あと追加の部品を発注してきて下さい。

 部品の数は沢山必要です。」

「分かった。

 頼んでくる。

 後に必要なことはあるか?」

「後で説明しますが、

 設備を増やしたら工員が必要です。

 情報秘匿に信頼できる人を複数名検討して下さい。」

「・・・確かに。

 もはや家族経営は困難な規模になるかもしれない。

 調査しよう。」

「ありがとうございます。お父様。」


と言って今ある紡績機をバラして改造する。

ジェームズ・ハーグリーブスが設計した本来のジェニー紡績機は

16連の糸車を並列して製造が可能である。

つまり古典的な糸車の16倍の生産量を1人で作れるのである。

ハーグリーブスはこのジェニー紡績機を

横倒しになった糸車がいつまでもグルグル回って糸を紡ぎ続ける所から

発想を得たのだと言う。糸車が横倒しになると紡錘が垂直に動作するので

複数の糸車を同時に動かすことが可能になった。


実はイギリスでは後続の改良型の紡績機よりこのジェニー紡績機が普及した。

理由は構造が簡単でサイズが小さく置き場に困らず、

かつ個人で買えるほど安かったからである。

コスト面はともかく、もちろん人員が余っていたという背景もある。

ハーグリーブスのジェニー紡績機は1人あたりの生産性が70倍にもなったと記録がある。

実際イギリスでは1788年までに2万70台のジェニー紡績機が可動していたらしい。


当初の予定を変更してジェニー紡績機の数を増やす。

この安く作れる設備はキルテル村の資本の少ない事情にも導入が可能であった。

休学期間を利用して家族総出で組み立て作業を行う。

これでキルテル村の生産性が飛躍的に上がるだろうと想定する。


「チェリーちゃんが泣いていたぞ。

 この女泣かせ。

 ちゃんと会いに行ってあげなさい。」


お父様とお母様が言う。

う、実はその後の事態は想定出来るから行きたくないんです。

多分、仕事にならなくなるから。

どうせバレたら向こうから押しかけて来るでしょう。

今は仕事を優先してそのうちそのうち。

当然、女心を理解しないエリオス君宅は後日大騒ぎになるのであった。

材料不足を原因に雇用が激減して貧窮しているキルテル村。

エリオス君は急ぎジェニー紡績機を組み立て始めます。

実はジェニー紡績機の良さは生産性だけでなく、

簡単な構造で設備が安く省スペースだったので

大量に増産が出来たと記録にありました。

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