オプシの美学
「で、なんでクララはまだここにいるのよ」
こちらに手を挙げてヨッと挨拶するクララにコメカミがピクピクする。
「あら、この店じゃそれが客に対する態度なのかしら?」
ニヤリと口元を歪めてこちらを見るクララはしてやったりとばかりに機嫌が良さそうだ。絶対Sだな。
「なんてね。ついでだから食事を済ませていこうと思っただけですわ。いろいろと問題はあるもののこの店の料理は美味しいのよね」
そう言ってポテトサラダを口に入れた顔は年相応の笑顔でかわいらしい。
というかオプシさんのポテサラ食べたい…。
そう思っていたらクララがこちらに視線を向けて優越感に浸る。
やっぱり、前言撤回。この娘は敵だ。食べ物の恨みは恐ろしいんだから。
「そんな顔しないでくださる?それとも何かしら?この店は領主一族より美味しいものを食べている罪で捕まるほうがお望みなの?」
それは本気ではないだろうが、それほどの価値があるということなのだろう。
「お嬢ちゃん、言っておくが、うちが仕入れている食材は領主様のところが仕入れているものと比べれば一級も二級も下のモンだ。もしそれでもうちの店の方がうまいってんならそりゃあ他に問題があるってことでさぁ。」
オプシさんがいつのまにか来ていた。
「そうね。だったら貴方がうちで働いてくだされば解決かしら?」
食堂中の客がギョッとして一斉に視線を向ける。
「俺の仕事は食材に感謝して精一杯美味しく料理してやることだ。どこで働くかはたいした問題じゃねぇ。」
いい意味で予想外の返答にクララの瞳が輝く。
「だが、お貴族様用に綺麗に盛りつけたりするってのが性に合わないんでね。コイツら相手にするのが合ってるんですよ。」
「親方ーその言い分はないぜー」
と言った声が飛び交うがその声は言うほど非難めいてはいない。




