第1章3話 非日常への鍵
獅童レオと名乗るイケメンが言ったことに対する俺の率直な感想を言おう
何⁉︎神の使徒って!厨二臭っ!だ。
多分いい年こいてるであろう大人が、神の使徒て。
厨二かっ!
俺の心情も知らず、獅童レオは話し続ける。
「まず、君の街を襲った物は、恐らく、神が念じて創るもの、神念創造物〝人殺し〝と呼ばれる個体だ。」
「いや、おかしいでしょ。今のレオさんの言い方だと、神が存在するみたいじゃないすか。」
いやー、何言ってんだろなー、この人。神なんているわけないじゃないか。いやー、困ったなー。
「君は理解が早くて助かるな。他の人は中々信じてくれなくてね。」
「いや、神なんているわけないじゃないすか。全ては科学で解決の時代ですよ。」
そう、神なんているはずがない。現実的でないし、もしいるんだったら、…………めっちゃいい!!
「も、もしかして、本当に神はいるんですか!この世は実はファンタジーですか!?」
「あぁ、いる、いるとも。」
神だ!ファンタジーだ!天から雷落ちてきたり、地震起こしたり。いるんだったら会おう!そしてチートをもらおう!人生イージーモードだぜ!イェー!
「レオさん!神に、俺は呼ばれてる!会いにいかないとっ!」
「そうだ!君は呼ばれてる!レッツゴー神!」
「イェー!レッツゴー神ぃ!」
謎にハイテンションになっていた俺が勢いよく立ち上がると、いきなり全身から力が抜けた。目眩と、凄まじい頭痛が襲ってきて、俺はその場に倒れ込んだ。
「あ、そうだ、まだ動かないで。君、喉の損傷と、栄養失調とか色々ひどかったから、絶対安静なんだよ。君は。」
そういうと獅童レオは、俺の体を片手でベッドに運び何か薬を注射した。
そうして、
俺の意識は、再び闇に飲まれた。
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それからしばらくして目覚めた俺は、レオさんから神に関することを聞いた。
神とは、人間の世界には存在しない。
強い意志、明確な目的を持った人の前に体現する。
神と契約した人間は、その神の特性に合った能力を得ることができる。
この世には、神以外にも、精霊や、妖精、幻獣とされている生物も存在する。
神との契約は重複が効かない。重複すると、神が嫉妬して、契約を切られるらしい。
「じゃ、じゃあ!俺も神と契約できるんですか⁉︎」
「強い意志や、明確な目的があれば可能だ。」
「強い、意志…」
意志ならある。復讐だ。俺の家族と親友、故郷をめちゃくちゃにしたやつに復讐する。
でも、それには力がある。あの黒い鎧、レオさんが、人殺しと呼んでいたやつは、俺がいくら体を鍛え、知略を駆使しても、絶対に倒せない。
あいつに復讐するための力を得る機会が、今、俺の目の前に転がっている。
「レオさん、俺に、神と契約させてください。お願いします。俺は、あいつに、人殺しに復讐したい。そのための力が欲しい。だから、お願いします。」
レオさんは、しばらく俺の目を見た後、わかった、と答えた。そしてその後、こう言った。
「俺が所属している神の使徒は、君と同じような境遇の人がたくさんいる。必ず、君の力になってくれるだろう。君と戦う仲間になってくれるはずだ。だから、俺たちの仲間に、神の使徒に入らないか?」
1人より2人、2人より3人、そんな言葉が俺の頭に、浮かんできた。 なんだかんだで、この人は、復讐に燃える俺の心を悪い方向に行かないよう、ずっと止めてくれたいた気がする。
そんな人からの誘いを、断るわけには行かないだろう。
「わかりました。神の使徒に、レオさん達の仲間になります。」
この日、俺は神の使徒になった。
この集団に入って、色々苦労するのは自分の方どということを、俺はまだ知らない。