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アサシンズ ロア  作者: ぽんこっつ
帝国編
33/52

正義の味方?!

ちょっと正月前のばたばたで更新が遅れてしまいました、すいません

スラム街にある古びた孤児院の正門の外側には、下卑た笑いを浮かべる小太りの派手な服を着た男とその後ろに群がる五十人程の荒くれ

内側には、十人程のプレイヤーと怯える子供たちとシスター

小太りの男が耳に残る嫌な低い声で話しかける


「シスター、今日こそはいい返事を聞かせてもらえませんかね、この場所を譲って頂きたいのですよ!ちゃんと代金はお支払いしますし、なあお前ら」

後ろの男達は、その言葉に合わせてにやけた嫌な笑いをうかべる


「なにゆってるっすか!ここらの土地の相場の半分以下の値段じゃないっすか!汚いっすよ!」

そう声を荒げるのはプレイヤーのアサシンの恰好をした一人だ


「汚い?この建物を壊す費用も持ってあげるからの値段なのですよ!良心的でしょう!早く決断しないと、最近ここらも物騒ですから子供達に不幸な事件が起こるかも知れませんねえ」

そういって一段と嫌な声を響かせる


「卑怯っす!やれるもんならやってみるっす!」

そう言い放つと、二つの集団に一気に緊張が走る


「そこまでである!そこの商人の悪事!我らが見逃さないのである!とう!である!」

大きな声が響き渡る!

二つの集団から「どこだ!」「どこにいるんだ!」

「あっ!あそこだ!」指さされた先には大きな荷馬車の上に立つ五人の姿がみえる!


「拙僧こそ正義の使者【モンクイエロー】」

頭に目の部分をくり抜いた黄色い紙袋を被った筋肉隆々の巨大な男が


「私は【プリンスブルー】お見知りおきを」

そう言って青い蝶の仮面を付けた金色の髪と白い歯が眩しい男が


「私は【アサシンピンク】です、よろしくお願いします」

そういって照れくさそうにぺこりと頭を下げるピンクのハンカチで顔の下半分を隠した小柄なポニーテールの黒い衣装の少女が


「私は【マジシャングリーン】よっ!覚えなくていいわっ!」

そう言って左手に持った葉の生い茂った木の枝で顔を隠した赤いローブを纏った少女が


赤い鉢植えの目の部分だけくり抜いた物を被った人物が

「俺は【シャドウレッド】この平和を守るためにやってきた五人の戦士!その名も…その名も…(おい!個人名に気を取られて全員集合の名前きめてないぞ)」

(しらないわよっ!あんた決めなさいよっ!)

(うむ!忘れていたのである!)

(任せますよ)コクコク頷くピンク


あー…思い浮かばねえ…でも両方の集団に見つめられて注目を集めてる以上言わないといけないだろうな…


「我ら平和を守る 【首都レンジャイ】!」


「「「「「  それはないわ   」」」」


膝からコケル人達を見つめながら、どうしてこんな事になったかを思い出す

あれはリアル時間で何時間も遡る……




ーーーーーリアル数時間前ーーーーー



最初のアップデートを三日後に迎えた!楽しみだ!

そして俺は明日がお給料日アップデートだ!

長かった…今月はVR装置でお金が飛んだので心細かったぜ…

しかし!それも明日までっ!

今日は奮発して唐揚げ弁当DXだっ!いつもより唐揚げが二個多い!

海苔とちくわがついているっ!……

悲しくなってきたので、ゲームにログインしようとVR装置の手前で躓いた


「おっと!危ない!これで踏みつぶしたら目も当てられんな」

最近、何もない所でよく躓く様になった、足腰弱ってるのかな…

さらに悲しくなりつつ


ログイン


食堂ホールに降りると、すぐに王子様が声を掛けて来た、他のメンバーも全員テーブルを囲んで何やら話し込んでいたようだ、


「こんばんは、アシッドさん、きて早々で申し訳ないのですが、実はあるクエストを手伝って頂けませんか?」


王子様は真剣な顔つきでゆっくりと話す、他の三人の目もこちらを見つめている、


「こんばんは、どうしたの?みんなも何かあったの?」

いつもなら、山盛りの食事を囲んで大騒ぎしてるはずなのに、テーブルの上には、人数分の飲み物しか置かれていない、いつもの雰囲気との違いに戸惑いつつ尋ねる


【伽藍】さんが難しい顔をして腕組みをしながら答えてくれた


「うむ!実は先日回った孤児院の一つの事で問題が起きてるのである!」


そういって事のあらましを説明し始めた


先日ケーキを持って回った首都にある4つの孤児院の内、もっとも貧しいスラム地区にある孤児院が、その場所に娼館を建てたい人物に嫌がらせを受けているという物だ、PT規模のクエストで四人はこのクエストを受注して解決したいのだが、最後の一人の俺の意見を待っていてくれたのだ、

四人で多数決で決めてくれて居ても良かったのに、わざわざ待っていてくれた事が嬉しかった、もちろん俺も受注には賛成だしね


「わかった、俺も参加するよ、意見を待っていてくれてありがとう!」

思わず嬉しさから笑顔がでてしまう


「ありがとうございます、アシッドさん、アシッドさんなら参加して頂けると信じてましたよ」

そういって笑顔を返してくれる王子様、他の三人も微笑んでくれている


「うむ!では作戦会議の開始である!」

【伽藍】さんのいつもよりトーンを落とした声で会議が始まった


【クエスト】 【悪徳商人を懲らしめろ!】


スラム地区にある孤児院が【商人 ガ二ット】による悪質な嫌がらせを受けています、【ガ二ット】は表向きは、酒場や娼館を経営する人物ですが、裏では非道な事や不正な事で利益を上げている裏の世界の住人です、この不正を暴き、孤児院を守って上げて下さい

【注意事項】

【ガ二ット】本人に対する物理、魔法攻撃による解決はクエスト完了になりません、社会的に失脚させましょう!

【期限】 三日以内


これがクエスト内容だった、


「そうなのよっ!証拠を集めないといけないのよっ!【ガ二ット】に直接攻撃は駄目なのよっ!」

そういって、唇をかみしめるみどりさん


「そうなんです…私達なら、いくら相手が護衛に囲まれていても突破して解決できるのでしょうけど、それじゃ駄目なんですね…」

そういって俯くガーネットさん


「うむ!今回は筋肉で押しきれないのである…」

そういって力瘤を遠い目で見つめる【伽藍】さん


「私も情報を集めましたが、悪い噂はすぐに集まるのですが、証拠まではたどり着けませんでした、館には手下が五十名程いるらしいです」

そういって王子様は紅茶を飲んでため息を付く


俺はガーネットさんにある事を尋ねた


「ガーネットさんは【販売屋】には行った?」

「いえ…いってませんが【販売屋】が何か?」

そういって小首を傾げるガーネットさん、

そっかガーネットさんは、早い時期からGVで対人特化型になったから、クエストとかはあんまりしてないだったんだ

王子様達もここで【販売屋】が出て来た事に小首を傾げている


「普段アサシンの専門品を扱っている【販売屋】だけど二D時代は特殊選択肢を出す方法があって情報も買えたんだ」

そう前身のゲームではいくつかのクエストをクリアすると【販売屋】でクエストのヒント情報やダンジョン情報が買えるようになっていた


「それは知りませんでした…狩りとGVメインにやっていたので…」

そう言って少し驚くガーネットさん


「その仕様がVRにも受け継がれている可能性が高いという事ですか」

王子様はこちらを向き直り訪ねてくる


「多分ね、前に利用した時に合図にしか使わない【黒瓶】が置いてあったを見つけたから」

そういって前に利用した【販売屋】の店内を思い浮かべる

情報を手に入れるなら期限もあるし、早めがいいだろうし


「今からちょっと聞いて来るよ」

「たのむわっ!いい情報を期待してるわよっ!私達も、もう一度街で情報を集めて来るわっ!」

みどりさんの言葉に送られて冒険者ギルドに赴く


冒険者ギルドで紹介された販売屋は、南門側の裏道にある占い小屋の地下だった、地下倉庫を改造した様なその部屋は怪しげな小瓶と武器で満たされていて、その中に目標の【黒瓶】を見つけカウンターにいる、黒いフードを被った人物に話しかける


「すまない、毒を欲しいんだ、相手の喉を焼く【黒瓶】が欲しい」


その言葉にフードの人物は少し身じろぎしながら尋ね返してくる

「どんな敵の喉を焼くんだ?迷宮かボスか?それとも入り組んだ謎かい」


二Dの時と同じだ、

「入り組んだ謎だな、【悪徳商人懲らしめろ!】を焼きたいんだ」

その言葉にフードの人物は

「わかった、高くつくけどいいかい?」

そう言って手を差し伸ばしてきた


「ああ、高くても構わない、致命傷になる毒を頼むよ」

そういって俺は黒フードに笑いかけた


その日の深夜【ガ二ット】の屋敷

(でっかいな…庭も広いし庭の見張りは六人…かな?)

【ガ二ット】の屋敷は三階建ての大きな屋敷で、二m程の塀で囲まれていた

正門から屋敷までは二十m程の庭に囲まれていた、その屋敷を見渡せる民家の二階で俺は様子を窺っていた、他のメンバーは首都の外にある【ガ二ット】の隠し拠点を押さえにいっている、【ガ二ット】は違法な取引拠点を街の外で行う事が多く、その拠点に三日に一度程顔を出していた、今日顔を出したばかりなので、その隙に全部押さえてしまうつもりだ


(さて…いきますか…闇の中こそ【シャドウ】の本領だしね)

そう呟き俺は闇に溶け込んでいく…

【潜入】スキルで高い所登れるのはいいんだけど…

高所恐怖症の俺は、降りる時はかなり怖い…

もう少し低い民家選べばよかった…


【シャドウウォーク】を、月が雲に隠れて出来た影に合わせて発動し一気に庭を抜ける、影がある限りこのスキルは有効だ、屋敷に近づくと【潜入】スキルを発動すると、登れる道筋が薄く浮かび上がる、


(登る時は下を見ちゃ駄目!見ちゃ駄目!)

そう呟き自分を励ましつつ、屋敷の壁を這いあがる

薄く光る道筋に導かれて潜入してのは二階の角の部屋だった、目指すは三階の右端の書庫、屋敷の中を【シャドウウォーク】で潜りこむ


書庫に着くまでに四人とすれ違ったが、気づかれなかった、

一応【暗器】スキルで含み針に睡眠毒を準備していたが使わずに済みそうだ

書庫のドアをそっと開け潜入する、どきどきしたけど意外と楽勝だったな…


(ようこそ【シャドウ】さん、流石ですね)

なっ!誰かいる!?慌てて見回す、窓際の月明かりに照らされる場所にその男はたっていた、奇妙な形のつば広帽子を被り右手には杖を付いているシルエットが浮かび上がっていた

(ちっ!)

両手に短剣を出し低く構える

(おっと待って!闘うつもりはないよ!この通り)

そういってシルエットは両手を上にあげておどけて見せる

(僕の名前はベート、三日後の新しい始まりを見に来くるつもりだったんだけど、その前に覗きに来てみたら楽しそうな事をしてた物で見学さ)

そういって影は肩をすくめる

(見学…?)

(そう君達のPTは有名だからね…元々の有名所が集まってるPTだもの)

そう言って、笑みを浮かべる

(有名所だって?みんなが?)

(知らなかったのかい?各鯖の出身者に聞いてみるといいよ)

そういってシルエットは背中を向ける

(じゃああんまり自由時間はないから行くよ、話せてよかったよ)

そういって男は手を振る

(待て!どういう事だ?)

(おっと君の探し物は右の本棚の一番下の段のあるよ!じゃあね)

そういって男はそっと闇に溶け込んでいく

(なっ!感知できない!隠れたじゃなく、消えた…)

瞬間移動のスキルはまだ実装されてないはず、隠れたならカンストレベルの自分なら感知はできるはずだ、

(何者なんだよ…あれ…)

目指す物はシルエットが告げた場所に本当にあった

(とりあえずこれを持って脱出してからみんなと相談だな)


そうして夜明け前の【黄金の羊亭】に集合して俺達は証拠の書類を前にどう行動するか悩んでいた、目の前で突きつけてもとぼけるだろうし、普通に警備隊に届けてもこちらも盗んだもので正当性を欠く、


「こんな早くからどうされました?紅茶でもいかがですか?」

メイドさんが声を掛けてくれて紅茶を入れてくれる

明け方なのに、わざわざありがたい…

みんなも軽く会釈をして注いでもらう


「おや?これは…」

まずい!メイドさんに書類を見られた

「これを一体何処で…」

メイドさんは書類をみつつ、訪ねて来る

こうなっては隠しようもないので、孤児院の事を話す

そうするとメイドさんは

「それならば、オーナーがお力になれると思います、オーナーもあの商人のやり方は不快に思っておりましたから、少々お待ち下さいませ」

そう言って、静かに下がっていった


「大丈夫かしらっ!」

「こうなった以上はしかたありません、手詰まりでしたし」

「うむ!なるようにしかならないのである!」

頷くガーネットさん


そしてメイドさんと共に現れたのは明け方だというのに、ビシッと決まった白髪の紳士だった

「オーナーのジェラトリと申します、お見知りおきを」

そう言って丁寧にお辞儀をされる


「こちらこそ、こんな時間に申し訳ありません」

王子様が軽く会釈を返す、なんか絵になるなこの二人…


「さっそく資料を拝見したいのですが」

俺達はジェラトリさんに資料を渡す

一通り目を通したジェラトリさんは、


「よく集めて下さいました、これは致命的でしょうな…もしよければ夜が明け次第、信用できる然るべき筋に提出させて頂きますがよろしいですが?」

俺達も提出する場所に困っていたのでお願いする事にした


「明日の昼ごろには【ガニット】も終わりでしょう」

そうジェラトリさんは呟いた


そして俺達は部屋に戻り休む事にしたのだが、昼前に騒動が舞い込んできた、


「うむ!大変である!【ガニット】が孤児院に大人数を率いて嫌がらせに出かけたと聞いて、有志の十人程が対抗にでたのである!」

南門に出かけた【伽藍】さんが慌てて戻ってきた


「あと一時間ほどで拠点の証拠も確認して、身柄を押さえれるのですが、ここで騒動になるのはまずいですね」

オーナーのジェラトリさんが言う、約束通り朝一番で資料を届けて、今証拠固めと捕縛部隊の準備のまっ最中らしい、


「できれば騒動を押さえて頂けませんか?資料の出所は秘密にしてありますが、騒動になれば出所を明かさねばなりません…」

そう苦い顔で言う


「わかったわっ!正体を隠して騒動を納めればいいのねっ!」

ん…なんか微妙にずれた気がするぞみどりさん


「うむ!正義のためには正体を隠すものである!」

ん?!なんかもっとずれた気がするぞ


「私も頑張ります!」

なぜか気合いが入るガーネットさん


「正体を隠した正義の味方ですか…何がいいでしょうかね?」

王子様もいつもなら俺らのズレを修正する係のはずなのに…


「あれねっ!あれしかないわっ!」

みどりさんは何かを思いついた様だった…

嫌な予感しかしない…


そして冒頭のシーンである…


(きまったのある!悪は驚きで動けないのである!)

コクコク頷くガーネットさん

(これ痛いわっ!葉が目にあたるっ!)

(だから俺みどりさんは紅好きだしレッドにすればって言ったのに)

そう呟くと

(ばかっ!マジシャンで赤はなにかとまずいのよ!)

(そうですね、その組み合わせは何かとまずいですね)

王子様とみどりさんが意見を合わせる

(これ何か間違ってるよね!絶対!)

(もう引き返せないわよっ!やっやったんだものっ!)

ええ…やらかしましたよね…


「先輩あれってアシッーグハッ!」

何か言いかけた後輩アサシン君がござるさんに肘うちされる

「誰でござる!正体不明の正義の味方でござるか!」

「だって今シャドウっていってたっーガハッ!」

「世の中には黙っておいた方がいい秘密があるでござるよ…」

ござるさん達の優しさが身にしみる…


「何者だ!お前ら!妙な格好をしおって!お前らやってしまえ!」

そういって【ガロット】が大声を上げ、背後の荒くれが構える

敵対行動で、【ガロット】の一団の表示が変わる

戦闘行動だ!騒ぎはまずい


「待ってたわっ!そこで痺れてなさいっ!【ライトニングスタン】」

みどりさんの口から広範囲のスタンスキルが飛び出す

雷撃による麻痺スキルで攻撃力はほぼ無い代わりに広範囲をスタンさせる、

綺麗な青白い稲光が何条もはしる綺麗なスキルである


「やっぱりこのスキルは綺麗ねっ!見ごたえがあるわっ!」

みどりさんは嬉しそうに笑うが、食らった方は全員痙攣しながら転がっている…


「このまま、捕縛隊がくるまで痺れててくださいね」

「うむ!では我らは去るのである!」

うなずくガーネットさん

「ではさらばである!」

そういって俺らはまた馬車に揺られて帰って行った…


「首都レンジャイ何者達でござるか…」

「えっだからアシッーーーグハッ」


そうして、孤児院は守られ、悪徳商人は捕まり、クエストは達成された










深夜の妙なテンションで書いてしまった…明日も朝から仕事なのに…

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