表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/450

突然の異世界転生・・・

挿絵(By みてみん)


目を開けると不思議な光景が目の前に広がっていた。

白い空間に小さな机と椅子がちんまりと置いてある。

その向こうには美しい女性がいた。

この様な不思議な空間に当然ながら見覚えはない。


 そしてなぜか一人の男がこの白い空間に佇んでいた。

彼は40歳のおっさんサラリーマンで、製造業勤務の何でも屋である。

実は、彼がつい先程まで覚えているのは会社からの帰宅途中であった。

開発から製造、品質保証まで兼任。ブラック企業によくあるパターンだ。


 彼は今日も遅くまで仕事、の予定であったが

労働監督署からブラック企業に認定されて監査対象になったので

36協定の管理が厳しくなり、早めに帰宅しようとしていた。

しかし帰宅途中に彼の頭の中から記憶がなくなっていた。

原因は定かではないがここに立っている事だけが事実だった。


 意識が戻って目を開けてみると目の前には妙齢の美女、

というより人とは呼べない神秘的な空気を漂わせている方が

いつのまにか座っていた。気配を感じさせない。

神々しいオーラを発していて非常に圧迫感を感じる。心理的に怖い。

これはお約束の死後の世界だろうか?

なんて心の中で思っていると目の前の美女から、



「ご機嫌はいかが?」



 と優しそうな声を俺に掛けてきた。

その一瞬で彼は何故か不審に思う気持ちが無くなってしまった。

不思議に思うが、その気持ちの理由に答えが出ない。

 非常に優しそうな笑顔を浮かべながらも

美女からは厳格な空気が伝わってくる。

とたんに何かを決心したかの様な表情をして彼に声をかけてきた。



「私は転生第5神のメサと申します。

 あなたはお亡くなりになりました。

 これから新しい人生に転生して頂きます」



 彼はちょっと頭に手を置いて考える振りをする。

当然ながら思い当たる節はないが、この状況を説明出来るものは何もない。

冷静に考え直すと不思議とまずこの美女の意見を

聞くしか無いと思う気持ちになった。



「これは死後の世界ですか?

 仏教で言う輪廻転生でしょうか?

 俺はどこかの国に新しく転生するんですかね?」


「いえ、貴方達の言う異世界という、

 違う世界に生まれ変わって頂きます」


 彼は聞きなれない言葉に首をかしげる。

・・・異世界とな。日本ではないのか?

これはちょっと厄介そうな話である。

よくある異世界転生という奴だろうか、と。

 当然、平和な日本の生活になれた彼は不信感でいっぱいになる。

心の底から拒否したい思いが浮かんできた。

面倒事は逃げるに限る。



「貴方の考えている事は筒抜けですよ?

 繰り返し言いますが私はこれでも女神です。

 残念ながら貴方の考えている日本には戻れません。

 お話を聞いて頂きたくお願いします」



 どうやら彼の考えている事はバレバレであった。

仕方がない。彼はとりあえず話を聞く事にした。



「その様子ですと、俺には拒否権はなさそうですね」


「お察し頂けて、ありがとうございます。

 あなたにはこれからとある異世界に向かって頂き、

 世界を救って頂きます」



 しかし世界を救うとはまた難儀な話である。

彼には当然世界を救う力も知恵もない。

ただのサラリーマンである。



「何やら曰く付きですね。

 是非詳しいお話を伺いたいのですが、宜しいですか?」



 自分のこれからの人生を左右する重要な話と一先ず認識して、

彼は慎重に美女の話を伺う事にしてみる。

SF的な未来や原始時代に送られても困ってしまう。

彼には何も出来ない。



「先方の世界では、色々と危機に瀕しています。

 あなたの力で世界を救って欲しいのです」


「いやそんな無謀な。俺ただのおっさんサラリーマンですよ?

 世界を救えとか、そんな急に言われても・・・」


「別に私は戦争をしろとか魔王を倒せとは言いません。多分。

 実際に魔王は争いばかりで迷惑なのですが、それは別の話です。

 秩序神からの問い合わせではありますが、

 実は私はその世界の何が問題の真因なのか突き止めていないのです。

 その世界に直接介入出来ない立場なのです。

 そこであなたに異世界に転生して頂き色々と生活して頂きます」



 一応説明らしき言葉を女神様から聞くが、

彼には具体的な話の筋が見えてこない。何故?

秩序神?異世界で生活?

彼は何をすればよいのだろうか?

本当に彼が異世界に転生しなくてはいけないのか?



「目的が曖昧すぎませんか?

 その秩序神さん、って方は実際、何に困っているのですか?

 女神様の仰る世界を救うという事は、具体的に何をすれば良いのですか?」



 彼は心配になって女神様に聞いてみた。

しかし女神様は頬に手をおいて考えるそぶりをしながら、話を続ける。

にこやかな笑顔をでありながら、ふと悪ふざけを思いついたかの様な表情をして

彼の発言を無視して言う。



「うん。頑張って現地で調査して下さい。

 まあ、世界を破壊しない程度に活動して下さい。

 貴方の知識と経験と行動力に期待しています。

 それでは宜しくお願い申し上げます」



 女神様のまともな説明が無い発言に戸惑う。

曰く付きだな。そして目的も全て確信犯的な秘密である。

実に恐ろしい女神様であった。

なんて考えていると彼は急に意識が遠くなって・・・



「ああ、私から直接その世界に介入する事は出来ませんが、

 なにか連絡する手段を別途ゆっくり考えますので、

 また後日お話させて下さい、

 という事で貴方の知識でこの世界を宜しくお願い致します」



 そして彼は意識が遠くなっていく最中で、

この言葉だけが脳裏に残ったまま意識を失った。

本小説を読んで頂き誠にありがとうございます。

産業革命や大戦争、農業や商業や営業、開発、製造、歴史など

沢山の思いをこめた長い長編になってしまいましたが、

よろしければブックマークと評価をお願いします。


とある事情で異世界転生されて違う世界で衣食住を求めて

製造業を立ち上げ儲けようと四苦八苦。

ところがあれこれ問題が出てきて孤軍奮闘。

無事、世界一の工場を作って運営出来るでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 関西オープンフォーラムのセミナーで紹介されてた ので検索をかけてたどり着きました! 製造業勤めの人が書くような小説ですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ