閑話 一人のMPK《ひとでなし》VS138万匹のヒトデ
読者様からリクエスト頂いた、ヒトデ討伐に赴いたある方のお話です
他にも気になっているキャラとかあれば言って下さい
「これでっ!4,998ヒトデよっ!」
私は、砂浜を走り、のんびり砂浜を動いていたヒトデに短剣を突きさす
「あと、1,375,002ヒトデねっ!ちょろいわ!ちょろいわ………」
砂浜の砂を蹴飛ばし叫ぶ
「ちょろかないわあああ!あのくそ【シャドウ】めえええ!!」
叫んだ後に、ため息をついて、近場にあった岩に腰を下ろす
【シャドウ】転職試験で、私に出された課題
討伐クエスト【ヒトデ 138万匹】
私は、この馬鹿げた討伐をこなしている
くそ【シャドウ】や王子様【エレル】に、逃げたとか思われるのが
ぜっっっったいに嫌だからだ
「絶対クリアしてやるからな…」
呟いて岩から立ち上がる
ヒトデはこの海岸に10匹しかおらず、しかも倒したら次に現れるまで
数分かかる、
「もうそろそろ1匹目が湧く頃ね」
そして海岸を走りまわって、ヒトデを探す
固定の場所に現れず、海岸線のどこかに現れるため、
探しに行かないといけない
この海岸は、街からすぐで色々な人達が通る場所だ
「何やってんのあれ?」「ヒトデおいかけてんじゃね?」
「なんで?」「さあ?あんな必死だと近づきたくないよね…」
そんな言葉が今日も聞こえる…
この討伐を始めてから、もう飽きるほどこの遠くで交わされる会話を聞いた
「くっそ…おまえらみてろよ!【シャドウ】になったら目一杯転がしてやるからな…おっ! ヒトデ発見!! 」
1
ヒトデを突き差し次のヒトデを探しに駆け抜ける
次のヒトデを波打ち際に見つけ、倒した時に
盛大なファンファーレと、ヒトデが見た事もない物を落とした
「なんだ! 何が起きた?! 」
【おめでとうございます!あなたはヒトデ討伐5,000匹という偉業を 】
【達成されました!その功績を称え、ここに二つ名の称号を与えます 】
称号 【ヒトデキラー】 獲得
「いらんわ!!! こんなもん !」
いらつきながら、付いた称号を変えようとするが
【ヒトデキラー】から変えられない
「はぁ?! なんで変えられないのよ!」
称号の説明文を読み返してみる
【なお、この称号はヒトデが生息するmapでは強制表示されます】
【特典としてヒトデから得られる経験値が2倍になります! 】
「いらんわっ!アホかっ!経験値が1から2になるだけじゃねえか!
それなのに、この称号見られた時の恥は2倍以上じゃねえか!」
私の苛立ちは最高潮に達しつつあった
落ち着かせるために、ヒトデが落とした今まで見た事が無い物を拾う
キラキラ青い色に光る宝石のようにみえた
カーシングアイテム
【ヒトデの涙】
理不尽に狩られるヒトデ達が流した恨みの涙
呪いのアイテム、このアイテムを拾ってしまったあなたは
以後必ず、ヒトデから攻撃を受けた場合、最低1ダメージは受けます
廃棄不可、倉庫移動不可
「おもっきり呪われたじゃねえかっ!!!」
そういって、青い石を砂浜に叩きつけようとするが、
手から離れると、またアイテムボックスに移動してきた
「くっそ!ロクな事がおきねえええ!! 覚えてろ!くそ【シャドウ】」
叫びながらも、次の出現時間になったので海岸を走りまわる
「くそ…出現時間が体感でわかるなんて…馴れって恐ろしい…」
夕暮れ時の海岸を今日も駆けまわって行った
そんなある日、何時もの様に海岸に行くと
見慣れたはずの海岸では無かった、装備から見て中堅レベル以上の
プレイヤーが10人程集まってヒトデを狩っていたのだ
私は、なぜ彼らが此処に居るかわからず声を掛ける
「ちょっと!あんたら何してんだい!」
十人程の中から、弓を手にしたレンジャーらしい男が笑いながら応える
「いやあ噂に高い【めるど】さんが必死にヒトデ狩りしてるって聞いて
何か激レアでも隠してるんじゃないかとね…」
笑う男は、そう言ってる間にも、矢を放ちヒトデを葬る
ああ…私のヒトデが…
「そういうこった!俺達も参戦さしてもらうぜ!」
皮鎧をきて短剣を持った男が勢いよく叫ぶ
「ん?なんだその称号?ヒトデキラー??!!! 」
ちっ!嫌なとこに気が付くなお前!
そんな細かいとこに気が付くなよ…
「ヒトデキラー!!かっけー!ヒトデキラーめるど!!」
「いやあさすがっすわ!めるどさん、ヒトデキラー、ぷぷっ」
「いやーほしいなーその二つ名ー」(棒読み)
「堂々とその称号で歩くのが凄いすわー!ぷぷっ」
口々に笑う
うっせー!外したくても外せねえんだよ!ちくしょー!!
「てめえら覚えてろよ!後で痛い目みるぜ!」
苛立ちが最高潮に達した私は、声に怒りを込めて睨む
「いやん!怖い!ヒトデキラーにキルされちゃう!」
皮鎧の一言で、どっと笑いが起きる
「てめえら…いい度胸じゃねえか…」
「おっと!いいのかい!狩るヒトデがなくなっちゃうぜ!」
くっ…確かにこいつらの挑発で無駄に時間を喰うより
ヒトデを狩りたいのも事実…
こいつらは、私が【シャドウ】になったらきっちり借りは返してやる…
倍以上でな…
「おまえら!後で覚えてろ!ぜっったい後悔さしてやる!」
叫んで私は駆けだす、ヒトデを求めて
「おいおい、めるどの奴、挑発にも乗らず、マジでヒトデ狩りいっちまったぜ…これは本当に激レアなんじゃね?」
「そうだな!気合いはいってきた!」
「っやるぜえええ!!」
違う!おまえら勘違いしている!
私の行動は、どうやら裏目に出過ぎたようだ…
くっそ!これも全部あのくそ【シャドウ】とくそ王子【エレル】のせいだ!
「覚えてろよ!くそ【シャドウ】!!!ぜっっってえ負けねえ!!」
そうして私は今日もヒトデを狩る
私は、ヒトデが恐れる【ヒトデキラー】なのだから…
目の前にいたヒトデを、矢で狩られて
ちょっぴり涙が浮かんだりしてない!ぜっっったいにしてない!
「くそおおおお!なんでこうなったあああああああ!!」
晴れ渡る海岸線に私の叫びが響き渡った
その日の、めるどさんのヒトデ狩りは58匹で、半泣きでログアウトしたそうです…
ヒトデの数を間違えてしまっていましたorz
確認してかいたつもりでしたが、申し訳ありませんでした