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アサシンズ ロア  作者: ぽんこっつ
帝国編
35/52

アップデート初日の衣装騒ぎ

明けましておめでとうございます、お正月は帰省などで更新が止まってしまいすいませんでした、

今日は第一回のアップデートの日!

昼休みに、まだメンテも終わってないのに掲示板を覗いたり

帰りの電車でも同じ様に掲示板を見たり、公式ページを見てみたりと

ワクワクしながら帰宅した


「さて…ワープポイントは一日の利用回数制限付きと各国内主要五都市のみってのが痛いな…あとは製造さんが今回凄いな、服に武器、鎧、雑貨まで追加かダンジョンは各国に初級~中級二箇所+αって、αってなんだろな…」


掲示板を見ながら、呟く

今日は、唐揚げ弁当ではなく、鮭弁当だ!サラダも買って健康的!

なんか寂しさが増した気がする…


そしてワクワクしながらログイン!



いつもの様に南門に向かいだすと、その道中からいつもは見かけないプレイヤーが徐々に増え始め、到着する時には、人々でごったがえして、凄い騒ぎになっていた。


「お祭りだな、こりゃ…」


門付近の臨時PTをいつも募集している辺りでは、倍以上のプレイヤー達が大声で新ダンジョンのPTを募集している

いつもは中央広場で露店を広げている製造プレイヤー達も集まっていた

ふとその最前列で大声を出している人物に目が行く


「今日は特別!新装備作るよ!手数料はなし!ただ材料は準備しとくれ!」


そういって両手を広げて豪快に笑う体格のいい黒髪の製造職人

その声に釣られて大柄の皮鎧を纏った銀色の髪の女性が話しかける


「あの!私達のPT、まだ始めたばっかりなんですけど作って貰える装備ってありますか?」


遠慮がちに尋ねる、よく見るとその周りに3人程固まっている

PTメンバーの様だ


「もちろんだ!今回は手数料もなし!時間は貰うが材料さえあれば何でも作るぜ!初心者さん達なら歓迎さ!大事に使っとくれよ!」


そういって、周りの三人も見渡しながら笑う


「本当ですか!ありがとう!助かります、なかなか装備のグレードが上げれなくて…」

そういって苦笑いをする銀髪の女性


「おう!じゃあ右の方から何がいるのか言って行きな!必要な材料を言うから持ってきとくれ!」


そう言って全員から希望を聞き、必要な物をメモして渡している

そんな風景があちらこちらで繰り広げられている


駆けだしの頃は、武器は職業毎の製造クエストで何とかなる物の、防具はなかなかセットでは揃わない、序盤はお金も貯まりにくいので、製造武器や防具は欠かせない、


(俺も作ってもらったっけ…)

アイテムボックスにある、初めて自分用に作って貰った短剣を思い出す、

作ってくれた人は自分より先に休止してしまったけど、自分の大事な思い出だ、移行する時に例え壊れてもずっと手元には置いておくつもりだった。

製造短剣の思い出に浸っていると、ふと聞き覚えのある声が聞こえた


「いいっすか~!新ダンジョン【見捨てられた廃鉱山】見学ツアーはこっちすよ~!40~可能!各レベル帯でPT組むんでレベ、職不問すよ~」


後輩アサシン君の声だ、そちらを向くと、後輩君が一段高い台に上り、三十人程のプレイヤーに声を掛けている、後輩君が何か冗談を言った様で、一同から笑い声が起きる、


(後輩君の人脈はこういう所から生まれてくるんだなあ)


そう感心しながら遠まきに見ていると、ふと腰の辺りを突かれる

振り向くと、百四十cm程の小柄な緑の髪の女性が立っていた、

服装は薄い茶色の綿のズボンに、紺のパーカーを着ていた

パーカー?!!

今まで普段着と言える物は初期装備の麻の上下の短パンと半袖シャツしかなかったはず!

そのパーカー少女が、俺をゆっくりと上下に見ながら話しかけてくる


「うん!ええ感じや!突然ごめんや、兄ちゃん」

そういって満面の笑みを浮かべながら、俺の回りをゆっくり回る


「えっと?何か御用ですか…?」

首を傾げながら、初対面で、いきなり褒められた事に戸惑いながら話しかけると


「ごめんやで、実は今回のアップデートで普段着要素がかなり充実したんや、作れる種類は三十種類位やねんけど、色や柄、刺繍なんかは自分らでできるようになったんよ」


「へぇ!それはいいですね、街ではくつろいだ格好ってのも」


「そう!そこでや!今、うちの服のモデルさん探しててん!うちの作った服を着て、モデルさんになってくれる人を!なあ、兄さん頼まれてくれへんやろか?お願い!」

そういって少女は顔の前で手を合わせて、拝んできた


(モデル!!!俺がモデルデビュー?!!)


いきなりの申し出に戸惑いつつも、リアルでは無縁だったモデルという言葉に動揺しながら答える


「いやぁ、モデルか~、困っちゃうな~、人助けだもんな!やります!いえ是非やらさして下さい!」


駄目だ!顔がニヤけてしまう…

出来るだけニヤけてるのがばれない様に、少女に頭を下げる


「ほんまに!ありがと!うちの名前【ぱーみら】っていうねん!」


そう言って、ぱーみらさんは俺の手を握って上下に振る、


「んじゃさっそく、採寸とかしたいからうちの借りてる工房までいこっ!」


そういって手を握ったまま走りだす、

ちょっ!力つえええええ!!引っ張られる形で、連れて行かれる…



ぱーみらさんの工房は南門から中央広場の間の小さな一軒家だった

扉も小さくて、少し背を屈めながら入ると、

中は、棚には色とりどりの布が置かれていて、作業台の上には、裁縫道具となにか作りかけの、青い衣装が置いてあった


「狭もうてごめんやで!早速で悪いんやけど、装備外して普段着状態なってもろてええかな?」


そういってぱーみらさんはメジャーを片手に笑いかけてくる


「あっ…これで大丈夫ですか?」


装備を外して、短パン半袖状態になると、ぱーみらさんは各所にメジャーを当てながら、メモを取り出して書き留めて行く


「ふむふむ…よし!あれでいくでっ!もう一人モデルさんも頼んでるから、二人分超特急で作るから夕方にきてくれへん?」


そういうぱーみらさんは、もうこっちを見ずに作業台に何種類かの布と共に向かっていた、

作業中に声を掛けるのもあれだけど、どうしても気になったので尋ねる


「一つだけ聞いてもいいかな?」


「どうしたんや?何か希望の色とかあるん?」

作業の手をとめ、こちらを覗きこむ


「いや、何で俺をモデルにしようと思ったのかなって」


さっきはモデルという言葉に、つい舞い上がってしまってたが、選んでくれた理由を聞いてなかった事に気付いたからだ


「あーそれかぁ…」

そういって少しバツが悪そうに頭を掻きながら


「なんかなぁ…悪い意味ちゃうねんで!なんか全部普通やねん!平均?平凡?やっぱり服が主役になるやん!だから目立たん方が…ごめんやでっ!」


そういって苦笑するぱーみらさん

釣られて俺も苦笑してしまう、

よくリアルで言われる言葉だった、

平均的な無難な人、それが俺のリアル印象らしい

そんな俺もここでは、唯一の【シャドウ】でオンリーワンってのも、変わった縁だなとも思う


「よく言われるんで大丈夫ですよ、夕方また来ますよ、楽しみにしときますからね」

そう苦笑しながら声を掛ける

ああ…モデルさんって言葉に浮かれすぎたと反省…


「ごめんなぁ、もう一人のモデルさんが個性的やから、余計に対比で普通の人がよかってん!楽しみににしといてやっ!」

そういって作業台にまた戻る、手元の作業スピードは凄まじく、正直何を作ってるか見当もつかない、


さて…時間もまだあるし、街をふらついて戻ってきますかね




ーーーーその日の夕方ーーーーー



南門付近の賑わいは未だに衰えないどころか、さらに増えていた


「いやあ、楽しかったすね!また第二回いきましょう!今回は二十二階で終わったっすけど、次は三十階ボス狙うっすよ~」


そういって一人のアサシンが後ろの三十人程に話しかける


「おう!」「次はがんばるぜ!」「次はもう少しレベル上げて来る!」

「でも今回もみんな頑張った!」「楽しかったよ!」

そう口々に返していく


一同は全員笑顔だった

その中の一人が、何かに気づいた様で、中央広場に向かう道を指さす


「あれ…何…」

「え?何っすか?」「どれ?」「何々?」


夕日に照らされながらゆっくりこちらに歩いて来る二人の人影

その二人のシルエットに気づき、南門付近の人々が目を向ける


小柄な方は、両肩に謎のトゲが生えたショルダーガードに、胸元が大きく開いた黒のレザーの上下、脛の部分にも謎のトゲが生えていた、顔は黒いヘルメットの様な兜に覆われよく見えない、


見物人から声が上がる


「雑魚キャラだ…」

漫画等で主人公に絡み、真っ先にやられてしまう雑魚キャラAの姿がそこにあった、そして見物人達は、大柄な方を見て声を失う


「魔王だ…」「新グランドクエのボスか…?」

「征服しにきたのか?首都を」

そう囁き合う目線の先には


黒の重厚なマントを身に纏い、マントの内側には彫刻のような見事に鍛えられた上半身が見え、黒の上質な皮のズボンと靴から脛までを覆う黒がね色のガード、そして頭には天を突くように伸びた二本の角が生えたヘルム

ちょっとした世紀末覇者である


その二人がゆっくりと進み、南門から数十mの位置で立ち止まる

二人の姿が確認できてからは、南門は時々囁かれる声が響くのみで鎮まりかえっている


「なあ…【伽藍】さん…ノーっていえる人間になりたいな…」

「うむぅ…」


モデルに選ばれた二人は、夕方に工房に出かけ、お互いがモデルである事を知り、驚いたのだが、準備されていた衣装を見て、声を無くした


「これ…着るのか?」

衣装を持ち上げながら、恐る恐る尋ねる


「せやで!かっこええやろ?!めっちゃつよそうやん!」

ぱーみらさんは満面の笑顔だった、

衣装を超特急で仕上げた、満足感に包まれた笑顔だった


「うむぅ…拙僧のは更に目立つのである…」

【伽藍】さんは、角の生えたヘルムとにらめっこをしている


「せや!強さが更に倍!って感じがするやろ!」

そういって胸をそらす少女


「うちの店の自信作やでっ!これで繁盛間違いなしやっ!」

そういって、空に向けて、『ビシッ』と指を差す、ぱーみらさん


「あー…うん…そうなるといいね…」

謎のトゲを触りながら呟く


「さあ!これを着て街を歩いてやっ!モデルさん達!頼むで!」

ニコニコ満面の笑顔のぱーみらさんに見つめられてしまう


「はい…」「うむぅ…」


【伽藍】さんも困ってるからと頼まれたら弱いタイプでしたね…

そうして現在の状態である…


その時、誰かが叫んだ


「そうだっ!こんな時こそ【首都レンジャイ】だ!」

「おお!こいつらが悪の組織の元締めだったのか!」

「誰か【黄金の羊亭】にいって呼んでこい!」


口々に騒ぎ出す


(やめて!古傷はまだ治ってないのにエグラナイデ!しかも宿屋の名前でて完全にばれてるし!ああっ!後輩君呼びに行かないで!!)


(うむ!【アシッド】殿逃げるのである!拙僧が【モンクイエロー】だと、ばれる訳にはいかないのである!)


(いや!それ多分ばれてますからっ!逃げるのには賛成です!)


そう囁き合い二人で身を翻す、その背中には大きくピンクの文字で、○のなかに【ぱ】の文字が書かれている、そう○ぱのぱーみら印らしい


「なんだあのピンクの【ぱ】って」「きっと悪の組織名だぜ」

「おい逃げるぞ!」「戦略的撤退ってやつか?」


工房まで走り抜ける二人、その後ろから聞き覚えのある声が響く


「おまたせっ!【マジシャングリーン】参上よっ!あっイタッ!葉っぱが目に…、ちょっと!敵はどこよっ!」


みどりさん意外と気に入ってたんですね…

【マジシャングリーン】









アップデート初日に脱線してしまいました…

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