消えない過去Ⅳ
ユウキへ
長い間閉じ込めていて悪かった。
……いや、長いといってもお前にとっては1週間もない短い空白だったかもしれない。俺にとってはもっと短かったな。人生でいちばん時の流れが速く感じた。
同時に生きていていちばん苦しい時間でもあった。
幸せを押し殺していたから。
彼女の側にいられることは幸せ以外のなにものでもない。それでも俺は幸せになれない。いや、なっちゃいけない……。
さて、ここからが本題だ。
“仮の制約”について。これは俺がお前の名前で彼女と結んだもの、だから“仮”だ。お前にはこれを解消してもらいたい。嫌な役回りかもしれない。でも俺は同時にお前にチャンスを与えたんだ。
制約の解消後はお前の自由だ。好きにしていい。お前のとる行動はなんとなくわかるよ。お前の考えることは手に取るようにわかる。
俺も彼女も互いに自分を偽っていた。だからずっと、お互いの思いが通じ合うこともなかった。
お前はまだ子供だ。幼くて無力だ。俺は知っている。誰よりもよく知っている。
お前は素直だ。
嘘がつけない。
なんでもすぐに顔に出る。
クールぶってるただのお子様だ。でもそれでいい。
自分を偽ろうと思うな。そのままの自分でいるんだ。お前は俺のようになっちゃいけない。
彼女には別れの言葉も言えなかった。
だけど後悔はしてない。
俺は彼女の名前をまた呼べたから。
1度は忘れてしまった彼女の名前を。




