ある日お父さんができまして
ありふれて。
特別じゃなくて。
当たり前。
そんなゆるーいお話です。
どうか、ゆるーくお読みください。
※この長編小説に(おそらく)完結はありません。
「ある日お父さんができまして」
「まぁーじで!え、何、親結婚した?再婚しちゃった?」
「しちゃったしちゃった。弟もできた」
ぎゃはは、と笑うミカ。金に染めた髪と、今年の夏うっかり日焼けして小麦色の肌。
アタシの一番仲のいい女子友で、ウチから高校通う道の間に彼女の家がある。
こうして一緒に登校するのが日課になるのも、自然なことで。
押入れからセーターを引っ張り出してプチ衣替えなんかして、受験なんてまだまだ先の、高校一年。
恋人も出来ないままに学園祭もおわってしまった、冬が来るちょっと前の事。
「で、それが弟?」
「うん。つっても同い年」
「は、は、はじめまして」
アタシだってそんな背が高いわけでもないのに、アタシの胸のあたりまでしかないちんちくりん。
ふわふわのくるくるのくせっ毛の、髪とか染めたりもしていない、なんってーかこうショタ坊主。
なんか女に慣れてないとかで、すぐ赤くなるのがちょっと面白い。
「ちょっと、ねぇ、カナ」
ぐいぐいとミカがセーターの袖をひっぱって、
「やばいかわいいトキメいた」
お前の趣味のがやばいから。
アタシらのだらだらとした高校生活は、こうしてだらだらはじまった。
カナと、アタシと、ユーキ。
友達と、アタシと、「お父さん」。…世間体的に、「弟」扱いだけど。
うちのクソババアがどっかからふん捕まえてきた、このショタっこを巻き込んで。