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石炭コークス製造②  再び耐火レンガ製作

石炭コークスの概要をラスティン君に説明する。

まだ理解していない節があるが、少しづつ理解してもらおう。

焼き物は気を付けないと割れたり汚染されると

使い物にならなかたりするので注意が必要である。


「で、エリオスさん。どうするんですか?」

「石炭を焼いてコークスにする窯を作ろう」

「どうやって窯を作るんですか?」

「耐火レンガを沢山焼いて積み重ねます」

「・・・?」


最初に作るのは野焼き法と言って、

木材やレンガ、粘土などを円錐状に組み上げて

内部の木材で石炭を蒸し焼きにする方法である。

しかしこれはエネルギーや可燃性ガスを外部に

捨ててしまっているので大変勿体無い。


近代ではビーハイブ式と言って、

反射炉の様にドーム状に耐火レンガを組んで

蓄熱や排ガスを回収する仕組みである。

反射炉と同様に耐火レンガが沢山いる課題はある。

それはそのうち耐火レンガを量産した際に組み上げてみよう。



「またあのレンガを作るのか?エリオス君」

「勿論です。教授。

 人海戦術で頑張りましょう」

「・・・アレは非常に大変だな。

 またトーマス殿下に相談して人を借りようか」

「まあ最初は木炭業者に協力をお願いするのも手です」

「そちらの職人さんに焼いてもらうか」

「テストは必要ですが、実際の窯もいります。

 新会社の方でグリーヴィス公爵家で人材と資材を集めているはずです。

 コークス炉は必要になるので、助けてもらいましょう」

「そうだな。

 トーマス殿下経由で相談してもらおうか。

 どの道、耐火レンガは多数必要だ」

「あくまでテストベッドです。

 作ったレンガは試験炉と同様に

 レンガ屋さんに依頼して焼いてもらいましょう」

「そうか。じゃあトーマス殿下に相談しておく」

「宜しくお願い致します」


大筋の話を教授と決めたので

木炭業者に相談することにする。

必要な人材を引き抜くことも視野に入れて。


「ラスティン先輩はレンガを焼いた事がありますか?」

「この前の試験炉作りで手伝っただけですよ」

「それならば大丈夫ですね。

 試しに作ってみましょう」


と言ってラスティン先輩を連れて行って

前と同じ様に耐火レンガの試作の実演をしながら作業してもらう。

粘土を混ぜて乾かして、焼いて粉砕して

骨材として再利用する。

非常に手間が掛かる作業である。

教えてから1週間程、練習も兼ねて実際に作ってもらい

レンガ屋さんとの折衝もお願いする。

最後に出来栄えを後で確認するつもりである。


これを現代用語で悪名高きOJT(オンザジョブトレーニングとも呼ぶ。

何故悪名高いかって?

それは後日のお楽しみにとっておく。

仕事は人間関係、個人スキル、前段取り、コミュニケーションなど

沢山の技能を要求されるが初心者には最初からは無理である。


各方面から怒られて、怒られて繰り返して仕事を覚えるのである。

ちゃんとしたマニュアルと徹底した教育、練習する道場が

前提として無くてはならないはずであるが、

カンコツ経験で放置される日本の社会には疑問があるものの続けられている。



「・・・という事なので試作してみて欲しい」

「分かりました。エリオスさん」

「頑張って下さいね」


教えはするものの、マニュアルをしっかり作っていなかったエリオス君。

反省しつつも、量産時に備えてマニュアル作りを進めるのであるが

耐火レンガの関係はもう少し先の話であった。

一先ず教えておいて任せておく。



「ラスティン君はどうかね?

 エリオス君」

「僕の先輩なんですが。教授。

 やはり優秀な方です。

 この大学には秀才と天才しかいませんね」

「人材は優秀でも、数が少ないから

 大規模な立ち上げや操業にはどうしても人手不足になるな。

 教育や研究が主体になる大学ではどうしても辛い所だ」

「エリート教育の限界ですか。教授」

「大学教授たる者が、大きな声ではいえない事実であるが」



近世では高等教育は限られた貴族や金持ちだけのエリートのみ。

当然、社会で使える人材は足りていない。

階級別の教育として修道院や教会が独自に読み書きを庶民に教えていた例はある。

産業革命の時代になるとマニュアル通りに仕事が出来る様に

庶民の識字率が重要になり教育制度が発達していくのであるが

もう少し先の話である。



 

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