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第1尾 スコーピオン・テイル

アマテラス帝国

 西部都市ウェスティア・魔導の大森林

 昔、魔法の研究者たちが住んでいたとされる大森林である。

その大森林の深い森の中には大きな館がポツンと建っている。


「魔導書が有るかな~♪」

人の訪れることのないこの館に...人影が一つ

「うーん、無い無い無い」

ホコリの積もった部屋が散らかっていく

「これは?」

一つの本を手に取りよく見る

「…外れだ」

ポイっと手に取った本を捨てる

「あ~あ、ここもハズレだったのかな~

オジキもここには何かがあるって言ってたのに...」

探した疲れで少し休んでいるところに、丸い黄色が近づいていくる

「ピィピィー!」

「あれ?ヒヨピィ呼んだ?」

「ピィーーー!」

丸い黄色は羽を伸ばす

「何か見つけたの?」

「ピィ!!」

丸い黄色は走り去っていく

「ついてこいってことね」

置いて行かれないように走る


丸い黄色は急に立ち止まり

「ピピィ!!」

黄色く丸っこい何かは

短い手で壁を指差し主張する

「ここに何かあるの?」

「ピィ!!」

少女がその壁をノックすると

軽い音が返ってくる

「この先に空間がある!」

嬉しそうにはしゃぐ少女

「ありがとうヒヨピィ!」

「ピィーーー」

「よーし!!さっそく調べてみるね!!」


~~~2時間後~~~


「ああ~~~どうやったらこの壁の先に行けるの!!」

少女は壁を調べるがその壁の先に行けなかった。

「この壁の先に空間があることは解ってるのに!」

「ピィ...」

丸い黄色は少女を残念そうな瞳で見ていた。

「諦めたくない~~~」

少女は壁を何度も叩き何度目かの殴打で

ボロっ

「ん!?今ボロって!?」

壁が崩れる。

「ピヨーーー!?」

少女は壁の先に落ちた___________


壁が崩れた先は底が見えないほどの闇。

(底が見えない!?このままだと死ぬ!?)

「ピヨピーーーッ!!」

「ヒヨピィ助けに来てくれたの!?」

ヒヨピィは落下していく少女の首元を足で掴み。

 短い羽を必死に羽ばたかせることで落下が止まった。

「スゴイよヒヨピィ!!」

「ピィ...ピィ...」

ヒヨピィの言葉を聞いて少女の顔は引きつる。

「もう無理だなんて諦めないで頑張って!!」

「ピィ_____」

丸い黄色は力尽きた。

「イヤァァァアアア!!!」

 少女と丸い黄色の落下は再開した。

落ち続ける少女と黄色

「天国のお母さんお父さんーっごめんなさいっ、私ここで死ぬ」

目をつぶる少女


「ここでは"死"という概念は無い」


「えっ?何…今の声?」

目を開ける少女

眼前には"黒い花"が咲く花畑が広がっていた

「何?ここ、私落ちたはずだよね?それにさっきのは…」

「ピヨピー!」

「あっヒヨピィ!良かった無事だったんだね」

「ピィ?」

上を見る少女

「私達が落ちてきたところが見えない…」

見上げても闇しかない

「…とりあえず、ここから出る方法を探さなきゃねヒヨピィ!」

「ピヨピ?」

「とは言ったものの四方は壁に塞がれてるしどうすれば…」

「ピィピィ!」

「あっ勝手に行かないの!」


丸い黄色は花畑の中心に向かう

「ピピィーっ!?」

「また、何か見つけ...たの

えっ嘘でしょ、これって人?」

花畑の中心には人が倒れていた

「大丈夫ですか!?」

少女は、その人の体に触れる

「......」

触れていた手をひく

「…ダメだ…冷たい…この人は亡くなってるよ」

「ピヨピ…」

「ヒヨピィのせいじゃ無いよ

もうこの人、亡くなってから時間がたってるから…?」

自分の発言に疑問点を持つ少女

「あれ?何かおかしくないこの人」

その死体のどこかがおかしいかと感じた少女は考える

(四方に出入口は無いのにどうやってここに入ったのだろう…それに…)


「ピヨピィっ」

丸い黄色は少女に体当たりをする

「もう?何する...の...」

少女が先ほどまで居た位置に

剣が振りかざされる

「ヴァ…ヴァーヴァーーーっ」

(《ファントムナイト》が何でこんなところに!?)

中身がない鎧が少女を見ている

(完全に油断した、コイツ私をつけてたんだ)

少女に近づく鎧


「ヒヨピィ下がって!!」

少女の手に赤い魔方陣が構築され魔法を唱える。

炎の槍(フレイム・ランス)

少女の手から炎の槍が放たれ《ファントムナイト》に直撃し動きが止まった。

(やったの!?)

「ピピィ!」

鎧が少しづつだがまた動き始める。

「ヴァ…ヴァーヴァーーーっ」


(私の魔法でコイツを倒せる魔法は...ない)

少女は少し考えた後に言葉を発する。

「ヒヨピィ、今からあいつに魔法を打つからその間に隠れて…」

「ピィーーーっ??」

「もうちょっと一緒にいたかったけど今日で最後みたい…新しいご主人様を見つけてね」

「ピィーーーブンブンブンっ」

「ワガママ、言わない?」

鎧が少女に向かって走り出す。

「来たっ」

少女の手に赤い光が宿り

その光は詠唱を唱えるごとに光が増していく

鎧の手が少女に届く、その瞬間

炎の向日葵(フレイム・サン)

熱気と風が巻き起こり

 辺りに黒い花びらが舞う

 炎の塊に《ファントムナイト》が飲み込まれる。

「…これで時間が稼げ!?」

 少女の腕は鎧の腕に捕まれていて、その腕は炎の塊に続いている。

(時間稼ぎも出来なかった...)

 炎が消えて

そこには少女の腕を掴む鎧が立っている。

「ヴァァアアアアア」

《ファントムナイト》が少女の腕を強く握り、もう片方の腕で剣を構える。

「...ごめんみんな...今までありがとう」

「ピピイーーーっ!?」

目をつぶる少女。

(...あれ?痛みが無い...何で?)

目を開いた先には異様な光景だった。

「謝る相手と礼を言う相手が違わないか?」

少女の目の前に先ほど倒れていた死体が声を掛けてきた。


その体を剣で貫かれた状態で_____


少女は死体に話しかける

「体に...剣が.....」

「大丈夫だ俺には"死"という概念が存在しないからな」

(あれ?その言葉は...さっき)

「ヴァ?」

鎧が驚くように剣をその体から引き抜こうとするが抜けない」

「...君.....人なの?」

「...コイツを倒そう会話の邪魔だ」

(なに言ってるのこの人、《ファントムナイト》は

A級の魔法使いで挑むことの許可が出る相手なのに)


鎧はやっとその体から剣を引き抜き目の前の男に切りかかる。

「ダメ!危ない?」

次の瞬間鎧の腕は引きちぎられていた。

「ヴァァアアアアア」

引きちぎった腕をそこらへんに投げ捨てる。

「遅すぎだ」

少女はそれを呆然と見ていた。

(《ファントムナイト》の腕を素手で引きちぎった…この人"肉体強化系"の魔法使い?でも、さっき剣で切られても大丈夫そうにしてたし…)


《ファントムナイト》はちぎれた自分自身の腕を見て理解する

 その男との力の差を

 "狩る側"ではなく"狩られる側"だということを

 鎧は全速力で男とは反対方向に逃げる。

「背中を見せて逃げるのは悪手だ」

 男の手に黄色い光が宿り

そして、魔法を行使した。


蠍の象徴(スコーピオン・テイル)


 少女がその魔法を見て理解したことは

男の掌から出た何かが《ファントムナイト》を鉄屑にしたことだけだった。

 男は鉄くずを見つめる。

「お前程度に使う魔法ではなかったな」


少女は男に近づく。

「ケガは大丈夫?」

「...ケガ?」

「さっき刺されたでしょ!」

「それなら

 _____すでに再生している」

「傷口が再生してる!?」

少女が見たのは傷口が徐々にではあるが塞がっていく様だった。

「魔法無しで傷口が再生していくなんて...君.....何者?」

「そういえば自己紹介をしていなかった」


男は言葉を貯めて言い放つ。

「俺の名前は

 _____スコーピオン・テイル

 そして

 _____化け物だ」


この出会いが世界を変えるきっかけだとは今の彼女はまだ知らない。


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