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魔王国へ留学③ 魔王国へ出発。王都〜漁港リトハイム村

 エリオス君は早速ちゃー様とニールさんを誘って快諾をもらう。

案外断られるかと思ったら、今はそれほど仕事が忙しくないという話であった。

それよりも魔王国への好奇心が強かったのであろう。

そして、エリカお嬢様よりグリーヴィス公爵家からコックとして

ジェミリールさんを紹介して頂いた。まだ18歳の若手シェフさんであった。

という事で、一同は留学生として魔王国へ向かう事になった。


「全員揃ったわね」

「では魔王国に出発しましょう」

「…エリオス君。

 アタシの事忘れないでね?」

「大げさですよ。ニーナさん。

 すぐに帰ってきますから」

「グスグス」


 エリオス君は人生の別れみたいな顔をするニーナさんをなだめつつ、

少数のメンバーで魔王国に出発する事になった。

とは言え数ヶ月後には戻ってくる予定なので長期の旅ではない。


 ロイスター王国から魔王国までは、以前は陸路を長々と移動したのであるが、

最近は漁村リヒハイト村から貿易船が出ており、約10日間の船旅である。

距離にして1,000km前後であろうか。

直線距離であれば、東京から福岡や函館までの距離だろう。

各自が余裕を持って食料を確保し、船旅を満喫する。


 王都から魚村リヒハイト村までは川を小船で下り移動する。

以前と違い、伯爵様の開発プランで川沿いの道路や宿場町が整備されるようになって、

大量輸送が可能になった。

物流が加速すると、人の行き来も多くなり雇用が増加する。

もはや伯爵領は単なるど田舎では無くなっていたのだ。


「久しぶりのリヒハイト村だ」

「ここも立派になりましたね。エリオス様」

「そうね。私達が以前海賊と戦った頃は本当に何もなかったわね」


 漁村リヒハイト村に到着した時にエリオス君と双子エルフがその変わり様にため息をつく。

以前はしがない漁村であったが、現在は貿易港として徐々に拡張が進められている。

船着き場、倉庫、宿泊地などなど整備が進んでいる。

ここも将来、伯爵領最大の貿易港になるだろう。

海軍も常駐しきっと大規模な都市に生まれ変わるはずだ。


「やあ、エリオス君。

 もといエリオス少佐」

「これはデュルバー卜先輩。

 お久しぶりです」

「エリオス君もね。

 いつのまにかどんどん出世して」

「南の異教徒との大戦争の影響です。

 それにしてもこのリヒハイト村は凄く発展しましたね」

「先見の明があったという事だ。凄いだろう」


 海軍担当のデュルバー卜先輩に挨拶するエリオス君。

まだまともな海軍は無いが、村の拡張は確実に進んでいる。

表には出てきていないが、このデュルバー卜先輩の貢献があったのだろう。


「あれが我ら魔王国の貿易船と護衛艦隊じゃ」

「前にも見ましたが凄い軍船ですね」

「そうじゃろう。

 ここの所、最強であろう」


 ロザリーナお嬢様が胸をはって言う。

巨大な軍船である。それほどの軍事力を常備している。

しかし、逆から考えればそれだけ襲われる状況であろうとエリオス君は思った。


 魔王国の護衛艦隊と貿易船が港を往復しており、

軍事力によって交易の安全がなんとか保たれている状態である。

その魔王国の圧倒的な海軍力は他の周辺諸国ではまともに対抗出来ない。

正面から対抗出来なければ、非正規戦になるのであろうか?


「しかし時々、海賊が襲ってくるでの。

 魔王国の国旗を見れば普通は逃げるものじゃが、

 まだまだ阿呆は多くて、護衛艦隊が返り討ちじゃ」

「…海賊ですか?」

「うむ。

 海上貿易が盛んになるにつれて海賊が増えているの。

 金銀、香辛料、砂糖、茶、絹織物…

 奴らから見ても高価な宝物だらけであろうな」

「…ちょうどそういう時代か」

「果たして本当に海賊なのか疑わしい連中もおる。

 特に南の海は。他国の正規軍が海賊のフリをしておる噂もある。

 いずれ殲滅してみせるがの」


 史実では大航海時代から18世紀にまでかけて海賊行為が盛んになる。

新大陸からの金銀や東アジアからの香辛料などの輸送の影響であった。

時には国家が海賊行為を推奨していた時代もあった。

近世初期に海賊の黄金時代と呼ばれる時代があり

最終的には国家の軍事力で殲滅されていくのではあった。

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