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公爵家グリーヴィス卿と魔王国のお嬢様

軍事教練から帰って学校内に戻る時に

貴族とDクラスのエルン君がもめているのが見える。

グリーヴィス公爵の息子とぶつかったらしい。


「無礼者。平民如きがこのグリーヴィス公爵にぶつかってくるとは。

 成敗してくれる。」


銀髪、長身の絵に書いた様なイケメン貴族である。

しかも超エリート。

事態はまさに一触即発。


「申し訳ありません。グリーヴィス卿。

 私はDクラスの委員長です。

 彼をお許し願えないでしょうか。」

「平民の分際でグリーヴィス公爵家に意見するか。

 下郎が。」


エルン君を守る様に委員長のニーナさんが間に入る。

委員長のニーナさんが平伏して懇願するが聞き入れてもらえなさそう。

正義感だけで猪突猛進している。危険だ。

チッ。

マズイな。

このままでは流血沙汰にもなりかねない。

助けに行こうとしたその瞬間に後ろから声がかかる。 


「止めなさい。

 守るべき民に刃を向けるとはどういう道理ですか。

 この国の貴族は恥を知りませんの?」


声を掛けた相手を見ると、魔王国のお嬢様が

堂々とした態度でグリーヴィス卿に宣言する。


「くっ。魔王国の小娘か。

 フン。まあ良い。平民如き見逃してやる。

 貴様ら。二度と余の前に姿を見せるな!」


そう言うとグリーヴィス卿は王侯貴族の校舎に入っていった。

姿が見えなくなって、ホッとする。

後ろを振り返ってお礼を言おうと見ると、

軍服を着た魔族のお嬢様が凛とした顔でグリーヴィス卿のいた方向を睨んでいた。

豪奢な白髪と青い目、透き通る白い肌の美少女。アルビノ。

一瞬、その神々しいオーラに圧倒される。

まるで女神メサ様である。

このお嬢様、まさか神々の一族か・・・?


「これは魔王国の将校殿。

 助けて頂き誠に感謝申し上げます。」


エリオスは深々と頭を下げてお礼を言う。

見た所、軍人らしいので敬意を込めてそちらでお呼びする。

 

「将校殿・・・。そ、そうよ。 

 妾は魔王軍の少尉ですわ。 

 この国の貴族は平民を人とは思わぬ扱いをする恥知らずですわね。」


魔王軍のお嬢様は少し驚いた顔して興味深くこちらを見てくる。

少尉か・・・。

見た所、年齢は12歳くらいだろうか。まだ子供である。

少尉と言えば軍士官学校を卒業して、実務経験を経て

陸軍なら小隊長として配属された人材のはず。

この時代の我が国や魔王軍に限らず。

この歳で少尉は若すぎるのではないか。何か事情がありそうだ。

幼年の頃から軍士官学校に入れられたとしか思えない。


「大変お恥ずかしい所をお見せしました。少尉殿。」

「少尉殿・・・。フフフ。

 しかし貴方がたもあんな恥知らずの貴族共に平伏して、

 恥ずかしくないのかしら?」

「申し訳ありません。お返しする言葉もございません。」 


お礼を言ったつもりだったが、

キツイ返信を返してくる。

仕方がないじゃないか・・・。相手は公爵家。

王族外戚だぞ。

こんな所で喧嘩をする訳にもいかないだろう。

しかし、本当に助けられたのは事実。

あのままだとエルン君とニーナさんがどうなったか分からない。


「ロザリーナお嬢様、如何なされましたか。」

「なんでもないわ。」


後ろから魔王国の執事とメイドらしき方々がやってくる。

お嬢様という事は魔王国の貴族だろうか?


「妾はこの国の貴族がここにいる平民達を成敗しようとしていたので

 止めたのです。

 全くこの国の貴族は野蛮人共ですわ。

 恥というものを知らないのでしょうか。」

「お嬢様、ここは魔王国ではありません。

 何卒自重願います。」

「妾の国では、貴族は社会の模範となるように振る舞わなくてはなりません。

 あの様な親の権力を盾にした様な貴族の子弟など許せません。」

「それは我が国の不文律でございます。

 他国に通じるものではありません。

 自重して下さいます様、宜しくお願い申し上げます。」


ロザリーナお嬢様とメイドさんがやり取りする。

そう言えば魔王国はこの国よりはるかに先進国で超大国だと

言う噂を聞いている。

実際には見たことが無かったが、このロザリーナお嬢様の態度を

見ている限りにおいてはかなり文明度に違いがあるなと思った。

これがエリオスが初めて目にする魔王国民であり、

そして将来に大きな影響する運命の出会いであった。

この時はその様な事になるとは夢にも思っていなかった。

今回は公爵家グリーヴィス卿と魔王国のロザリーナお嬢様が初登場します。

この2人は将来に大きな禍根を残します。

片方は帝国貴族として、もう片方は魔王国として。

運命の出会いとなるイベントです。

物語のヒロインの登場です。

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