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水曜日 Ⅰ

「あっ、小笹」


  翌朝、廊下で剣人くんとすれ違った。例の露実ちゃんの彼氏。


「どう、こないだのうまくいってる?」


  明るく聞かれて返事に詰まる。


「……おかげさま、です」

「そっかぁ。綾瀬に聞いても守秘義務があるとかなんとか言って教えてくれないからさ。気になってて」

「えっと、露実ちゃんからは……?」

「あ、今あいつと喧嘩中」


  平然と言う剣人くんに、唖然とする私。


「ちょっと怒らせちゃってさぁ、しばらく口きいてもらえそうにない」


  喧嘩? 露実ちゃんそんなこと、ひとことも言ってなかったのに。


「仲直り、しないの?」

「着信拒否されてて、もう完全、避けられてる感じ」


  驚いた。露実ちゃんをそこまで怒らせるなんて、剣人くんは何をしたんだろう。

  ふっと剣人くんはいたずらっぽく笑った。


「たぶんあれだな、小笹って可愛いよな、とか言っちゃったからなー、俺」


  ぎくっとする。


「……露実ちゃんに? どうして?」

「あいつ、超上から目線で、ウチらがいなきゃ深和ちゃん一生彼氏できなかったんだから、とか言うんだよな。いやいや、小笹ならその気になれば楽勝だろって」


  同意を求めるように剣人くんが私を見た。私は慌てて顔を背ける。


「はっきり言って小笹は可愛い。傲慢で無駄にプライドの高い露実と比べたら、なおさら可愛い」


  聞きたくない。私にそんなことを言わないでほしい。剣人くんは私にどうしてほしいの? 私はなんて答えたらいい?


  剣人くんと目を合わせたくなくてうつむくと、


「でも小笹、とうとう綾瀬とくっついちゃったかー」


  剣人くんが言った。その言葉に引っ掛かる。

  ……とうとう?


「綾瀬も駄目だよなぁ。女子に告白させるなんて」


  私は勢いこんで尋ねる。


「そ、それ、どういう意味?」

「え、俺の口から言わせる?」


  剣人くんの顔には2種類の表情が浮かんでいた。そのどちらも痛いほどこっちに向いている。

  やがて彼は溜め息でもつきそうな表情に変わった。


「綾瀬って入学したときからずっと、小笹のこと好きなんだぜ」


  一瞬フリーズした。思考回路が再び機能するまでに時間がかかった。

  う……そ……?

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