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死者の国  作者: 多聞
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2

王女様が嫁いだのは、大陸一の軍隊を持つ

大国でした。


夫になる王様は、王女様の父である国王様よりも

年上で、すでにたくさんお妃様がいました。


それでも王女様は気にしませんでした。

この婚姻によって、小さな国が救われるなら

それくらいは些細なことだったのです。


王様はとても怖い人でした。

がっしりとした身体に、王女様の腰くらいある

腕に、ギラギラ光る目をしていました。


王様は王女様に一言も声をかけず、

初夜で無言のまま組み敷いたのです。

王女様は、恐怖と痛みのあまり悲鳴すら飲み込み

ただただ、この恐ろしい行為が早く終わりますようにと、祈るばかりでした。


王様が王女様に会ったのは、これが最後でした。


王女様は、王様と恐ろしい行為をしなくても

よかったので、安心していました。


王女様は王様の第7夫人として、王宮の一番奥のお部屋でひっそりと生きているのでした。



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