月こいし
「月を見ると思い出す」、
とかじゃなくって
染みついてるよ
ずっとここに在る
下向いて石蹴ってばかりのわたしたちが
あの光る礫だけは見上げてたなんて可笑しいね
終わりの来ない Just the Two of Us 進行にのせて
即興の鼻歌えんえんと
ふわり宙に浮かんでは消えて 次の瞬間には忘れて
もうよみがえらせられない旋律
ほんとうに終わらないと思ってたよ 怠惰な余白
金木犀の香りが夜風に溶けてた、なまぬるい日々
自分では吸わない煙草の匂い いつまでも消えなくてさ
「どうせいつかは死ぬんだから てきとうに生きたって同じ」
それがどれだけ救いになったか きみは知ってるのかな
いつか言ったね
サヨナラと愛してるは似てるって
でもたぶん
さよならと、
ありがとうも似てるね
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