下期期末試験結果とエリカお嬢様と雹華お嬢様
他の皆さんは定期試験どうだったのか、気になるエリオス君。
まあ順調だろうが、今年で付属学校を卒業して大学に入る人たちも
結構沢山いるはずである。
「おー、エリオス君。こんにちは。
試験結果を見に来たの?」
「ああエリカお嬢様。
元気そうで、と言いたい所ですが何ですか?この成績は」
「別に問題ありませんわよ。
公爵家の一員として恥ずかしくない程度は・・・」
「ど・う・し・て、子供相手にテストで負けるんですか?
しかも中世クラスの学力を相手に現代人が。
貴方にはプライドは無いのですか?
ちゃんと前世で勉強していましたか?」
「そ、それはね。
ほら、お兄様と私は今年で付属学校卒業でしょ?
もう頑張っても大学入学は決定ですし」
「ほほう、公爵家のお嬢様は遊んでいても馬鹿でも大丈夫だと?
そんなに甘く見ていますと大学に行ったら留年しますよ。マジで。
そうですか、それは公爵様にご報告しないと」
「ちょっとまって、ねえ。エリオス君。
誤解よ誤解。
お父様の名前を出すのは卑怯ですわよ」
人に聞こえない程度の小さな声で説教する。
学年30位まで落ちたエリカお嬢様の成績を見て
流石にイラっとするエリオス君。
確実に勉強をサボっていたに違いない。
普通にやっていても語学を除けば負ける事は無いはずなのだ。
「そんなに怒る事は無いじゃない。
ちゃんと成績上位は一応キープしているわよ」
「じー」
「そ、そうね。大学に入学したら大変よね。
レポートも沢山あるだろうし。
当然エリオス君は私に教えてくれるわよね?」
「じー」
「なによ。
私が留年しても良いって事?冷たいわね」
「じー」
「エリオス君のいけず。ぐすん」
うーん。前世の知識に甘んじてサボってるな。
ちょっとお仕置きをしないと駄目かもしれん。
諦めて放置するのも選択肢の一つではある。
「エリオス。こんな馬鹿娘を相手にしても無駄よ。
貴方の貴重な時間の無駄ですわ。
そんな暇があれば此方の遊び相手をしなさい」
「そうよ。エリオス君。
アンタへの恋敵はちゃんと減らさないと」
「まあエリカは確かに馬鹿じゃな。
大学に入ってもついていけず留年するであろ。
公爵家も可愛そうであるが教育がなってない」
「ば、馬鹿ですって。
馬鹿って言う方が馬鹿なのよ。」
「・・・まあこの人達にはそう言われるわな。事実ですなぁ」
学校屈指の天才どもにイジメられるエリカお嬢様。
現代人なのに思いっきり格下扱いである。
この口悪ドエス天才共に見下されると精神的には辛いであろう。
前世の知識を持って異世界に転生したからと言って
向学心と努力を怠ってはいけない。
「所で今年度卒業する人は誰?」
「グリーヴィス公子とエリカお嬢様かな。
飛び級で雹華お嬢様とニーナさん」
「来年度に入学してくるのは?」
「エリカお嬢様の妹二人に伯爵様の息子さん、
他にも沢山いそうだけど」
「また騒がしくなりそうだわね」
戦争が始まる前に王都の学校に入れてしまう貴族も沢山出るだろう。
また来年度も騒がしい学生生活になりそうだ。
「エリオス君も11歳になったんですよね?」
「そうです。ついこの前に」
「まだこんなにちっこくて可愛いのに」
「男に可愛いは無しでお願いします。くすん」
未だに子供扱いされるが11歳のエリオス君。
前世のカウントでは今年度、小学校6年生で来年にやっと中学生である。
日本なら12歳で元服だろうか。
間違っても可愛いって呼ぶなよ???
「ふふふ。エリオス。
貴方は此方がずっと可愛がってあげるわ。
楽しみにしておく事ね」
「それ別の言葉の意味ですよね。
非常に寒気がして怖いです。雹華お嬢様」
「貴方はとっても素晴らしい弄り相手だわ」
「言葉を変えても怖いです。
所で、雹華お嬢様にお聞きしたいのですが
東洋の陶器を入手する事は可能ですか?」
「此方の言葉を遮るとは無礼な駄犬ね。
・・・陶器?入手出来るわよ。
白磁器から青磁器まで」
「高火度で焼いた厚手のつぼ形状の磁器がほしいです。
手に入りますか?」
「お父様に頼めば手に入るけど、そんなもの。
此方の家来になるなら考えても良いわよ」
「どうせ友達になれとか言うんであろ?ちんまいの。
ボッチだからの」
「なによ。このアルビノ。
貴方の方がボッチじゃないの。
怖がって大学にも友達がいないって聞くわよ」
「・・・あの、お二人方」
「フン。此方が磁器くらい入手してあげるわ。
それとこの性悪アルビノボッチと直ぐに縁を切りなさい。エリオス」
「ほら本性が出るな。ちんまいの。
エリオスは妾の親友だから諦めるが良いぞ」
それまでヨーロッパでは古典的な陶器しかなく、輸入に頼っていた。
ヨーロッパでの硬質磁器はドイツで1708年ベットガーが開発している。
中国や日本で広く作られていた陶器、磁器はヨーロッパでは近代品である。
実験には高火度のるつぼがほしいので本場の東洋にお願いすることにする。
ちょうど外交官がいるので相談するのも悪くない。
こうして新しい学期を迎えるのであった