金曜日 Ⅱ
綾瀬くんがいないから、バスケ部の練習が終わるまで待っている必要はない。でも私は図書室に寄った。部活が終わる時間まで待って、そのあと。
校門には誰もいなかった。少しがっかりして帰路につく。
どこかで期待していた。
綾瀬くんなら、きっと。
たったひとりの帰り道。ひどく静かで……寂しい。
数日前までこれが当たり前だったのに。全然、寂しくなんかなかったのに。
誰かの話を聞きながら相槌も最低限に抑えて、置物みたいにその場にいるだけだった私。気配を殺して、空気になりたがってた。好かれなくていいから、嫌われたくない。誰かに好かれたら、誰かには嫌われる。だったら誰にも愛されなくていい。
私の望んでいたことになんの価値があるの?
存在を消せば消すほど私の価値はなくなっていって、生きてる意味なんてわからなくなって。
私が……消える。
意味もなく生きていくなんて嫌だ。自分で意味を探さなくちゃ。消えちゃ駄目。私は消えない。消えたりしない……!
綾瀬くんに会いたい。会ってちゃんと伝えたい。見せかけでも虚勢でもない、偽りのない本当の気持ちを。
ありがとうって。
私を救ってくれてありがとうって。
綾瀬くんに聞いてほしい。私はうまく話せなくてすごく時間がかかってしまうかもしれないけど、ちゃんと最後まで言いたい。
綾瀬くんに聞いてほしい。他の人に話すのはまだ怖い。
綾瀬くんだけだもん、私が何を言っても受け止めてくれるって言ってくれたの……。
綾瀬くんに会いたい。綾瀬くんに聞いてほしい。




