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小標題 はじまり/人物紹介

深い闇に包まれた空間。


空気は淀み、息が詰まる。


そこには何も無かった。


人工的な音も、自然の音さえ聴こえない。


なのにそこには何か居た。


あまりにも無機質で、生きているのか死んでいるのか。


はたまた生き物ではないのか。



不気味に、


ユラリと鈍い深紅の光が灯った。


# #


 遥か昔、電気機器はおろか用水路の整備もまばらな時代。


怨嗟、憎悪、嫉み、恐れ、悲しみ、狂気。


負の感情によって生み出された それ を人は物の怪と呼んだ。


「また物の怪が出たぞー!!」


悲鳴、怒声、わめき声が飛び交う中、人々は逃げ惑う。


1人だけ真逆の方へと足を進める者が居た。


しかし、我先にと逃げる彼らには人の波に逆らい歩むその男に気が付かない。


例え気付いても、そんな粋狂な者には構わない。


周りには誰も居なくなった。


ばかりか生き物の気配すらしない。


住人の居ない空き家ばかりが並んでいた。


男は1つ大きな深呼吸をすると、眼光を光らせ一点を睨みつけた。


次の瞬間、突風と共に禍々しい気を放つ醜い何かが現れる。


「これはまたデカい物の怪よの。」


と、対峙した男は暢気に感想を述べた。


物の怪は低い唸りを上げて突進した。


「おお、恐い恐い!」


ふざけたように溢すと、何やら唱え始めた。


「             ーー!!!」


物の怪は突如動きを封じられ、呪縛から逃れようともがいた。


男は先ほどまでと違い、額に汗を滲ませ歯を食いしばった。


それからどれだけ経っただろうか。


10分にも1時間にも思える攻防は、男の勝利で幕を閉じた。


物の怪は完全に動きを封じられ、為す術もなく瞳を閉じた。


男は額の汗を拭うと、疲労しきった顔でよたよたと歩み寄り手を伸ばす。


バシュッーーー。


鋭い深紅の光が揺らめいた。


手の甲から肘にかけて、赤い線が走る。


「ーーっ!」


男はサッと手を引くが間に合わず。


傷口から禍々しい黒い文様が勢いよく全身に巻き付く。


それはすぐに消え去り、痛々しい傷だけが残った。


尚も流れ続ける血を止めるために腕をきつく縛り、物の怪を睨みつける。


「まだそんな力が残っていたのか。あの文様はなんだ。何をした!」


物の怪は不気味に嗤うと、こう残して深い眠りについた。


「      。     、                  !              、

        。      、                    !」


「っっく。」


噛み締めた唇から血が流れた。



 男の力では封印する事が限界で、人の寄り付かない森の奥深くに物の怪を封じた。


あと数日で生まれる我が子を想い、独り泣き崩れた。その悲痛な声が誰かに届く事はない。


ただひたすらに涙を流した。






ー「ソレハノロイ。コノウラミ、オマエノコドモニ ハタシテモラオウゾ!フタタビ ワレガメザメタトキ、

アイマミエヨウゾ。ソノトキマデ、センネンノコドクヲ ヒトリ イキルガイイッ!」ー


# #


 登場人物

『標題 日常』

・神崎 凛/かんざき りん:

都内の高校に通う。

身長164cm。年齢16歳。誕生日1月2日。

各クラスに1人居る感じの美人さん。大人びている。

・榊 真衣/さかき まい:

凛の友人でクラスメイト。

身長158cm。年齢17歳。誕生日7月13日。

明るく、人当たりが良い。いちいちリアクションが大きい。

・山田トリオ/やまだとりお:

凛と席が隣な山田さんを始めとしたクラスメイト3人組。

山田さん(17) 真面目。

鈴木さん(16) おっとり。

佐々木さん(17) 凛に名前を覚えてもらえてない。寡黙。


・篠ノ乃女 蓮/しののめ れん:

都内の大学に通う。

身長182cm。年齢18歳。誕生日10月10日。

整った容姿。あまり気が強くない。

・葉山荘管理人:

蓮が住んでいる。ちなみに201号室。住人には爺ちゃんと呼ばれる。


『小標題 はじまり』

・男:

特殊能力保持者。

・物の怪:

封印された。









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