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道中〜王都ロイスター王国大学付属学校について

 次は留学先の学校について村長さんに聞いてみる。

エリオス君はこの時点では学校の事は殆ど知らなかった。

移動中に時間は沢山あるのでゆっくりと聞く事にした。



「王都の学校とはどんな所でしょうか?

 村長さん」

「王都の学校は複数あるが、留学先は

 ロイスター教会付属神学校だった所で、

 近年になって、王侯貴族の学校とギルドの学校が

 陛下の国策によって合併した。

 今はロイスター王国大学付属学校という位置づけになっている」



 元々は神学校でそれが拡大解釈された。

前世のヨーロッパの学校とは少し違っていた。

藩校という位置づけとも少し違うだろう。

もっとも前世でも中世からヨーロッパには神学から大学制度はあったのだが。



「学校の起源は教会の付属学校だったんですね」

「そうなるな。

 教会の神官を養成するための学校組織から始まって

 身分の高い王侯貴族を教育する場に発展した。

 しかし魔王軍に劣勢な今、科学技術力と国力を高める要望が強くなり

 経済力のある各種ギルドと結びついて統合したのが背景。

 大学の下部組織になってはいるが、中身は旧来のままでもある」



 中世にも大学があるなんて日本より進んでいる。 

時代のニーズに合わせて高等教育が進んできたという訳であった。

しかし魔王国と対抗するため、というのが前世との違いだろうか。



「事前に聞いている話ではクラスは複数あり、

 Aクラスは王侯貴族の専用クラス

 Bクラスは神官を育成する為の専用クラス

 Cクラスは軍人を育成する為の専用クラス

 D〜Gクラスがギルド構成員を中心とした選抜クラス。

 A、B、Cは成績で分けられる訳ではないが、

 D〜Gは選抜試験によって分けられるだろう」

「つまり僕らはD〜Gに配属されるという事ですね」

「中にはギルド構成員のクラスに移動したがる物好きな貴族もいるとか。

 軍人は将校を育てる為に国が支援している」

「そう言えばお父様も軍隊教育とか言っていたような気が」



 市民が学校に入るというのは、ギルド学校の延長線であろう。

あくまで子供向けの教育機関であることには変わりは無い。

でも大学と直結しているとなると、その関係性が気になってくる。



「大学とはどういう関係にあるのですか?」

「ロイスター王国大学は自治権のある教育と研究機関で

 法学、神学、医学、軍事学、理工学、農学の6つ」

「理工学と農学があるんですね」

「理工学は魔王国との技術格差、

 農学は増えつつある人口と食糧難の問題に対応するため、

 陛下が特別に新設した」

「切実な背景ですね」



 軍事的、経済的問題から教育が発達した。

実際それが正しいのであろうが。時間が非常にかかる。

しかしここの国王は先見の明がある。

士官学校みたいな軍事学もあるが必要だろう。

おそらく無理やり大学へ統合したのだろうか?



「大学は14歳から入学出来て、6年制の学部と

 大学院の2つ。学生は自治と自由の特権を与えられる」

「学生と大学は特別な存在なんですね」

「全て魔王軍に対抗するべく先兵という定義にしてあるらしいが。

 実際は富国強兵を目的に研究しているそうな」



 追いつけ追い越せの概念であった。

しかし技術格差がどの位あるかが分からない。

ここまで対抗しても魔王国は届かない程の存在なら簡単にはいかない。

国家戦略と僕の戦略を合わせるか、飛び越すか。

研究所を自分で設立してしまうか。

大学の教授共と対抗して競い合うのも面白い。

選択肢は無数にあるからゆっくり考えるしかないのである。



「アタシは絶対に頑張るからね。楽しみだわ。

 ね、同じクラスになろうね。エリオス君」


 

 そこで委員長のニーナさんが声を掛けてくる。とても健気でかわいい。

普段もそうであればよいのだがと思ったエリオス君。

しかし当然ツッコミを入れたくなるエリオス君。

たまには可愛い幼馴染みをいじりたい。



「どうでしょうね?

 ニーナさんでは国中のエリートに対抗できるかどうか。

 まあ、僕もどうなるか分かりませんけど」



 さらっと返事するが、当然、エリオス君の視点では嫌味である。

この娘には日頃グチグチいじめられているので、

こういう人間関係もありであろうとさり気なく仕返しをする。

異世界人の癖に実に大人気ない態度をとってしまうエリオス君。



「くっ。また嫌味を言うのね。悔しいわ。

 いつもいつもアタシにだけ嫌がらせを。

 見ていなさい。

 アタシの努力の力を甘く見るんじゃないですわよ」



 それを聞いて隣にいた村長さんが吹き出す。

そして二人の顔を見比べながら笑いながらこう言う。



「あははは、君たちは仲良しだな」

「「そんな事は無い」」



 2人して同時に返事する。

まあ、実際仲は良いのであろう。気が合うとか?

今は焼きもちのチェリーちゃんとかいなかった。

当たってばかりではちょっと大人気ないかもしれないエリオス君。



「まあ宜しく頼むよ。

 幼馴染は、これからはニーナさん1人だ。信頼してる」

「ふふん、何時でもアタシに頼りなさい。

 アタシはアンタの可愛い幼馴染さんですからね」



 ニーナさんは喜んでにこやかに答える。

エリオス君は別に可愛いとまでは言っていない。いや実際可愛いのだが。

実は直ぐ調子に乗るタイプだったかな、と?

やはりおだてるのは止めにしようと思ったエリオス君である。

今回は王都ロイスター王国大学付属学校について。

設定では中世のヨーロッパの学校制度から中身をアレンジして変更させて頂きました。

工科大学というのは、近代の話なので中世には存在していません。

ヨーロッパの大学は12〜13世紀から発祥しているそうなので、

そこから結構時代が進んでいるとイメージして頂ければ。

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