商業ギルドにてネゴシエーションその1
次はお父様の言いつけの商業ギルドに向かう。
宿屋で一端、村長さんとニーナさんと分かれてから
手書きの地図を見ながら移動する。
商業ギルドの建物は大きいので直ぐ見つかった。
館みたいな規模である。
ドアを開けて中に入ると、事務所スタイルの部屋。
受付のお姉さんが出迎えています。
「商業ギルドにいらっしゃいませ。」
「はじめまして。私はキルテル村のエリオスと申します。
ギルド長宛に父ボッシュより手紙を頂いております。
お取次ぎ宜しくお願い申し上げます。」
「まあ、良く出来た子ですわね。
承りました。少々お待ち下さい。」
手紙を渡すと受付のお姉さんは奥に入っていきました。
10分ぐらい待つと受付のお姉さんが奥から戻ってきて呼ばれました。
「奥の部屋でお会いするそうなので、どうぞお入り下さい。」
「ありがとうございます。」
奥の部屋に入ると、
ギルド長さんともう1人紳士の方が座っていました。
「私はキルテル村のエリオスと申します。」
「どうぞ、おかけ下さい。
私は商業ギルド長のテオドールです。
宜しくお願い致します。」
「私はテオドールさんとお付き合いのあるトーマスと申します。」
「ボッシュさんからのこの手紙は読まれましたでしょうか?」
「いいえ、読んではおりません。」
「そうですか。では読まさせて頂きます。」
とギルド長さんが自己紹介した後にお父様からの手紙を読み始める。
途中で顔色を変えてブツブツ呟きながら考え始めている。
「・・・どうやらエリオス君はボッシュさんから大変信頼されている様ですね。」
「???。それは実の父親ですから。」
「手紙の内容は了解しました。
所でキルテル村で大変質の良い布織物の生産をされていますね。
貴族の方々にも好評です。
しかし供給して頂く量が圧倒的に少なくて王都の需要も満たせていません。
手紙では増産を考えている様ですが、
何かご存知でしょうか?」
「・・・その話ですか。」
お父様は例の話を漠然と伝えているのか?
なら返答は難しくはない。
少し返答する内容を考えて、
「お教えありがとうございます。
村の職人さんと協力して増産出来る体制を構築しようとしています。
商業ギルドのご要望に対しても全面的に対応出来る様にしたいです。
ただ、原材料となる綿花や羊毛、絹糸や糸材が不足していまして
ギルドにご協力願えないでしょうか、と思っています。」
「なるほど。原材料は供給可能です。
ただし糸を紡績するのが大変でそちらは限りがあります。」
「紡績は村で改良して可能な限り増産対応しようと思っています。」
「・・・改良とな。」
「ええ、糸車です。」
内容をぼかして要点だけを説明する。
ギルド長さんは多少疑う視点を向けながら返答します。
隣に座っているトーマスさんとアイコンタクトしながら続けて言う。
「もしキルテル村で増産可能であれば、商業ギルドも調達は協力します。」
「ありがとうございます。助かります。」
「じゃあそちらは商業ギルドで手配しよう。」
せっかくなのでついでに相談してみる。
「一つご相談宜しいでしょうか?」
「何かね。」
「鉄で糸車を作りたいのですが、
鍛冶ギルドをご紹介頂く事は可能でしょうか?」
「それは問題ない。紹介状を商業ギルドから書こう。
あそことは仲があまり良くないから注意して欲しいが。」
「ありがとうございます。」
これで無事、鍛冶屋さんに繋がりが出来たな。
「そうだ、年齢も近い事だし息子のニールを紹介しよう。
誰か、ニールを呼んできてくれ。」
ギルド長さんが声を掛けると、息子さんが部屋に入ってくる。
「息子のニールです。」
「キルテル村のエリオスです。
宜しくお願い致します。」
ニールさんに挨拶する。
年齢は12歳ぐらいで少し年上かな?
身長の高い好青年だ。くそう。
「このエリオス君は優秀な留学生だということだ。
商業ギルドとしても商売の仲間ともなろう。
仲良く頼む。」
「はい、父上。」
まだ交渉の話は次回に続きます。
次は商業ギルドにて交渉。
王都での商業ギルド長さんとやりとりします。
村に無いものをやり取りして商売のチャンスを広げます。
エリオス君はこっそり営業活動も始めてしまいます。
内容は次回に続きます。




