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店舗リバティー・マーケットとマーケティング論⑥ 競合分析、靴下ギルド

 皆にアンケートのお願いをして、情報共有に回ってもらう。

今日は実地訓練も兼ねてマーケティングの勉強をしてもらう。

もちろん後で、お菓子会である。


「じゃあ皆さん、夕方までアンケート調査をお願いします。

 出来るだけ沢山の協力とお店の宣伝をお願いします」

「アンケートは私は参加しないわよ。

 従業員じゃないし」

「まあまあ、エリカお嬢様には買い物に付き合ってもらいます」

「ナニナニ。デートのお誘い?

 私を誘うとはエリオス君もやるわね」

「・・・まあ、建前上でそういう事にしておきましょう」


 エリカお嬢様を誘って買い物に出かける。

当然ターゲットはアレである。

靴下ギルドの最新型である。

当然、グリーヴィス公爵家の顔なら、怪しまれない。十分であろう。


「じゃあ靴下ギルドに行きましょう」

「・・・なんでよ?」

「最新型の靴下を買いに行くのです」

「で、私を当て馬にして結局靴下を買いにいくのね?

 デートでしょうね?」

「ええと、僕はお嬢様の従者として顔を隠して目立たないようにしますので、

 最新型ファッションの高級品と中級汎用品、安価グレードを一つづつ買って下さい。

 お金はこちらで支払いします」

「何に使うのよ。まさか彼女へのプレゼントね?」

「もちろんお店の経費ですよ?

 普通に分析して調べるんです」

「まあ、最初はそれで手を打っておこうかしら。

 当然これは1つ貸しよ。分かったわね。エリオス君」

「・・・貸しはいくつあったかな?」

「ちゃんと覚えていなさいよ!」


 なんとかエリカお嬢様をなだめるエリオス君。

今回の目的は競合である靴下ギルドの製品を入手して

分析するのが目的である。いわゆる競合分析という物だ。

競合の実力を調査して、それに対抗できる製品と

コスト設計するのが目的。

現代ではよくやられる手法であるが、

現物をちゃんと正当な手段で入手して解析するのが


「じゃあ行きますわよ」

「ええ、宜しくお願い致します。エリカお嬢様」

「ふん、次はちゃんとレディーとして誘うのよ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 という事で靴下ギルドに到着する。

エリカお嬢様を前に出して、エリオス君は顔を隠して従者のフリをする。


「ごめんくださいまし」

「これはグリーヴィス公爵家のエリカお嬢様。

 今日は何をお求めでございますか?」

「(これがお客様への正しい接待の姿ですわよ、エリオス君)」

「(・・・)」


 靴下ギルドの店員さんがエリカお嬢様の姿を見て接待する。

何か文句を言われているが気にしないで澄ました顔で無視するエリオス君。

あとで何か文句を言ってやろう。


「今日はね、最新の靴下を2つ欲しいの。妹向けにね。

 後は執事とメイド向けに一般の物と安いのをそれぞれ一つづつ」

「(・・・!)」

「これはお目が高い。

 こちらの最新型が入荷しております」

「この刺繍は見事ね。

 何、輸入品ですこと?」

「最新の南の国のファッションでございます。

 先進国の技術者が生み出した素晴らしい刺繍です」

「それ頂くわ。

 従者よ、頼むわ」

「・・・承知しました」


 と言って指定の靴下を購入するエリオス君。

もちろん店員にはバレていない。

しかし予定では高級品を1足だけ買う予定が2足も買わされてしまったが

立場上、店の中では文句を言えない。

仕方がなくお金を払う。


「毎度ありがとうございました。

 公爵家にはいつもご贔屓に」

「そうね。

 新しいのが入ったらまた教えてよね」

「承知いたしました」


 そう言って、靴下を買って出ていく。

エリオス君は従者なので文句を言えない。

黙ってついていくのであった。

帰りに寄り道してから街中を探索し、お土産を買ってからお店に戻る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 皆が帰ってきた夕方。

もうすっかり暗くなりつつある。

今日の仕事はこれで終わりである。

当然、文句を言いたい人は一人。


「エリカお嬢様。

 高級品を2足も買わなくても良いじゃないですか。

 高いんですよ?」

「アラ、エリオス君。

 私は何も貴方のお金とは一言も言っていないわよ。

 ええ、公爵家で買えば良いでしょ?

 新作は妹たちが欲しがるわ」

「・・・」

「そんな顔をしないの。

 分かっているわよ、ちゃんと。

 ゆっくりと調べたらどう?

 ちゃんと良い靴下を作ってね。

 あとで私にプレゼントしてくれても良いわよ?」

「まあプレゼントはともかく、 

 気前の良い公爵家でございますな」

「ふふふ。私は貴方からのプレゼントとして欲しいのよ。

 大切にするわよ。

 ね?」

「・・・全く気まぐれな公爵家のお嬢様だ」


 手のひらの上で踊らされた事を悟るエリオス君。

全く、面倒なお嬢様だと心の中でつぶやきつつ。

そして皆がお店に戻ってきた。

これから皆で現物を確認するのだ。 

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