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その8:他の人

 今回の課題というか作戦には、事前に関係各所からの許可を得ているわけだけれども。

 レオ様の婚約者を探してまで許可を取るのは回りくどい!


 でも、もし自分が逆の立場で、何も知らなかったらと考えると・・・。


 相手の女に決闘を申し込んでるし。

 奥の手を出し切っても良いから絶対に後悔させる。


 とりあえずは聖女に惚れる前に何とかすれば良いだけなのだから、レオ様を実験台にするのは控えて、誰か他に独身で、婚約者の居ない丁度いいのを探すとしよう。


「でもでも、レオ様には悪い噂もあって!」

 おっと?クルーベルさん?


「夜の街で他の女性の腰を抱いて歩いていたとか、お気に入りの夜のお相手が居るらしいとか、実は人妻の家に通っているとかも言われてるんです!意味深じゃないですか?」

「おかげで庶民の女性たちからは、遊んで欲しいお貴族様としての人気も高くてですね・・・。せめて、子爵令嬢様のお耳には入ってないと良いのですけれど」


 つまりは浮気者・・・って事?


「カロン様の知っているレオ様って、どんな方ですか?」

 とりあえず、別方面からの情報も聞いておきたい。


「入学式でも少し触れましたが、殿下にとって友人のような方で、城へ伺う際にはよく顔を合わせておりました。護衛騎士の中で剣の腕前は中の上。護衛としては心許ない程度ですが、職務に忠実。華やかな雰囲気はあれど浮いた話のない方で、私との会話もあまりされませんでした。てっきり婚約者が居るからだと思っておりましたし、使用人からの色目にも一切靡かない方だと思っておりましたのに・・・」


 そんな堅物疑惑のある人に対して魅了魔法使わせようとしてたの!?

 

 これは、わたしの魔法の腕前を試されているのか。

 はたまた、聖女に魅了されるよりは始末をつけやすいと思われていたのか。


 託宣の内容的に、後者な気がする。


「シルヴィアさん、エヴァ伯爵の素行調査もお願いして宜しいかしら?」

「あ、はい、探ってみます」

 カロン様の目が笑って無い!

 可愛らしいお嬢さんの怒った顔、なかなか怖い。


「殿下の側に侍る騎士が不名誉な存在では困ります。必要に応じて陛下に進言しなければいけません。私兵も動かしますので、ついで程度で構いませんから、できるだけ正確な情報を掴んで頂けると助かります」


 そう言ってカロン様が扇を振ると、控えの騎士が1人薔薇園を離れて行きました。


「それにしても、庶民の方達の間で、その様に噂されている程なのに・・・。なぜ私の耳には入ってこなかったのかしら」


 豪商の耳に庶民の噂が入らないはずが無いから、情報の規制が掛かっている可能性は高そう?


「レオ様の悪い噂について。アタシの想像では、実は情報収集してるのでは、って思うんです!お酒を提供しているお店はだいたい情報の宝庫ですから、ただの女遊びっていうよりは可能性が高いと思いませんか?」

「サクレット様のお耳に入れていいのか分からないんですけれど。実は他にも、殿下の周りは情報収集に動いてそうな人が多いんですよ。今日、年分けの後に殿下と話していらした、宰相様のご令息とか伯爵家のご令息も、よく1人で下町を歩いていらっしゃるのをお見掛けします」

 殿下の周り?


「クリスト・クラウ侯爵令息とタヴォルド・オルミガ伯爵令息ですか。お2人とも昔からの殿下の御学友ですわ。タヴォルド様は伯爵家とはいえ4男。性格が貴族向きで無い方ですから、庶民街を歩いておられてもおかしくはないですが、クリスト様は筆頭侯爵家の次男。どこであろうと使用人を2人は連れていないとおかしい方です」


 ・・・なんか、標的の情報が増えた気がする。


 殿下の御学友。

 聖女に好意を抱かれると厄介そうなのは、侯爵家の次男。

 逆に何にも問題なさそうで実験台にしやすそうなのは4男の方。


 いったい何の情報を求めて庶民街をうろつているのか、ついでに調べるとして。


 4男を魅了して聞き出すのが正攻法。

 レオ様含めた全員をしばき倒して聞き出すのが邪道。


 でもちょっと引っかかるから、今回は第3の選択で。


「ベルベルは情報通なんですね!!」

「趣味みたいな物ですから!」

「お菓子屋さんなので、噂好きな女性がよく来られるんですよ」

「わたし、殿下周りの情報はカロン様から聞くまでぜんぜん知らなかったので、ベルベルの隠してる情報が知りたいです!!」


 本日2度目の師匠直伝⭐︎その2!

 両手を合わせて頬に付けて、顔をコテンと倒すポーズ!!


「『話して』」


 目指すは情報一本釣り!


『実は、黒い格好の商人から、黒髪に銀の瞳の白銀(しろがね)って名前の女性を探してるって言われてて』

『ルーベちゃんと相談して、シルヴィアさんの情報を集める為に、お2人の興味がありそうな話題で親しくなろうとしてたんです』


 ルカさんみたいな歩く魔法障壁と違って、素直な人には良く効く『お願い』。

 でも残念、無駄な情報でした。


 隠し事が他には無いみたいで、ベルベルは動かなくなってしまいました。

 

「聖女か貴族の情報が出るかと思ってたのに。まぁ、カロン様への悪意じゃないだけ良かったですけど。やっぱり、怪しい行動に関しては男性陣の口から直接聞かないと駄目そうですね」

「駄目そうって・・・。シルヴィアさん、クルーベルさんとハルベルさんに、いま何かなさいましたよね?」

「秘密です」

「魅力魔法?」

「ではないです」


 何故なら元から出来た技術の改良版だから。

 でもこれ、師匠に通用しない欠陥品で・・・。


 これが通用するなら魅了魔法の習得なんて必要が無いのに。


「質問を変えますね。後遺症などは」

「ちょっと酔います」

「知られるとまずい情報では」

「無いです。黒い格好の商人とやらは、わたしの捨てた名前を知っているので、おそらく最低限の事は分かった上で人を寄こしてます。ベルベルのくれる情報に思想誘導が混じっている気がしたので、怪しいし邪魔になる前に確認しておきたかっただけです」

 カロン様周辺にバレる分には共犯なので、文句は陛下へどうぞ。


「今後の参考までに、何を怪しいと思ったのかお聞きしても?」

「好奇心旺盛なはずの人間が、わたしの出自と他に使える魔法に対して深堀しようとしなかったのと・・・。ハルベルさんの淹れてくれたお茶の中に、この地方では育たない、流通もしていないはずの花の香りがしたので、怪しいなって」


 違う物かも知れないけど、おばばが自白剤として使用してた物だから、どっかの貴族が裏で手を回したのかなって思ったんですけど。

 黒い商人が渡した可能性が高いので、聖女とは無関係そう。


「紅茶の事は、私は飲んでおりませんので何とも言えませんが。一般的には、知り合ったばかりの相手に対して、情報開示ばかりを求める様なまねは致しません。失礼に値する可能性が高いですから」

「でも、師匠の客人達は、わたしの事を根掘り葉掘り聞き出そうとする人ばかりでしたよ?」

「シルヴィアさんの出自を知っている人間かつ、彼の方の知り合いともなれば、取り調べと監視の意味が強かったのだと思われます」

「つまり・・・」


「わたしは今回、要らないことをしたのでは?」


 周囲からジトっとした視線を感じます。

次回、案内人。

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