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王女様が嫁いだのは、大陸一の軍隊を持つ
大国でした。
夫になる王様は、王女様の父である国王様よりも
年上で、すでにたくさんお妃様がいました。
それでも王女様は気にしませんでした。
この婚姻によって、小さな国が救われるなら
それくらいは些細なことだったのです。
王様はとても怖い人でした。
がっしりとした身体に、王女様の腰くらいある
腕に、ギラギラ光る目をしていました。
王様は王女様に一言も声をかけず、
初夜で無言のまま組み敷いたのです。
王女様は、恐怖と痛みのあまり悲鳴すら飲み込み
ただただ、この恐ろしい行為が早く終わりますようにと、祈るばかりでした。
王様が王女様に会ったのは、これが最後でした。
王女様は、王様と恐ろしい行為をしなくても
よかったので、安心していました。
王女様は王様の第7夫人として、王宮の一番奥のお部屋でひっそりと生きているのでした。