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3年がたちました。
元々は小国の出身で確かな後見もない王女様は
誰からも相手にされず、王宮の片隅でひっそりと暮らしておりました。
王女様の身の回りのお世話をするのは
輿入れにもついてきてくれた年老いた乳母のみ。
それでも王女様は幸せでした。
飢えることも、寒さに震えることもなく
ただただ、毎日時間を過ぎるのを待つ生活。
乳母と一緒に刺繍を刺したり
ゆっくり本を読んだり、時には部屋の前にある小さなお庭で
お花を育てたりして過ごしていました。
時折届く父王からの手紙は
祖国が列強の国々に脅かされず、平和に過ごしていることが
したためられていました。
それだけで、王女様はとても幸せでした。