第1章2話 復讐への扉
俺は夢を見ていた。友達と話し、家に帰れば家族がいる。そんな普通の日常の夢を。誰もが普段そうしているであろう生活を。
しかし、突然黒い鎧がきて、全てを引き裂いていった。
そいつは一瞬にして、俺の全てを台無しにしていった。
俺はあいつを許さない。絶対に、絶対に。
地獄の底までおいかけて、八つ裂きにしてやる。
景色が揺らぐ。黒い鎧も、友達も家族の姿も揺らぐ。夢が終わるのだろう。しかしこの気持ちは消えない。絶対に、復讐を果たす。
夢が、終わる
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ここは、どこだ?
確か俺は街で倒れて、それで…
「あ、起きた?」
目の前にイケメンがいた。髪は金髪。憎たらしいほど整った顔立ちに、スラリとした体型だ。
「あ、はい。あなたが、ここに俺を運んだんですか?」
「うん。そうだよ。ぐちゃぐちゃになった街の中に1人倒れてた時はびっくりしたよ。」
「俺、俺以外の人はいたなかったんですか?」
「誰もいなかった。ぐちゃぐちゃになった肉片らしき物はあったけど、人の原型を留めている物は0だった。」
そんな、そんなはずはない。青葉は刺されただけでぐちゃぐちゃにはなっていなかったし、俺の家族もそんなことにはなっていなかったはずだ。おかしい。
いや、その前にそもそもここはどこなんだ?なぜこいつは俺を助けた?
「ここはどこですか?あなたは…誰ですか?」
「僕の名前は田中 太郎。ここは太郎ハウス。」
なめてんのか?こいつ。
「次に僕の質問にも答えてもらおう。君の街はどうしてああなった?君はそこで何を見たんだい?」
俺もふざけて返そうかと思ったが、太郎(仮)の表情はとても真剣で、とてもふざけて返せる雰囲気ではなかった。
「俺はそこで、巨大な黒い鎧を見ました。大きな剛刀を持って………人を斬っていました。」
言っているうちに、ドス黒い憤怒と、悲しみが込み上げてきた。
「俺はあいつに、家族と親友を殺された。俺はあいつを許さない!絶対!絶対に‼︎」
俺は言っているうちに、段々と、歯止めがきかなくなってきた。
「俺はあいつを絶対殺す!地の果て、地獄の果てまでおいかけて、絶対に八つ裂きにしてやる!」
俺はそこまでいって、ようやく人前だということに思い出した。
「あ、すいません。聞かなかったことにしてください。」
太郎(仮)は、ぼそり何かを呟いた。
「そうか、君もか…」
「僕の正体を明かそう。君にならいいだろう。」
あ、やっぱり太郎は嘘だったんだ。
「僕は、神の使徒日本支部副所長、獅童 レオだ。」
獅童レオは、真面目な顔で、そう言い放った。