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交換部品の外注手配

 次は交換部品の手配。

エリオス君がいない間は交換部品が滞ると生産が止まる。

外注さんに手配して予備品を作ってもらうのが確実。

木材加工となると、建築屋さんか家具職人さんが堅いであろう。

お父様と現物を持っていって、製作のお願いをする必要があった。


「という事で部品の製作をお願いしに行きましょう」

「エリオス、交換部品はやっぱり必要か?」

「お父様、絶対に必要です。

 疲労劣化して破損するとその設備は機能しなくなります。

 動力を繋げるギアや支持棒は摩耗して劣化します。

 必ず予備品を確保して保管します。

 無くなる前に発注してキープしなくてはなりません」

「つまり設備が増えればその部品も家の店の商品になるという訳だな」

「将来的に設備が増えればそうなります。

 そしてそれを自作するには工数がかなりかかります。

 外部の専門の方に委託出来る体制を作るのが目的です」

「なるほど(良く考えているな)。

 じゃあ木材加工に得意なモリソンさんにお願いしよう」


 という事でモリソンさんの家に向かう事になった。

この村は職人さんが多い訳ではないので相談できる人が少ない

モリソンさんが建築部材や家具などの木材加工を行っている職人さんであった。


「モリソンさん。こんにちは」

「おう、ボッシュさんと坊やか。

 今日はどんな用事だ」

「実はこれと同じものを作って欲しいのです。

 水車の部品、の様な物です」

「歯車とシリンダーと棒か。

 形状は難しくないがどの位必要なんだ」

「予備品含め各年数個程度、定期的に発注したいです。

 装置が増えれば商業ギルドを通じて提供したいです」

「問題ないが結構高いぞ。

 都市には都市の職人がいるだろうに」 

「都市部は増えつつある人口に職人が対応できるかはまだ未知数です。

 建築が盛んになれば、部品を作る余裕が無くなると思っています。

 なので、今の内からモリソンさんにお願いしたいのです」

「事情は理解した。

 現物はお借りする事になるだろうが問題ないか」

「ありがとうございます。

 問題はありません」


 モリソンさんに相談して快諾して頂く。

エリオス君も色々と設備を作って生産が進めば売上も上がるはずである。

予備品を前もって作っておいて良かった。

図面の概念は難しいのであった。

将来的には図面でやり取り出来るようにする。


「あとモリソンさん。寸法公差ははめ合わせ可能な範囲でお願いします」

「あいよ。

 実際に歯車をはめてみて回るまではしっかり確認するよ。

 こちらは水車の試作もやっているから、

 回転部品も慣れている」


 はめ合わせに関する交渉と調整も忘れない。

部品としてハマらないというのは最悪である。

公差は現物で確認するしかないが、少しづつズレてくる。

やはり図面管理が一番確実であるが、測定器も必要だ。

そう言えば水車は中世に沢山あったと言う話だった。

歯車も当然ある。

だから話が早くて助かる。

お父様が質問する。


「でも水車なんてそんなにあるのかい?」

「結構あるんだよ、これが。

 製粉機かな。王都には数千台はあるらしい」

「パンは人の数だけ需要があるという事か」

「そういう事。

 都市の人口増加の話は俺も聞いている。

 建材と建築需要は今後も増えるのは間違いない。

 流石はボッシュさん。世間をよく見ているな」

「俺も商業ギルドですからね」


 水車の加工技術は古来からある。

当然、蒸気機関までは主力の動力源であるので、

いずれは金属に置き換える予定では有るが、金属は入手が難しそうである。

相当高価なのであろうか。

それは王都で相談するしかない。

鉄はまだ安定供給するのは難しい時代だ。

宿題が一つ出来た様な気がしたエリオス君である。


「今後は色々な部品もお願いしたいです」

「なんだ、坊や。お父さんの仕事のお手伝いか」

「そんな感じです。

 王都に留学にいきますので、需要をこの村にも引っ張ってこれれば。

 木材の供給も含めて、商業ギルドが仲介する機会も増えると思います」

「流石は噂に聞く秀才だな。

 うちの息子にも爪の垢を煎じて飲ませたい位だ。わはは」

「息子さんにも後継者として是非技術をご教授お願いしますね」

「ははは、家の息子は優秀ではないよ。お宅が羨ましいさ」

「親としては、家から飛び出てしまう子供は寂しいですよ。

 モリソンさん」

「わはは、違いねぇ」


 モリソンさんは豪快な方である。

実績を聞く限り、腕は心配がなさそうだ。

交渉事の窓口はお父様で問題ないだろう。

工業製品を量産する下地は既にあったという事だろう。そりゃ近世だ。

職人技から量に転換するまでにはまだ長い時間が必要である。

これも第一歩だ。

そして、王都とは一体どんな都市なんだろうと想像するエリオス君だった。

ものづくりに大切な交換部品の話です。

本当は自作した方が安く済むんですが、

工数に限りがあるので専門の職人さんにお願いします。

その方が品質と納期は確かです。

富山の薬売りみたいに、予備品を常にキープして

短時間で交換することで生産を止めないようにします。

つまり、外注さんとのお付き合いは非常に重要な要素です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 人口増とあるので食糧問題はすぐにぶち当たる壁だなーと思って目次を見たら先の方になにやらありそうなのでそこまでは棚上げなのかな?などと
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