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二度目の世界で本当の自分に  作者: 夢辺 流離
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渡来人

 目を開けばまだ見慣れない天井が視界に入る。


夢見が悪く、朝日が差し込む前に唐突に意識を覚醒させられれば、背中に嫌な汗をかいている。


 ここどこだっけ…?


フヒューフヒューと不自然に洩れる呼吸を落ち着けながらここ数日を思い返し、それでもまだ信じきれず、気だるげにベッドから降り立つと洗面所に向かう。


 薄い金髪に碧玉の瞳、容姿について弄ったのは髪と瞳だけなのに鏡に写っていたのはまるで"元の自分"に似ていない少女だった。

なぜか肌が白くなっている。


 その少女の姿を見てようやく心の底から安堵することができる。

"実は夢だったのではないか"という恐怖の影から逃れることが出来る。

これはエイセスセニスへと再訪してから3日経つ今日まで欠かさず毎朝繰り返される儀式だった。


 家庭環境により、ゲームというものに触れられなかった"私"植田うえだ かなではこの度めでたく"仮想現実体感遊具"と言える機器を使ったのだが、不慣れであり、容姿をうまく弄ることができなかった。そのため搭載されている、元々の姿をヘッドギアで読み取って構成する機能を使った。

髪色と瞳の色を変えたのは、エイセスセニスでは生まれ変わりたいと思っていた私のせめてもの抵抗と、体験会で初めてエイセスセニスに訪れたときに、どこか西洋系の人種が中心だったからだ。

そんなわけだから、名前もまるで無関係なリデルにした。



 泣き喚いてようやく落ち着いた私は、声をかけてくれた男性の勧めにしたがい町へと入ることにした。他の町に入ろうとする人達の列の最後尾にならんだ。町外れの私を見た人もいたのだろう。時折視線を感じては俯きがちだった。


 しばらくして私の番がやってきた。

見張りの兵士に身分証明書を見せろと言われたが、作っていないのだから当然持っていなかった。そういう場合のために一時的に銀貨を預けて一時的許可証を受け取る仕組みもあるのだが、当然お金も持っていなかった私は呼び出された兵士に前後を囲まれ別室へと連行された。

"この世界はゲームではなくもう一つの世界です”と言った開発者の人に幾らなんでも放置しすぎでしょと文句を言いたかった。


 連れて行かれた部屋で私は取調べを受けた。

名前や歳などから始まり、この町へ来た理由、この町で何をするつもりかなどと沢山の質問に出来るだけ正直に答えたところで、兵士の一人が

「どうやら間違いなさそうですね」

 といい、

上司らしい少し立派な鎧の兵士が、

「ああ、そのようだな」

 と応える。

私のわからないうちに事態は進行中で、これからどうなるのか不安を隠せないでいた私に兵士(上司?)はいった。

「君は"渡来人"かね?」

「"渡‥来……人?"」

 対する私の返答は鸚鵡返しの一言だった。

 取調べを行っていた3人の兵士はここで安堵の息を吐き、

「突然各地でみられるようになった君たちのような人間をそう読んでいる。途中、幾つかの言語を切り替えて話していたのだが、君は疑問を感じるそぶりも見せず、流暢に応えていた。そして、自分で"渡来人"だといわない者は"渡来人"の可能性が高い、というわけだ。」

「"渡来人"の知恵・知識・技術は町の発展に大きく寄与する、ということで各国こぞって保護をしている。君もこの札を持って役所のほうにいけば、とりあえず1月は国が生活を支援してくれる。そのため、"渡来人"を装うものも出てきていてね、餞別が必要と言うわけだ。君にも迷惑をかけた」


 勧められた役所へと赴き、登録すれば宿やら、生活に必要なものを買うための費用、身分証明書を発行してもらえた。

早速宿へと向かった私は結構疲れていたのだろう、部屋へと着くなりそのまま寝てしまったのだった。


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