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アサシンズ ロア  作者: ぽんこっつ
教国編
49/52

【忘れられた神の聖域】にて 女の闘い?

ちょっと仕事がばたついて、間が開いてしまいましたすいません

薄暗い階段を、慎重に降りて行く

階段は、右回りの螺旋状になっていて、

先がどうなっているか確認ができない


通路の幅が狭く、二人並ぶのがぎりぎりなので

俺、王子、みどりさん、【伽藍】さんの順で降りている


「 なあ…王子、正規ルートじゃないってどういう事だろう? 」


本当は、一気に階段を駆け下りたい気持ちがあるのだが

正規ルートじゃないというログが流れたので

何処に通じているか解らない以上、慎重に進まざる得なかった


「 そうですね…私もwikiで見た程度の知識しかありませんが… 」


王子が説明してくれたのは、本来、教国の上級ダンジョンは

中級ダンジョンの最深部から入場できる仕様で

入場まで手間がかかり過ぎると不評だったらしい


「 長いわねっ…いつまで降るのよ、これ 」


「 うむ、もう五分は降りているのであるな 」


みどりさんが愚痴っぽくこぼした言葉に、【伽藍】さんも同意する

(確かに…どこまで降りるんだろうな…)

俺も声には出さず同意して、螺旋状の階段の奥に注意を向ける


「------だ! ーーーえ! 」


誰かの怒鳴る様な声が聞こえ、

その後に金属同士がぶつかり合う鋭い音が何度も響く


「 どうやら、出口付近で戦闘のようですね、急ぎましょう 」


王子の言葉に頷き、階段を降りる速度を上げる

階段の終わりの光が漏れる部分に辿り着くと

大きな広いホールに出る、

何も装飾がされていない広いホールには

白い鎧を纏った騎士団が三十名程、それに対峙するように

モルデ率いる白ローブが五人、紫の法衣を纏った男と女性司祭を

守る様にしながら、後退している状態で

床には十名以上の白ローブ達が倒れて、うめき声を上げていた


「 観念しろ、モルデ! 今回の大司教選出は、教皇様の任官宣誓がなされなかった為に無効と、枢機卿全員の連名で告発されたのだ!審理が出るまでは、審理の塔に預からねばならぬ! 」


騎士団の一人から鋭い声が飛ぶ


「 なにを言う! 大司教様を売りおったな! 貴様らっ! 」


顔を真っ赤にしながら、叫び返すモルデだが、人数差で徐々に

ホールの隅に追い詰められている


「 我々は教皇様、そしてこの国の騎士団だ、大司教の騎士団ではない、もう観念しろモルデ、教皇様を隠している場所を明かせ 」


騎士団の一人は、諭すように語りかけながら、包囲を狭めて行く


「 王子、あれって… 」


「 大司教側が失脚したようですが…変な場面に出くわしましたね 」


俺の問いに、王子が少し困った顔で答える


「 うむ、ガーネット殿が見当たらないのであるな… 」


【伽藍】さんが、周りを見回しながら呟き、俺達の先頭に進み出て

ホールに響き渡る、大きな声をあげる


「 貴殿らに問いたい事があるのである! 」


突如発せられた大音声に、二つの集団は動きを止め

驚いた表情でこちらを振り向く


「 なっ!貴様らっ!なぜ此処に! 」


モルデは、手にした剣を騎士団とこちらに交互に向け狼狽した様に叫ぶ

【伽藍】さんは、そんな二つの集団の様子を気にした様子も無く


「 うむ、これ位の身長のガーネットという少女を見なかったであるか?」


自分の胸の辺りに、手をかざし普段と変わらぬ口調で話しかける


「 あら、その子なら知ってるわよ 」


【伽藍】さんの問いに、意外な所から返答が発せられ

騎士団やモルデ達も釣られて、声のした方を向く

視線の先には、腰まで伸びた黒髪が特徴的な女性司祭


「 それは本当ですか? 」


王子の訝しがる声に、女性司祭は微笑みかけながら続ける


「 ええ、知っていますよ、先程騎士団が不審人物として審理の塔に連行していきましたから 」


「 なっ!そんな事実はない! アーニャ司祭何を言う! 」


騎士団を指差しながら告げる女性司祭に、騎士団が慌てて叫び返す


「 そうだ、騎士団が連れて行ったぞ!その女なら、貴様らは冒険者であろう?ならば依頼を出す!騎士団から儂の身を守れ! 」


女性司祭の言葉に、続き紫の小太りの男が大声でまくし立てる


「 往生際が悪いぞ!大司教殿 」


騎士団達は、罵りの声を上げながらも、此方に対し警戒態勢を取る


「 ねえ、これって… 」

「 典型的な悪役の台詞ですね、解りやすいですね 」

「 うむ!明快であるな! 」

「 いっそ両方スタンさせちゃう? 」


みどりさんの提案を却下しつつ小声で囁き合う俺達に、我慢しきれなく

なったのか、大司教が苛立った声で更に叫ぶ


「 ええい!儂は数日後には世界の王となるのだ、こんな所では終われんのだ、ここを無事抜けれたら、お前達に世界の二十五分の一をやろう! 」


その発言に女性司祭は、舌打ちをしながら、大司教を睨みつける


(二十五分の一とか半端な…というか、引き受けたら椅子から動けなくなったりするのかな…しかし解りやすい発言だな)


俺達は顔を見合せながら、苦笑を浮かべる、皆も同じ事を思った様だ


「 残念、その言葉は使い古されてるよ、大司教さん 」


俺はそう告げ、騎士団達に手を上げ、邪魔をする意思のない事を伝える

騎士団達は安堵したように、軽い礼を返し、モルデ達に向き直る


「 もう本当に馬鹿ね…呆れたわ…」


女性司祭は呟きながら、ゆっくりと右手を上げる


「 【深淵の光】(レイオブアビス )


掲げられた右手から、黒い輝くエフェクトが漏れ、弾ける

叫ぶ間も無く、次々倒れて行く騎士団と大司教とモルデ


射程が短いようで、幸いこちらまでは影響はきていないが

彼女から発せられた【深淵】という言葉にある事が浮かぶ


「 グランドクエストのボスか?! 」


俺の問いに、妖艶な笑みを浮かべながら女性は応える


「 そうね、【深淵を彩る色欲】アーニャよ 」


アーニャと名乗った女は、そう言いながら自らの身体にも

黒い光を当て、黒いエフェクトに包まれる

エフェクトが消え、次に現れた姿は、大胆に胸元が開き、

太もものかなり上まで際どいスリットが入ったチャイナドレス姿

その姿を見せつける様に、しなを作りながら軽く一回転しておどけて見せる


「 いかがかしら?好みに添えたかしら?」


その姿に、一番に噛みついた人がいた


「 なによっ!自慢げに見せびらかしてんじゃないわよ! 」


ビシッとある一点を指差し敵意を燃やすみどりさん


「 あら?お気に召しませんでした?もう少し派手な方がいいかしら 」


小首を傾げながら、自分の胸元ををさらに開けようとするアーニャに


「 あんたっ!わかってやってるでしょう… 」


「 そういえばあの子も、興味津々でしたわねえ 」


余裕の笑みを浮かべながら、なぜか勝ち誇るアーニャに

みどりさんは指していた指をゆっくり下げて微笑みかける


「 さすが【深淵の色魔】ね、脳みそ全部そこにつまってんじゃないの?」


「 なっ!誰が【色魔】よ!【色欲】よ、情念とか色々含まれてるのよ!ああ…お子様には難しいかしらねえ 」


アーニャはそう言って、みどりさんのある一点を指差す


「 そうねっ!わかんないわね、一か所だけ成長してる年増の【色魔】と張り合ってもねえ、後はしぼんでいくだけだものねえ 」


そういって、首を横に振りながら、両手を肩の辺りまで掲げておどけて見せる、そして二人の目があった瞬間、言葉が重なる


「「  絶対、許さない!  」」


こ…こわいんですけど…なんですかこの戦いは!

取り残されている男三人衆は、どう反応していいかわからず顔を見合わせる


対峙してる二人の間には、目には見えないけど

きっと凄い火花が散ってるんだろうなあ…

でも、このままじゃ何か戦闘に入りにくいな…

思い切って声を掛けてみよう!


「 あの… 」


「 なによ変人! 」

「 あら?何かしら? 」


二人は、お互い睨みあった目を逸らさず返答を返す


「 胸の大きさとかはそこまで大事じゃないかと思うんですが… 」


その言葉に、弾かれた様にこちらを振り向く二人

ちょっ!目付きが怖いんですけど!


「 変人っ!直接的表現できたわね… 」


なぜか拳を握りしめながら、こちらを睨むみどりさん

その真剣な表情に思わずうろたえながら続ける


「 大きさは重要じゃないと思うんだ!なんてね!あはは 」


乾いた笑いを浮かべつつ自分をフォローして逃げようとする


「 あら?!じゃあ何が大事なのかしら? 」


アーニャが妖艶な笑みを浮かべながら小首を傾げる

【色欲】!余計な事を言うな!


「 そうねっ…あんたはどう思うのよ! 」


みどりさんも真剣な表情で聞いて来るので、

自分で掘った墓穴からの脱出の手助けを頼むべく

王子と【伽藍】さんを振り返る…


何その二人して、『あーあ、やっちまったな!諦めろ』

見たいな憐れむ目は辞めて!


「 さあっ!どう思うのよ! 」

「 是非参考までにお聞かせ願いたいわ 」


二人の視線に晒され、期待する様な眼を向けられる


「 あの…その… 」


予想以上の反応に、何も考えずある言葉を返してしまう


「 かたち…? 」


俺が発した言葉に、空間が固まり、時間が止まる


「 あんたっ!ここで見せろっていう事なのっ!変態っ! 」


胸を隠す様に押さえて、後ずさるみどりさん


「 あら、良いわよ、ちょっとお待ちなさい…」


ちょっ!違う見せろっていう訳じゃねえええ!


王子と【伽藍】さんが目の上に手を当て、空を見上げる


「こいつやっちまったな 」ポーズを見ながら

俺は叫ぶ


「 見せろなんていってませんからーーーーー!!! 」










どうしてこうなった…

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