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その10:不法侵入

 陽が沈んで、外はすっかり暗やみに包まれた時間帯。

 ご飯を食べて元気いっぱい!


 なお食事は食堂でとるはずなのに、ユタが部屋まで運んで来ました。

「お嬢が居ると他が食べにくいでしょ」

 との事。

 

 人を何だと思っているのかしら?

 万人に迷惑かけて歩いたりはしてないのに。

 いつもなら、目の前に師匠が居てくれるのに。

 こうなったらサクッと魔法を習得するしかない!


 いざ、敵陣へ挨拶参り!!


 の、気分でユタと2人、校舎の横を通って反対側の柵まで来ました。

 ここまでは途中に見回りが居るという事も無く、平和で静か過ぎるくらい。

 校舎は内部に防衛用の仕組みが有るようですが今回は無視。

 標的は目の前の柵の向こう、王族寮。


 まばらに植えられた木々が絶妙に重なっていて建物は見えないけど、大きめの魔力が沢山確認できるおかげで、3棟あるのが丸分かり。

 ベルベルの情報通りなら、王族寮と教員寮が横に並んでいるはず。


 ・・・どれ?


「そんでお嬢。自分は何すれば良いの?」

「ユタは、ここまでの道案内と・・・周囲の警戒または解散」

「んじゃ近くで警戒しとく。一応お嬢の護衛も兼ねてるから。早く休めるように頑張ってきて~」


 明日は授業初日。

 確かに早く寝ておきたい。


 となると問題は侵入方法。

「木を端から燃やすのと、穏便に不法侵入。どっちが良いと思う?」

「貴族なら不法侵入より先に手紙出してお伺いを立てる」

「じゃあ不法侵入で」

「まぁ、お好きにどうぞ。自分の魔法は入用で?」

「気配を殺すくらいは魔法じゃなくても出来るから平気。魔道具も騎士も位置がくっきり視えるから、避けるだけ。簡単!安全!」

「暗殺者で生きてけそうな技能・・・」


 ゼンさんほどじゃないけど私も隠密行動くらいはできる。

 昼のお茶会で魔力が全員に見えるものじゃないと知ったけど、念の為に徒歩で移動予定。


「ユタみたいに足音消したり、霧が出せたらもっと色々やれるのに」

 そうしたら毎日だって教員棟に忍び込んで、ご飯を師匠と食べられるのに。


 ・・・今は火魔法のみの縛りが在るから、そもそも他は使用禁止だった。


「お嬢が変に不器用で助かる〜」

「嬉しく無い」

「でも無駄に出力値高くて迷惑だから、もっと上手くなって欲しい」

「期待の眼差し?」

「実体験からの只の感想」


 とりあえず雑に柵越えをして。

 警備に動き無し。


「ユタ!見て!!方向感覚を狂わせる魔道具が埋まってる」


 地面に埋められた魔晶石をしっかりと感知していく!

 特殊な防御壁の1枚や2枚は在るかと思ってただけに、肩透かしも良い所。


「一応隠してあったんだろうに・・・。どれどれ、屋敷に在るのよりも、効果範囲は広そうだな」


 土を少し避けて、まずは観察。

「お屋敷のは魔法省の長官さんお手製だから、殺傷能力では勝ってる!!」

「じゃなくて、どうするよこれ。壊すか?」


 魔道具は物によっては凄く高価。

 短時間なら、動力だけ切って帰りに戻せばバレないはず。


「コレは魔晶石を外して戻すだけで・・・」

 って、何か嫌な予感。

 中央の1棟。


 特殊な防御壁!!


「真ん中、ルカさんの魔法が在る。多分あれが王族寮」

「まじ?」

「ユタを使って時間稼ぎ・・・」

「ご冗談を。相手は障壁を張るのが本職。防御だけなら、旦那様の魔法も防ぐ御仁。稼げて7秒」


 教会の大事なお仕事の1つに、国内各所に防御壁を張って維持する部門がある。


 ここ10年ほど、王都は内部からの魔法攻撃による防御壁の破壊と再生を繰り返しているのだけれども、その主犯が魔法省長官で、実行犯が師匠。

 遊び半分、責任半分で、改良と改修も担当している。


 で、現在の防御壁の要と言うか、核にあたる存在がルカさん。


 竜でも簡単には壊せない、3重の魔法障壁の外殻担当。

 聖魔法の防御系特化、本当に面倒!!


「あ、バレた」

「なんで!?お嬢何か()()でしょ」

「今回はまだ柵越えしただけ。信用が無い!」

「すまん!」

「許す。とりあえず、わたしは突貫交渉してみるから帰路よろしく!」

 バレたからには正面突破で、なんとか、なったらいいのになって。




 眼前には立派な建物を背に立つ、神官長補佐官様こと、ルカさん。

 手には魔法補助具、身の丈程の長さをした法杖を携えています。


 本気過ぎて、どうしましょうね?


「やっぱり来たか」

「やっぱり、とは?ルカさんと、待ち合わせた、記憶は、無いですけど」


 全力で、走って、来たから、息が、切れて、日ごろの運動不足が悔やまれる!!


「君なら、即日行動が一番ありそうだなって構えてただけ」

「夜風は身体に毒ですよ?わたしは、殿下に挨拶したいだけです。ここを、通して下さい!」

 あと、ちょっと質問というか疑問の解消に付き合って欲しいだけ。

 やましい事は何も無い。


「君も貴族らしく、事前に手紙の1つでも出してから出直しなよ。文面考えるのが面倒なら、明日校舎内で会うとか、学食で待ち伏せするとか。やりようはいくらでも有るだろ」

「時短です。あと、殿下の評価に変な波風を立てない為の気遣いです。」

「・・・あ~まぁ、そっか」


 勝った!

 多分、わたしの噂でも思い浮かべてくれたのだろう。

 心持ち申し訳なさそうに視線が泳いでいるので、今の内に丸め込む!!


「ルカさんは法杖まで持ち出して、ここで本格的な障壁を張るつもりなんです?」

「夜間に他人を巻き込んでまで騒ぐつもりは無いから、念の為」

 そう言ってルカさんが法杖を地面に突き立てると、半円の防御壁に閉じ込められました。

 藪蛇だった。


 軽く触れても普通の壁みたいで、魔力を込めた手で触るとちょっと痺れる。

 火で炙っても変化無し。

 

 つまり、どうあっても通す気は無い、と。


「こんなことに魔力を使って、王都の防御壁は大丈夫なんですか?」

「君の心配する事じゃない」

「ちゃんとしないと虫が入っちゃいますよ?」

「虫?」

「地元から追手が来てるんですよ」

「あぁ、それか」

 余裕そうな顔。

 ちょっと解せない。

 あと何か忘れてる気がする。


「あ!」

「どうした?」

 もう一度会ったら今度こそちゃんと答えて貰おうと思ってたの、思い出した!


「昼の質問。女性の魅力ってなんですか?」


「あ~・・・」

 少し目が泳いだ!

 精神攻撃は基本中の基本!


「無い」

「無いは無しです」

 神官と言えども人の子!

 煩悩を抱えていないはずが無い!!


「思い当たる節が無い」

「記憶の底でも良いから掘り起こして下さい!こちとら魅了魔法習得に向けて頭抱えてるんですよ!!」

「なんでだよ!他の魔法覚えろ、先に!!」

「師匠からの課題です」

「・・・は?」

 何故か声が低くなったような?


 それにしても、やっと表情は崩せたのに、それでも障壁が揺らぎもしないなんて。

 ルカさんは頭を抱えつつでも魔法操作が得意なのね・・・。


 このままだと時間がたっても状況は変わりそうにない。


 駄目元で、自分ごと燃やしてみる?

「一緒に燃やされたくなかったら・・・」

「・・・」


「魔法が使えない!?」


 手の先に集めた魔力がルカさんの魔力に覆われて、火が付かない!!


「いや、見てたら考えてる事はだいたい分かるし、対策はする」

「ルカさんは魔力見えてる人だった!!」

「君も見えるんだから同じ事が・・・いや、君は出来ないか」

「なんか哀れまれてる!?」

「いや、これから出来る、かもしれないし。頑張ってみたら?」

「励まされてる!?」


 悔しいから更に駄目元で火力上げ・・・られない。

 後方に展開・・・できない!?

 じゃあ、身体強化して拳で・・・足が固定されてる~。


「・・・ルカさん、これは流石に大人げなくないですか?」

「俺の対人戦闘スキルはハルトの所為で上がったから、恨むなら君の師匠だけにして」

「師匠を恨むだなんて、わたしにはできません!!」

「知ってる。だから今日は帰って早く寝なよ。授業楽しみじゃないの?」

「楽しみです」


 若い子たちと一緒に勉強するの、実は凄く楽しみだった。


「だからこそ殿下に、胸囲が大きい方が良いのか、確認をしておきたかったんです!!」

「殿下の評価が下がるから、絶対に表で聞くなよ?」

「そう思ったからここまで来たのに~」

「そもそもの話!こんな時間に1人で男の寝所に潜り込もうとしているのも駄目だし、質問内容は更に駄目。今日ここに居て本気で良かったと思った。さっさと帰れ!寝ろ!!」

「お断りします!!せっかく走って来たのに。もう、こうなったら最終手段~・・・?」


 これは師匠の魔法の気配!!

 懐かしの睡眠まほ、う・・・。

 

 すや~・・・。

次回、仲直りと聖女襲来。


の前に裏話、夜の訪い。


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