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悪令嬢とやらに転生してしまった!!  作者: アップルティー
第一章
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私の前世

私は盛大な溜め息をついた。


…やっぱり何をしてもダメだった…。

今、起こっていることが夢じゃない事もほぼ確定した…ね。うん。

頬をつねってみたり、頭を叩いてみたり、勢いをつけてフカフカのでっかいベットにダイビングしてみたり、色々したけど…。

全部痛かった(1つの方法はフワフワであった)。

そして現在はベットの上でゴロゴロしまっくってます。だって自分がゲームの悪令嬢だなんて、未だに実感わかない。

それにしてもここは天国ですか幸せです!!!←

そもそも現実で乙女ゲーム?の世界だなんてありえない。でも今の自分の容姿をみたら、嫌でも現実を突きつけられる。黒髪に青目なんて、きっと前に私がいた世界では見つけられないだろう。


私は転がるのをやめ、ベッドの真ん中に大の字で寝転んだ。ふと、何故自分がここにいるのか、思い出そうとしたからだ。

しかし、自分の情報…いや、友達に聞いたあの乙女ゲームの情報以外はほぼ全て記憶になかった。(毎朝牛乳を飲んでいたのは覚えていたが)

ふぅ…まさか、一方的に永遠と聞いてた所だけしか覚えてないとはね…何で覚えてんだか。

ぼんやりと、友達が乙女ゲームのパッケージを持って、興奮ぎみに嬉しそうに説明、話をしている光景が浮かんだ。ただ、鼻から上は見えなかった。はいはいと塩対応で受け流す声と、牛乳の紙パックを持った手と頬杖している手が私のすぐ側に。


…この手と声は私だったんだろうな。私に関することで覚えてるの牛乳のこととこれだけかぁ。友達の後ろに鏡とか無いのかな?…あ、教室だからないか。


そんなことを考えていると、ドアからノックが聞こえた。


コンコン

「失礼致します。お嬢様、お目覚めの時間ですよ」


うぉおあ、そうだった。ルーシーさんはお嬢様なんでした。メイドさんが部屋を出入りするのも当たり前か。私はムクリと起き上がり、「はーい」と返事をした。

すると、サラサラで綺麗な赤毛をきっちりと三つ編みに束ねたメイドさんらしき人が入ってきた。彼女は部屋に入るなり目を丸くして、驚きを隠せない様子だった。

…?私に何かついてるのかな?あ、よだれとか?

一応口元を手で拭ってみた。今さらだけど、自分のことをお嬢様って呼ばれたのは私の中では初めてかも…す、すごく緊張する。

緊張しすぎて色々どぎまぎしてきた…


メイドさんは驚いた表情を直し、喋りだした。

「…も、もう起きていらっしゃったのなら、食堂に来て頂かないと…。ご主人様と奥様がおまちかねですよ。」


ご、ご主人様と奥様…ってことは、ルーシーのお父さんとお母さんってことかな…どんな人達なんだろう…うわぁあさっき以上に緊張してくる…!

私の手が汗ばんでいるのがわかる。だ、大丈夫!私ならいける。

よ、よし、了解したことを返事をしなければ…私は大きく息を吸って勢いのまま言葉を口にした。


「わか・・・りました今、いきましゅ。」


…緊張のあまり噛んでしまった。

…スルーしとこう。まだ六歳ほどだ。ろれつが回らなかったんだろうなってことで見逃してくれるはずだ。…多分。


「…ふ、で、では、食堂までご一緒致します。」


私は緊張から少し胸を撫で下ろした。

ふぅ…良かった…噛んだことに突っ込んでくれなくて…私はそう思いながらメイドさんの後についていった。





「「おはよう、ルー」ちゃん」


「おはようございま、す!お母様、お父様」


私が食堂に入ると、美男美女がニコニコしながら席についていた。そしてそれに答えるよう、私はニコッと笑いながらペコリとお辞儀をして挨拶を返した。

壁一面に張られた大きい窓ガラスから、太陽光が差し込む。窓からはとても美しい花達の庭園が見え、空も快晴。まるで二人を演出しているかのようだ。

ひゃ~!眩しい~!お父様はイケメンでお母様は美人!なんだろう、オーラがキラキラしていうと言うか…!ルーシーが美少女になるわけだ。お二人ともとても優しそうな顔立ちだ。良かった、厳しそうな人達だったらどうしようかと思ってしまった。


「…………!」


私が挨拶をした後、二人はすこし驚き、ルーシーのお母さんは口を押え、静かに泣き出してしまった。


…え!?ど、どうしたんだろう、具合悪いのかな⁉それか私がなにか不味いこと言っちゃったのか…ま、まさか呼び方が間違っていたとか!?

私は、慌ててルーシーのお母さんの側に行って、ギュッと片方の手を両手で握った。


「どうしたのですか、具合が悪いのですか!?それとも私が、何か言ってしまいましたか?!」

あぁ…美人さんが泣いてるところなんて見たくないよ…さっきみたいな笑顔の方が素敵なのだから…!

私が心配して見上げながら言うと、彼女は涙を拭き、優しく微笑んでこう言った。

「…何でもないのよ、貴方が笑ってくれたことが嬉しくて…あぁ、また笑顔を取り戻してくれて良かったわ…ルーちゃん…!」

そして優しく抱き締められた。


…良かった。具合でも呼び方を間違った訳ではなかったようだ。私は内心ホッとしながら彼女を抱き返した。

…また笑ってくれた…ってことは、最近のルーシーは笑っていなかったってことなのかな?一体どうしてなのだろう。にしても、笑顔を見せなかっただけで泣くほど心配してくれてたなんて、やっぱり外見だけじゃなくて内面もすごく優しいんだなぁ。


「ごめんなさい、お父様、お母様。最近お腹が痛かったので…でももう大丈夫です、治りましたから…!」


一応フォローをいれておこう。きっとこれで、心配もとけるだろう…。そう思って言うと、みるみる内にルーシーのお父さんは顔が青くなり、そして私の肩を掴んできた。

「なんだって!?お腹が痛かったのか!?それは言わなきゃダメじゃないか…!ちゃんと医者を連れてきたのに…!念のため、一度医者に見てもらった方が良い!」


…あれ、これはフォローいれない方が良かったかな…?


「そうよルーちゃん!痛みはなくなっても、ちゃんと治っているのかどうか分からないのよ?誰か、お医者様をお呼びして!」


「かしこまりました。」


その後、あとも言わない一瞬の内にお医者さんが到着し、検査をさせられましたが、案の定異常なしでした。

余計なフォローはいれない方が良いと、気づいた私でした…。

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