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王都への帰還と耐火レンガの焼き直し

王都に戻って耐火レンガを焼き直します。

割れたら粉砕して骨材にしてリサイクル。

ついでに水準試験をして割れない条件を調べていきます。

実はデータを取る為に、1個1個自分でチェックしているエリオス君です。

本来はしっかり分量を測ってデータを取って水準をまとめる必要があるのですが

道具が必要なのでまたの機会にします。


本小説を読んで頂き誠にありがとうございます。

よろしければブックマークと評価をお願いします。


視察も終えて王都に戻る一同。

王都に戻ると、エリオス君は耐火レンガの窯出し。

当然1回目は割れているので、粉砕して再び成形する作業。


「堅いけど、木槌でも何とかなるかな。

 これ重労働ですね。」


傍から見ていると、子供が粘土遊びをしている様にしか見えない。

しかし多数の量のレンガである。

道具無しに1人で作業するとしたら大変な量である。

誰か応援を呼ぶべきであろう、と傍から見るとそう思われる。


割れたレンガを叩いて粉砕し、そのままだとレンガにならないので

再び粘土材と混ぜて型に入れて成形する。

本来であれば、この粉砕したレンガ粉の粒度と、

バインダー成分として混ぜる粘土の比率が重要であるのだが、

まだ制御する道具が不十分の為、目分量で混ぜて配合する。

粒度篩と重量計、粘度計が欲しい所である。


「実際にきっちり測って、ローラーミルかハンマーミルで粉砕して

 重量を正確に混ぜて、均質に撹拌出来る環境が欲しいですね。」


目分量であるが、折角なのでテスト用に比率を変えたブロックを

3種類を1個づつ追加して成形し、乾燥させる。

成形も本来加圧プレス成形したい所である。

無い無いばかりでは仕方がないが設備を作って作業出来る方策を

手が空いたら考えようか、と。

超硬材が作れる様になったら、小型ハンマーミルを作って

ガリガリ粉砕したい。

今は超硬刃物に相当する材料が無いので無理である。


実は中世にも天秤計りはある。

そして分銅も。校正出来ない事を考えるが、測定は可能である。

貨幣の両替用に主に使われている。

これを入手するにはもう少し先の話になるのだった。


「坊主はまた何やら作業しているな。」

「トーマスさん。

 お久しぶりです。

 焼き上がったレンガを再び粉砕して骨材にして焼き直す作業です。」

「それは良いが、誰か応援を頼んだらどうだ。

 そのレンガは試験炉を作るだけの纏まった量があるだろう。

 1人ではとても終わらないぞ。」

「教授や研究室の方々も講義が終われば協力して頂けると思います。

 どのみち乾燥させるのも時間がかかるので段階的に

 進めていくしかないのかな、と思います。」

「まあ無理しないでやってくれ。」


トーマス殿下とエリオス君が会話する。

知らない人から見たら不思議な絵である。

国家の最上級の方が平民の子供と二人で雑談している

ある子供は国家の最上の殿下と会話しながら粘土作業をしている。

わざわざ王宮を抜け出して視察に来る殿下と

作業しながらやや雑な応対をする子供。

ただ、この構図にはトーマス殿下の信頼関係が伺えるのが特殊な所。


「それはそうと坊主。

 実家はどうだった。伯爵領は変わったか?」

「それは報告書を書いて伯爵様に提出する予定ですが、

 まだまだ、これから変わるだろうという状況ですね。

 繊維も他の領地でも増産が始まると競争になりますし。

 鉱山も石炭の利用が増えなければ黒字にはなりません。

 あとは貧しい村々です。」

「恐らく、伯爵領以外も同じ状況かな・・・

 我が国もまだまだ貧しいな。」


トーマス殿下が呟く。

直接地方を視察する機会が少ないので、

想像と現実のイメージが違う事は珍しくない。

しかし国力の源泉となる経済力や税収は

人口と生産力によって決まってくる。

故に仕事と生産と収入はどうしても全ての人に必要なのである。


「治安はどうだ。」

「盗賊や海賊はまだ国内に沢山いるかもしれません。

 傭兵が平時は盗賊や海賊になって国内を荒らし回る構図は簡単に変わりません。

 そこに他国のスパイがいる、なんて事はありえる話です。」

「どこでそれを聞いた?」

「憶測です。」


急にトーマス殿下の口調が変わる。

エリオス君の言葉に反応した。

具体的な証拠は掴んでいないので分からない、という表情をする。

と、教授と研究室の皆が集まってきた。


「おーい。エリオスはいるか。」

「ここにいます。皆様。」

「手伝うから、殿下と一緒にちょっと休んでろ。

 まだ子供なんだから、体を使う作業は無理をするな。」

「ありがとうございます。」


ここからは教授と一緒に人海戦術になる。

乾燥させた後はまたレンガの窯に入れて焼く。

今回はゆっくり焼くので3週間ほど伸ばしてもらう。

こうやって耐火レンガを作っていくのだった。

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