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作業手順書と要領書とオンザジョブトレーニング

 王都に留学する前に、エリオス君に必要な事は

この設備をお父様とお母様に引き継がねばならない。

それにはやっておかないといけない事がある。

つまり作業者教育である。


 いくら設備が動くようになったとしても、

それを操作する人がいなければ立派な置物である。

しかし現代でも新人に教えるのは永遠の課題。

初心者に扱わせようものなら、普通に考えて故障と不良品の山である。

さあ困った。どうしよう、と。

そんな貴方の為に現代で開発されたツール。


「作業要領書」


 ・・・アレ、当たり前過ぎであろうか?

普通の会社であれば常識である。

現代なら全世界の会社で作っているはず。

もし無かったらスーパー危険なブラックの会社なので転職も視野に入れた方が良い。

作業要領書は作業の方法やコツを絵で書いて、

それを実際にやらなかったらどう被害が出るかをポイントでまとめる。

作業手順書は作業の流れをフローチャートで書く事を基本になる。


 実はエリオス君は、前世では相当、数百枚作らされた

作って作り続けたので慣れっこであった。こういうのは経験値による所が大きい。

1工程の1項目なら1〜数ページで大体2時間で作れる。

数をこなせば誰でも作れるが、如何であろうか。

でも上司のチェック承認が必要なので最初はダメ出しされて嫌な思いを

した経験がある人はそこそこいるはずである。

慣れると作って配布して教育すると一つ仕事が

終わった気がするので決して悪くない。

そんな気がするだけである。


 実はネタバラシをするのが目的ではなくて、

今こう作った作業要領書と作業手順書を教えながら

作業をさせてその後に模写させている所である。

当然お父様とお母様に。今。


「エリオスー。ちょっと厳しすぎないか。お父さんは悲しいぞ。」

「エリオスちゃん。お、お母さんはちゃ、ちゃんと頑張るわよ。多分。」


 ええ、実の両親をスパルタ教育中なエリオス君であった。

はよやらんか、と。

エリオス君が書いた作業要領書を教えながら、模写させている。

この時代はコピー機なんて便利な物がないのでもちろん手書きだ。

ちょうど勉強にもなって覚えられるのでとっても効率が良い。

現代ならパワハラ扱いされるのでご注意を。


「お父様、お母様。ちゃんと覚えて出来る様になったら終わりです。

 手抜きしないで頑張ってくださいね。」


 ・・・多分、お父様とお母様には目には見えないムチで

ビシバシ叩かれている姿が頭に浮かんでいるはずだ。

ええ、手加減などゼロであった。全力。

本音として作業はそんなに難しくはないはずだとエリオス君は思った。


 ただし、それは定常作業。ルーチンワーク。

点検や修理などの非定常作業になると話は変わる。

機械の構造を理解しないと出来ない。

なので、作業要領書に非定常作業も書いてあるが

実際に読むのと作業するのでは話は別。

オラ、しっかり覚えろや、と。

・・・ひどい息子で申し訳ないと心の中でつぶやくエリオス君。

 ビシバシ。

こういうパワハラまがいを世間では、

オン・ザ・ジョブ・トレーニングという。略してOJT。

本当に都合の良い言葉であった・・・


「・・・はぁー。とりあえず覚えたよ。今日は疲れた。」

「ちゃんと要点を書いてあるのね。エリオスちゃん。流石だわ。しくしく。」


 お父様、明日はしっかり復習して欲しい。

お母様、次は自分で作業要領書を作る事。

読みながらワザと機械をバラして組み立ててを繰り返し実行。

この時はエリオス君はさながら鬼であった。

仕方がない。

時間が限られているからであった。


 実は作業手順書と要領書は自分で2部書いて、1部は保管。

残り1部は保存用に隠してある。

この手の書類は普通は原本1部と配布1部があれば十分なのだが

何故か汚れたり破れたり紛失したり盗まれる事があるので油断すると危険。

予備という事で更に1部づつ合計2部書き写してもらった。

盗まれるなんて本来あってはならない事だが、現実問題としてある。

決して嫌がらせではないはずだった。


「・・・とりあえずご飯にしましょう。」


 お母様は流石覚えが早い。

お父様はしっかり勉強して欲しいとエリオス君は思った。

もう遅い時間になったので、

じゃあ続きは明日という話で悲鳴が再び聞こえてくるのであった。

次は標準類とOJT。

普通に初心者に作業をさせたら故障と不良の山です。

仕事をしながら教える都合の良い言葉ですが、

教えてもらう方はかなり大変というのは昔も今も変わらないかも。

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