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魔王革命譚  作者: 朧月
6/21

事件

〈バサッバサッバサッバサッ〉


頭上に影が差した―――羽ばたき音からして、ウルスが帰ってきたのだろう。


おとなしくしておくと約束したのに、一人で魔法を行おうとしているのを知られたら、確実に説教行きだな。魔法を具現化するのにはあきらめて、力を抜く。


「場所を空けてくれ!!」


上から焦ったような声が聞こえてくきた。


とっさに後ろに飛び退くと、立っていた場所に巨体が落ちてくる。その衝撃で、わずかに残っていた枯れ草も吹き飛んでしまった。急いで、ウルスの元に駆け寄り、安否を確認する。


「ウルス!!大丈夫!?」


ウルスは翼にけがをしていた。大砲に穿たれたような焦げた穴が所々開いている。穴からは血が流れており、見るからに痛々しい。誰だ、こんなことをしたのは。


「心配ない。少し油断しただけだ。まさかあの距離から撃たれるとは思わなかった。」


弱々しい声で心配ないと言われても信用できない。


「心配するよ!一体どうしたの!?」


撃たれたといっていたが、枯れ草を取りに行くのに人間の街?の近くには行かないのではないか。


「魔槍兵にやられた。もう、こんなところにまで来ているとはな。」


まそうへい?魔法の防具でもしているのだろうか。まそうへいが何なのか気になるが、ウルスのけがの手当の方が先だ。


「ウルス、けがは翼だけ?」


……翼なら、致命傷にはならないはずだ。


「ああ。ここに戻ろうと、飛んでる途中に、魔槍兵に気づかれてな。さすがに胴体を狙っても上空じゃ鱗に弾かれると思い、地上に落とそうと考えたのか、翼に攻撃してきたのだ。そのせいで、うまく着地ができなかった。」


上空ってことは敵は遠距離から攻撃したのか。てことはウルスは魔法にやられた?穴が焦げているから、火系統の魔法だろうか。とにかく、けがの治療をしないと。


「ウルス、どうすればいい?」


こんなに大きな者の手当はしたことがないので、仕方がなくウルスに指示を仰ぐ。


「お前は何もしなくてよい。我はドラゴンだ。こんなもの、我の再生能力ですぐに治る。」


すぐ治ると言われても。ここは異世界なので、いかせんやせ我慢なのか本当にそうなのかが判断できない。


「本当に?」


「本当にだ。」


……まぁやせ我慢だとしても、命に危険はないなら大丈夫だろう。


「しばらくは飛べなくなるな。そもそも、魔槍兵が近くにいるのなら、うかつに外を飛べないかもしれんな。」


確かに穴が開いた翼じゃ飛ぶのはきついだろう。こんな大きいドラゴンに怪我をさせる……確かに外は危険なのかもな。

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