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アサシンズ ロア  作者: ぽんこっつ
帝国編
40/52

【亡霊の古城】後編

【亡霊の古城】最終章です

すこし、投稿に間が空きすいませんでした

 「王子!みんな無事か?!」


黒い波動が吹き荒れた後、すぐに声を掛ける


「大丈夫です…ただ状態異常を貰ってしまいました…」

「うむ…拙僧もである…動きがとれないのである…」

「私は無事よっ!黒子ちゃんは状態異常で動けなくて私が抱えているわっ!」


後輩君以外から返事が返ってきた、後輩君は?何処だ?!


(耐えきれなかったす…すんません…)


PTチャットで後輩君の声が聞こえる


(こっちこそカバーできずに、すまない)


そう返しつつ、前方に佇む巨大な影を睨む


【タエタカ…メンドクセェナ】  


こちらにゆっくりと巨大な影は、歩みを進めて来る

天井の崩れた隙間から洩れる月明かりに照らされて姿が浮かび上がる


「熊?!」


月明かりに浮かぶ影の正体は三m程もある、立ち上がった巨大な黒い熊

体毛は、重油の様なぬめりを含んだ不気味な光沢を放つ

そして、目が特徴的だった

本来、瞳が収まっているはずの眼窩には、

紅く鈍い光が渦巻いていた

その異様な姿に、思わず声が漏れてしまう


「何だ…?見た事がないボスだな…」


その言葉に、大熊は、大げさに頷き、両肩を竦めておどけて見せる


【ソウダロウナ…オレハ『深淵に潜む物』ダカラナ】


ーーー深淵に潜む物、グランドクエストの最終目的地の深淵と呼ばれる地点で待ち構えるはずのボスって事か?

なんでそんな敵がここに?


(変人っ!まずいわっ!皆が状態異常で動けないわよっ!時間稼げるっ?)


みどりさんの焦りと緊張を含んだ声に


(任せてくれ、避けきって見せるさ!)


PTチャットで返しながら、

武器をミスティクダガーとスピードスターに持ち替える

物理攻撃無効化とagi+30の支援効果狙いだ

魔法は今の防具で回避判定が出来るので、ほぼ無効化できる


【メンドクセェカラ、キエチマイナ!】


雄叫びを上げ、大熊の右腕が唸りを上げて迫る


ーーー遅い!

威力は脅威なのだろうが、まだ充分見切れる速度だ

唸りを上げる右腕を避けながら、両手の短剣で四回斬りつけ

一気に、間合いを詰め、零距離戦に持ち込む


【グッ…チョコマカト!!】


苛立ちを含んだ声を上げながら、次々と空気を裂く音を響かせながら

攻撃を繰り出してくる


「どうした!熊っ!俺はここだぜ!」


挑発しながら、次々と切りつける!

八撃目が当たった時、agi+30支援が発動する

俺の動きは更に加速する


「後ろだよ!熊!」


背後から更に切りつける

回復してる皆から、コイツの注意をそらさないと


【メンドクセェェ!ソンナコウゲキ、キカネエヨ!!】


叫びを上げながら、怒りで両手を振り上げる

何かのスキルモーションか?!

警戒する俺に、熊はそのまま両手を振りおろしてきた


「はっ!大きな隙をありがとよっ!熊!」


次々と斬りつけて行くが

攻撃すればする程、この戦いは俺の弱点が浮かんでくる

短剣攻撃ゆえの一撃の威力不足

毒が有効な敵なら、毒でカバーができる

スキルでも威力は増すが、どうしても威力不足が目に見えてくる

単純な秒間威力なら、他武器に勝てる

ただ、今回は注意を引きつつ、回避行動も絡むため

どうしても秒間火力も落ちてしまう

ソロだと削りきるまで、どれほど時間がかかるかわからない


(変人っ!状態異常はみんな回復したわっ!王子と脳筋が、

溜めスキルで一撃必殺狙うから、熊の動きを止めるわよっ!)


みどりさんの指示を受け、王子と【伽藍】さんを見る


王子の両手に収まってるのは、何時もの武骨な大剣ではなかった

大太刀、刃の部分が二m近くもある異様な日本刀

それを肩に担ぎ、目を閉じている


(なんだ?!あの太刀?)


その時、王子の目が見開かれ、呟く


「【反逆の呪い】 ( トリーズンカース)開放!」


呟いた王子の身体から、赤い霧の様な物が立ち上り

大太刀へと、吸い込まれてゆく、

そして大太刀は、赤い霧を吸って、赤く輝きだし、徐々に輝きを増していく


(なんだ…あれは…)


王子のHPバーがみるみる減っていく

HPを吸っているのか?!あれは!


【伽藍】さんは?!

【伽藍】さんは、何かの構えをとったまま

静かに、佇んでいた

まるでそこだけ時間が停止したかのように、微動だにせず


【モラッタ!キエロ!】


しまった!気を取られ過ぎた

唸りを上げて、迫る右腕に俺の身体が触れた時

俺の姿は、陽炎の様に揺らいで消える


【ナ…ナンダトッ?!!】


「こっちだよ!油断大敵だぜ」


背後から一気に数撃浴びせる


(危なかった…咄嗟に【シャドウウォーク】で転がって正解だったわ)


攻撃を受ける直前、スキルを発動して、床を転がったのだ

相手には、俺が消えたように見えたようだ


(もうっ!隙を作るわっ!変人っ!しゃがんでっ!)

(えっ?!)

(はやくっ!)


いきなりの指示に戸惑いつつ、しゃがむ


【ムッ!】


後方を振り返った熊が、咄嗟にしゃがんだ俺を目で追う

その時、しゃがんだ俺を踏み台にして、誰かが飛んだ


「もらいました…【パニッシング=アサルト】」


ガーネットさんが、熊の首を突きにかかる


【ガッ!テメエェェェ!】


攻撃は首に命中し短剣が突き刺さる!

だが、浅い!

すぐに熊は、反撃に出ようとするがーーー


「もらったわっ!これでもくらいなさいっ!」


叫び共に更に俺を踏み台にして

みどりさんが手に、大きなステックキャンディーを持って

熊に飛びかかる!


はっ!??何でキャンディー杖なのよ!それ攻撃力零じゃない!!


【ナメルナァ!コムスメガ!】


唸りを上げる右腕が、みどりさんに吸い込まれていく

ーーー駄目だ!食らう!

肉を叩く鈍い音が響き渡り、みどりさんが吹き飛ぶ

床をバウンドしながら、十m程も飛ばされていく


「みどりさん!無謀な事を!」


思わず叫んだ俺に、みどりさんが呻きながらも声を絞りだす


「今よっ!変人…頼むわよっ!」


【グァァァ!テメエ!ナニヲシヤガッタァァ!】


叫び声を上げる熊の方に向き直ると、熊の右腕が

紅蓮の炎に包まれている


「私のローブは特製なのよっ!受けたダメージを反射して、受けたダメージが一定以上なら、紅蓮の煉獄が相手を焼くのよっ!ローブの紅は生地の色じゃないのよっ!紅蓮の煉獄を纏っているのよっ…」


最後は受けたダメージからか、声が掠れてしまっていた


「あとは頼むわ…一瞬でいいの、完全に動きを止めてあげて…」

「わかった!みどりさん!任せてくれ!」


みどりさんが作ってくれた好機

生かして見せる、

王子と【伽藍】さんの一撃を信じて繋げてみせるよ


右手を紅蓮の炎に包まれた熊は

怒りに身を震わせ叫ぶ


【テメエラ!ユルサネエ!】

「こっちだ!熊!」


背後に回り込んだ俺の声に、熊が振り向く

そして、俺は一気に、ジャンプする

至近距離で空中に浮かびあがった俺は、熊の目線まで飛びあがる


【モラッタ!】


空中に浮かびあがり、無防備になった俺に熊は、左腕を振り上げて

攻撃しようとする


釣られたなーーー熊ーー

超至近距離から、熊の顔に目がけスキルを発動する


スキル【暗器】発動ーーー投擲 【含み針】


針達は、熊の顔に次々と突き刺さる


【ギャアッ!】


振り上げていた左腕で顔を、押さえて棒立ちになる熊


「アシッドさん!いいタイミングです!不意打ちのお返しです!」


王子が大太刀を、上段から一気に熊に袈裟切りに斬りつける


「神殺しの大太刀スキル【神への反逆の罪】(バビロンズ=シン )


紅に染まった大太刀は、熊の右肩から一気に切り裂く


【グワァァ!!】


「拙僧の全筋肉の一撃!受けるのである!一撃必倒っっ!」


叫ぶ【伽藍】さんが、構えのまま、大きく一歩を踏みこむ

地面を揺るがすような大きな踏み込む音が響く

高速で踏み込んできた【伽藍】さんは

まっすぐ相手の胸に、拳を叩きこむ

今までの力だけの撃ち抜きではなく

綺麗な型から放たれる、それは見事な一撃だった


「【羅刹轟崩撃】滅せよっっ!我らが拳でっっ!」


振り抜かれた拳は、熊の胸板に当たり

轟音を響かせ、炸裂する

轟音が去った後には、大きく胸に穴のあいた熊が

自らの胸に開いた大穴を見つめる


【ナ…オレガココデ?!スマヌ…ワガトモ【大魔導】ヨ、サキニユク…】


大熊はゆっくりと、崩れ落ちて行く

光に包まれながらーーー


「やったのか…」

「うむ!勝利であるな!強敵であった!」

「本当ですね…油断してしまいました…」


三人で声を掛けあっているとガーネットさんが声を掛けてきた


「みどりさん…忘れられてる…」


「もうっ!何で誰も心配して駆けよってこないのよっ!」


みどりさんが上半身を起こしながら叫ぶ


「あー…ごめん!みどりさんなら何かあっても平気かなって…」


俺の呟きに


「怒るわよっ!乙女の心配をしなさいよっ!!!」


だってHPバーがPTメンバーだと見えるから無事なのわかってたし…


「うむ?何個かドロップ品があるのであるな?」


そういって幾つかの物を【伽藍】さんが拾い上げた時


VRに来て初めてのワールドアナウンスが流れる


【おめでとうございます!グランドクエスト 七つの封印の一つ    】

【深淵から這い出た怠惰 が討伐されました!            】

【これにより深淵の回廊に至る道と北の聖地の封印が一つ開放されました】

【北の聖地開放によりエクストラスキル十種類が開放されます     】

【撃破PT 『Ex-venturers』《かつての冒険者達》        】


「え?!俺らっ?!!」

「なによこれっ!世界中に流れてるなんてっ!」

「目立ちすぎますね…PT名を気に入ってたのですが…」

うなづくガーネットさん

「うむ!これで全世界的筋肉であるな!」


「なによっ!それっ!意味分かんないわっ!」

みどりさんの声に、【伽藍】さん以外の全員で苦笑する


【Ex-venturers】 かつての冒険者達

それが俺達が最初に考えて付けたPT名だった


ゲームに熱中していた時代を過ぎてしまったけれど

VRでまた、冒険や出会いに、夢を抱いて戻ってきた

かつての冒険者達

それが俺達のPT名


投稿間隔が空いていまいすいませんでした

またペースを上げたいです

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