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伯爵領の内政改革論

突然に伯爵様から呼ばれるエリオス君。

どうやら皆呼ばれているらしい。

急いで伯爵様の館に向かう。


「伯爵様、お呼びでしょうか?」

「うむ。内政官殿。

 良く来てくれた。

 実は高速道路と魔王国との貿易の件だ」


漁村リヒハイト村を経由して魔王国と

物資の貿易が始まったのだが、

小麦と大砲以外の売れる物資と買う物資が

まだ明確になっていない。

それと高速道路も建設中である。


「物資は川沿いで北上し途中で王都まで向かう。

 そこで積荷を船から下ろして陸路となる。

 しかし1日では行けぬ経路なので、宿場街を

 作り直す必要と、道路の改築が必要だ」

「手配は進めていますよね。伯爵様。

 時間は掛かるかもしれないですが計画通りに」

「そうだな。

 しかし道路建設や橋の建設は金と時間がかかる」

「有料にしますので先行投資して後日回収するしかないですけどね。

 あまり高価だと道路や橋を通らないという選択肢も出てくるかもしれませんが」

「後は郵便制度も始めてみる。

 以前の卿の意見を採用して。

 定期便に乗せて運搬する」

「それは嬉しい話です。伯爵様。

 郵便があると情報や物流が便利になります。

 で、定期便を運ぶ人員はよく確保出来ましたね」

「そこが問題なのだ。

 運搬する人手と護衛が必要である。

 盗賊に襲われたら意味がない」

「・・・護衛ですか。

 運搬は飛脚を別途雇うとして

 護衛は独自組織を使うか、軍人を使うか。

 軍隊の本来の目的ではありませんので、

 郵便護衛員として雇用する形にしておくのが確実かと」

「ひとまず軍人にしておこう。

 手当を出して護衛勤務も兼任させる。

 しかし将来的には専任の人材を雇う」


当時はまだ郵便が盗賊に襲われるリスクがあった。

郵便の護衛は今後共苦労させられる。

実際に18世紀と19世紀のイギリスの郵便で

盗賊に襲われた記録が残っている。


「次は物資の輸送か」

「遠隔輸送が本格化すれば、水上運輸の他に

 陸上で馬車による牽引運搬が必要になります。

 その際には、ガタガタの道路では運べません。

 高速道路になります」

「余の郵便の場合は高速道路の使用料は輸送費に含めても良い」

「承知しました。

 あと各都市に捜査専任の警察官を設置しましょう。

 戦闘は軍人の仕事ですが、調査は警察官に

 また逮捕権を与えて治安維持にも協力させます」

「以前話があった件だな。

 適任者の任命を進めよう」


高速道路や運搬を収入としてインフラ整備と

警察に捜査担当を与えていく。

少しづつ中世から脱却するために近代国家としての機能をもたせていくのだ。

膨大な予算が必要になるが、

その為に貿易に活路を見出すしかない。


「輸出する物質は、

 食糧品と鉄鉱石、石炭、木炭など。

 加工品はまだ先進国に対抗できるか未知数です。

 コスト勝負になりますので、安い労働力で作るしかありません」

「繊維とか売れないのか?」

「コストと関税次第です。

 原材料の綿花が大量に手に入れば別ですが。

 今は靴下産業を確立させるだけで精一杯です」

「ならそちらは卿に頼む。

 しかし原材料を輸出して加工品を輸入するというのは

 屈辱ではある。

 我が国の技術力の低さゆえに」

「技術課題は段階的に解消していきます。

 しかし直接、陸で国境を接しない両国は

 長期的にみて良好な関係を続けられるでしょう。

 問題は他の国々が警戒する事ですが」

「繰り返しの話になるが、

 まあ今は南の異教徒が危険だ。

 我が国が負ければ、大陸諸国の負けだ。

 その後考えれば良かろう」


おおよその現状を伯爵様と会話する。



「漁村リヒハイト村の防衛戦略はどうする。

 一応、あの学生に指揮は取らせている。

 意外と優秀な奴だ。

 侮れない」

「デュルバー卜先輩ですね。

 将来的には大砲を設置して、要塞化します。

 内陸部に砦を儲けて多段構えにします。

 お金が非常にかかるので、直ぐには出来ませんが」

「陛下の宿題だったな。

 当面隣国が攻めてくる様子は無いから良いが、

 南の異教徒とタイミングを合わせて攻めてくると厳しい」

「第3国が攻めてくる場合は、魔王国に救援を頼むしか無いです。

 海から圧迫を掛けて牽制してもらいましょう。

 早くそこまでの関係は構築しましょう。

 隣国のジュリヴァ王国に外交官を派遣しましょう。

 そして我々は防衛の陸軍を残しておかねばなりません。

 直ちに手を打つべきです」

「卿の意見は理解した。

 外務大臣と交渉しよう」


隣国の圧力はその更に隣国と協力して抑え込むのである。

もっとも隣国のジュリヴァ王国といつまでも小競り合いをしても意味はない。

キッチリ対話してちゃんと交渉の場につけるべきである。

そういう戦略が我が国に足りていない。

この弱点は早い段階で摘み取っておかねばならない。

外交に弱い国は、外交に滅ぼされるのだ。

それは絶対に忘れてはならない。


「そういえば、魔王国からの大砲の第一弾が届いた。

 そのうち一つを陛下の宿題の研究用として、

 軍事学の研究所に送ってある。

 これから余と卿ら関係者を集めて分析しよう」

「承知しました。伯爵様」


様々な外交の成果がやっと届いたのだ。

そしてその魔王国の大砲の技術力に一同は驚く事になる。

本小説を読んで頂き誠にありがとうございます。

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