おべんと。
そういうわけでお昼の時間。
ミカの人生に100万回はあると自称する"一生のお願い"で、アタシたちは屋上にきていた。
勿論、姉権限をつかってユーキを連れ出して。それがミカの"一生のお願い"なので。
「やばい寒い」
「いや来る前に気づけよ!」
とかいうアタシもなんだかんだでついてきている。
廊下を歩いているときから、なんかミカがユーキにひっついてるし、あからさまに胸とか当てて、ちょっと二人きりにしといたら食われそう、とか割とガチで思ったので。
友達と母親が男の取り合いだとか、携帯小説でも有り得ない。
ちょっとガチでショタコンっぷりを見せ付けてくれるミカに思わずため息が漏れた。
まぁそんなことは置いといて、弁当を食べよう。
普段は買弁なのだけど、珍しく今日はお母さんが弁当を作ったので。
そういえば、ユーキも一緒に台所に立っていたっけ。
ぱっと見どう見ても母と息子だったけど。
開いたお弁当をみて、なんとも可愛らしいできばえにちょっと引く。
ミートボールと、ポテトサラダを、仕切りはキャベツで。卵焼きにはにんじんといんげんが入ってて彩り良く、うさぎカットのりんごがひとつ。ご飯の変わりに海苔巻きが。
いや、嬉しいけど。
嬉しいけど、なんていうか、ちょっと可愛すぎて、あの母がコレを作ったって言うのが。
思わず固まったアタシをみて、隣で弁当箱のふたを開けようとしていたユーキが。
「あ、それ僕が作ったんですよ」
にっこり。
ピシャーン!!
と電流走る。思わずミカが弁当箱のふたを閉める。
ちょっとマジ出来映えよすぎて、アタシも自分の料理とかみせたくない。
そんなアタシたちに首をかしげながら、ユーキは弁当箱のふたを上げて、ピシャーン!!と電流受けたみたいに固まった。
I LOVE YOUとピンクのハートで。典型なのはわかるけど。
他におかずが、から揚げしかないのはどうなのよ、母…
「た、たぶん、お父さんのと、間違えて…」
とユーキがLOVEに言い訳するけど、それもそれで、色々アレだ。
「…みんなで食べよっか!」
ミカの珍しくいい提案で、弁当箱を3つ並べてみんなで食べた。
今度ユーキに料理を教えてもらっておこう。あんな母みたくならないように。