草原での邂逅
頑張ります。
僕は草原に立っていた。
あのベスという神様が僕の天職が糸使いだとわかったときの反応からして不遇、だろうな。
どんなジョブなんだか、ステータス確認しよう。
不思議と自然にステータスを開けた。
◆井伊秋斗 レベル1
天職 糸使い
スキル 糸操作 斬糸
ギフト ベス神の加護
◆糸使い
糸をいとも簡単に自由自在に扱う者。
◆糸操作
自らの意思で糸を操るスキル。
◆斬糸
糸に斬性を付与するスキル。
◆ベス神の加護
音楽、舞踊、娯楽の神で若者と安産の守護神である、ベス神の加護。
なんというか...不遇と言うより、ふざけて作られたジョブだったんだな...うん。
どうしたものか、糸を自由自在に操れると言ってもこっちの世界の服を着せるだけでそれ以外何もくれなかったみたいだし...糸が無いんだよね。どうしたものか。大事なことなので二回言いました。
『秋斗さん、そんな貴方にお伴をあげよう。』
ベスの声が聞こえる。最初から渡してほしいもんだ。
『ごめんなさい...でもちゃんと使える子にしましたから、レベル1ですけど、レベルに応じて強くしたり、進化するようにしてますから。そっちに送りますね、じゃあ。』
その言葉を最後に送られてきたのは手のひらぐらいの大きさの蜘蛛だった。
「ご主人様よろしくお願いします。ふつつかものですが頑張ります。よろしければ名前をつけていただけませんか?」
なんだこの蜘蛛、健気で可愛い、だと......いかんいかん、名前ねぇ...どんなのにしようかな。
「あの、すいません名前を貰おうだなんて図々しかったですよね...ごめんなさい。」
可愛い過ぎる! シュンとする感じが堪らない、じゃなかった。
「違うよ、どんな名前にするか悩んでただけだよ。そうだなー、アトラク=ナクアからとってアトラとかどうだ?」
アトラク=ナクアとはクトゥルフ神話の蜘蛛の神のことである。
「そんな大層な名前をつけて頂いて...ありがとうございます! 名前負けしないように精一杯努力します!」
なんだこの蜘蛛くそ可愛い、いやアトラくそ可愛い、可愛い過ぎるぞ。
そんなこんなでアトラに案内されて街まで歩き出す。
因みにアトラのステータスは
◆アトラ レベル1
天職 従者 蜘蛛
スキル 糸創造 マッピング
ギフト ベス神の加護
◆従者
自分が仕えたい者に仕えることで、強くなる。
◆蜘蛛
蜘蛛
◆糸創造
様々な種類の糸を作ることができるスキル。
◆マッピング
一度行った場所を正確に記憶するスキル。
アトラたんは今作品のメインヒロインです。