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アサシンズ ロア  作者: ぽんこっつ
教国編
46/52

城門にて

お読み頂きありがとうございます

少しでも楽しんで頂けると幸いです


月明かりに照らされる街道から少し離れた森の近くで、

俺達は待機し、ガーネットさんの合図を待っていた

俺以外の三人は、城から出て来た別動隊から、馬を借り受けている


「 ガーネット班ワープポイント到着です! 」


元気のいいガーネットさんの声がPTチャットで聞こえる

あの後、ガーネットさん達侵入班は、馬を飛ばし

夜が明ける前に、ワープポイントのある都市に到着していた


「 了解、それじゃあそろそろ俺達も行動を始めようか 」


月明かりの中、馬車を進ませ、街道に出る

首都の城門が見え始めると、城門の付近に、無数の篝火が焚かれているのが

遠目にも見え、警戒を緩めていないのが確認できる


「 それでは行動を開始しますよ! 」


王子の言葉と共に、俺は馬車をゆっくり反転させ始める

遠くの方から聞き覚えのある叫びが上がる!


「 おいっ!待てそこの馬車っ! 」


モルデの声が、深夜の街道に響き渡る


(こんな夜遅くまでご苦労様…)


昼間から俺達を、ずっと待ち構えていたのだろう

モルデの執念と仕事熱心さに思わず苦笑が浮かぶ


その叫びに答える代りに、反転を終えた俺達は

街道を、加速し引き返しだす


「 逃げるぞ!追えっ! 捕まえろ!!! 」


モルデの必死の叫びに、白ローブを着た十名程が、馬で駆けてくる


「 いくわよっ! 派手目に花火を上げるわよっ! 」


みどりさんが後方を振り返り、迎撃しようとする


「み、みどりさん!お願いが! 」


「なによっ!変人! 」


スキルを放とうとしていたみどりさんは、俺の突然の言葉に

驚いて振り返る


「 できれば手加減をしてやってください… 」


「 もうっ!そんなのわかってるわよっ!手加減無しでいいなら

城門ごと吹きとばしてるわよっ! 」


お願いします!手加減無しは絶対に辞めて下さい!

コレ以上色んな意味で有名に成りたくありませんから!


みどりさんの豪快な破壊宣言に反応したのは【伽藍】さんで


「うぬっ?!みどり殿は城壁を破壊できるのであるか… 」


そう呟いて、右の拳骨を見つめだした


「馬鹿ねっ!あんたの一撃必殺の単体スキルと、広範囲高火力魔法スキルとは全然別物でしょっ!広範囲に高いダメージが及ぶから破壊できるのよっ!目的も用途も違うわよっ!」


みどりさんは苦笑に近い表情を浮かべながら【伽藍】さんに

馬を寄せながら、説明する


「うむ!そうであるか!拙僧はいつか城壁を破壊するのである!」


拳骨を、力を込めて握り直し、力強く宣言する【伽藍】さん


「もうっ!脳筋っ!あんた私の話ちゃんと聞いてたのっ!」


みどりさんは、呆れた様な顔で【伽藍】さんを見て、最後に溜息をついた


「あの…」


「なによ変人!まだなにか頼み事があるの?」


「いえ…でも…」


「もうっ!何よっ!はっきり言いなさいよっ! 」


苛立ちを含みだしたみどりさんの声に、俺は後ろを指差し


「めっちゃ近づかれてますけど…白ローブ達に!」


指差した先には、俺達まで十m近くまで迫り

王子が飛び出して接近を阻もうとしていた


「もうっ!早く言いなさいよっ!王子っ!行くわよ【ライトニングスタン】


夜空に鮮やかな稲妻が煌めき、迫りくる白ローブ達を撃つ


「ぎゃあ!」「ぐおっ!」


口々に苦痛に叫びを上げ、馬から転げ落ちる

広範囲の雷撃による麻痺スキルで広範囲の代償として低威力


「ちゃんと手加減はしたからねっ!馬から落ちての怪我までは知らないけどねっ!王子っ!逃げるわよっ! 」


みどりさんの言葉で、俺達は更に街道を加速する


「 攻撃をしてきたぞ!他の城門からも応援を呼べっ!追撃するぞ!」


モルデの焦りを含んだ叫びと共に、城門に集まった白ローブ達が

次々と、馬に乗り、俺達を追いかけようと駆けだす


「ガーネットさん、釣れました、二分後位に別働隊と同時に侵入を!」


「わかりました!潜入します!」


王子の声に元気よく返事をするガーネットさん


「では私達も、順次離脱して行きますよ!」


王子が馬で駆けながら、俺達に合図を送る

全員で侵入は難しいとの判断から、順番に離脱し

各自が別の城門から侵入する事にしていた


「 待て!貴様らっ!逃げられると思うなっ!」


モルデの叫びは、段々迫ってくる

こちらは馬車を抱えているため、追いつかれるのは時間の問題だ


「では私から離脱します!」


すると王子の白銀の鎧は一瞬で司祭服に変わる

アイテムボックスに司祭服を入れてあるための、一瞬での早着替え


「こちらです!」


王子の馬は街道から外れ、西の平原へ駆けて行く


「ちっ!司祭服が逃げたぞっ!あちらも追え!おまえら行けっ!」


モルデの焦りと苛立ちの叫びが聞こえ、二十人程の白ローブが

王子を追って駆けて行く

残った白ローブは約五十人


「けっこう釣れてくれたね、さすが王子!」


「そうねっ!王子なら二十人位なら平気ねっ!」


「うむ!次は拙僧である!」


【伽藍】さんは、今まで着ていた着崩した法衣の様な物から

司祭服に早着替えをする……


「うぬぅ!動きが!動きにくいのである!」


【伽藍】さんの悲痛な叫びと共に司祭服の布地からも悲鳴が上がっている

サイズが完全に合ってないな…ピチピチすぎる…


「もうっ!なに自爆してんのよっ!脳筋っ!」


「う…うぬう!少し調節するのである!ふんっ!」


気合いと共に司祭服の所々が悲鳴を上げて裂ける


「うぬ!動けるのである!では離脱するのである!」


【伽藍】さんは東の森に向けて馬首を巡らせる


「モルデ様っ!また一人司祭服がっ!」


白ローブの叫びに、モルデは苛立った声で叫び返す


「あんな馬鹿でかい司祭がおるか!馬鹿もの!無視しろ!無視!」


その叫びに俺とみどりさんは顔を見合わせ苦笑する


「そりゃそうだ…モルデさんが正解!」


「そうねっ!流石にアレで釣られたら笑うわねっ!」


みどりさんは少し考える素振りを見せ


「次は私の番だけど…司祭服が無いからっ!置き土産を置いていくわっ!」


「まずっ!【ライトニングスタン】」


二度目の稲妻が落ち、白ローブ達を撃つ


「ぐっ!」「がはっ!」

「ええい!何度も同じスキルを喰らうでないわっ!馬鹿もの!」


みどりさんは、モルデの叫びに微笑みを浮かべる

ちょっとその微笑みが怖いんですけど…


「そうねっ!じゃあ初披露を喰らわせてあげるわっ!感謝なさいっ!」


みどりさんは馬を完全に止め、馬首を巡らせ

白ローブと五十m程の距離を置いて対峙する


「みどりさんっ!無茶はしないで!」


「平気よっ!変人っ!いくわよ【クライミナル=ソーン(罪のいばら)


みどりさんの叫びが響き渡ると

白ローブ達の進む街道に違和感が生まれる

地面からぞわりと産まれた植物の蔦に見える物は、

一瞬で白ローブ達を包み込む


「なんだこれは?!」「イタッ!棘が生えてるぞ?!」

「ええいっ!叩き切れ!所詮蔦であろう!」

「はいっ!モルデ様っ!斬りまーーぎゃああ!」

「なっ!蔦が攻撃した奴を飲みこんだぞっ!何だこいつは!」


蔦のドームに覆われ、混乱する白ローブ達に

笑みを浮かべながら宣言する


「駄目よっ!攻撃したらっ!その子達に与えた傷は、罪と判断されて、倍になって、罰として受ける事になるわよっ!いばら達に攻撃されたくなければそのまま大人しくしてなさいっ!」


すいません…みどりさんちょっと怖いです…


「私はいくわねっ!変人も適当な所で引き返して首都にはいるのよっ!」


みどりさんは、ゆうゆうといばらの横を馬で駆け抜け

城門に向かって行く


「 ふふん!白亜の神殿っ!白い塔!乙女の夢っ!昼ドラっ!ふふんっ!」


上機嫌の独り言を呟きながら


それ白い巨●の事か?!

あれは昼ドラじゃなかったような気もするんだが…

去って行くみどりさんを見ながら


「俺…倒したりする敵いないんだけど…」


モルデを含む敵は、いばらの森に閉じ込められてる状態で四苦八苦してる


「でも正面の城門にいくのもアレだし…」


馬車を西方向に巡らし


「王子んとこいこうか…いちばん平和そうだし…」


【うーちゃんjr】と【まーちゃんjr】に声を掛けながら

ゆっくりと馬車を進ませ、西の城門に向かう


ひとまず潜入には成功?したのかね…

夜空に一人疑問を呟きながら



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