表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/17

その7:レオ様について

 カロン様はわたしの横。

 使用人の方が引いた席へと静かに腰を下ろしつつ、視線だけで新しいお湯を用意させる様子はまさに貴族。

 さっきまでは居なかった給仕の人や、護衛騎士がそこここから湧いてきて、場の緊張感が増した気がします。


 この国の要人は、1人になれる瞬間あるのかしら?

 なんて考えていたら、クルーベルさんが無謀にも直談判を始めました。


「サクレット様の権限で王族寮の観察とか出来ませんか!?」


 この方、本当に庶民なの!?

 わたしもとっても気になるけど!

 でも、知り合ったばかりの王族の婚約者にこのお願いって不敬なのでは?

 周りの使用人さんたちの心の温度も確実に下がってる気がする。


 逆に、庶民だからこその図々しさなの?

 この国では何か文化が違うの!?


 あ、いや、ハルベルさんの顔が真っ青になっているので、単にクルーベルさんが変なだけみたい。

 

「残念ですが不可能です。お待たせしてしまった事は申し訳ありません。ですが、王族寮に入れるのは王族と使用人、護衛騎士までと決まっておりますの。警備上、私もこれ以上の事は知りませんし、入る事も原則的に出来ません」


 殿下の婚約者であるカロン様でも侵入不可って事!?


「せっかく王子様が同年代に居るのに、寮の外見を観察するだけとかも駄目ですか?」

「ルーベちゃん!!王族の方は流石に怒らせたらまずいよ?同じ学年で我慢しよう?」

「っ敷地内への、不法侵入は、私でも、庇いきれませんから、っふ、本当にお止めくださいね?」

 しっかり止めつつもあまり怒ってないどころか、ちょっとカロン様笑ってませんか?


 でもバレたら本当に面倒な事になりそうな予感。

 とりあえず、今晩はひとりで潜ってみましょう。


「じゃあ代わりに、シルヴィアさんが他人の魔力が見えてるのか?っていうのと、カロン様との関係くらいは聞きたいです!!あとあと!できれば魔法伯との関係も!!」

「私も、サクレット様とシルヴィアさんのお話をお聞きしたいです!」


 どうやら話題転換したい様子なので乗っかります。

「わたしは騎士様について詳しく知りたいです!!」

 お茶に誘ったきっかけ。忘れそうだから!

 むしろ何とか思い出したから!


「あとわたしの返答として魔力は見えてます」

「やっぱり見えるの!」

「凄い!どんな感じなんですか!?」

 なんでこんなに驚かれるのでしょうか?

「むしろベルベルは見えて無いんですか?」

 師匠がまず教えてくれたのが、意識して魔力を見る事だったので基礎中の基礎だと思うのだけれど。


「魔力を見るというのは一般的な能力では無いんですよ。だから、可視化する為の専用の魔道具が存在します。『魔力量が多い者が稀に他人の魔力を見る事が出来る』と、魔法省の長官が論文を書いておられますから、それだけシルヴィアさんの魔力保有量が多い証明でもあります」


 可視化する為の魔道具。

 言われてみればその通りで、魔晶石の実用性凄い!!


「ちなみにカロン様は、見えてる人・・・」

「ではありません。知識がありましたので、シルヴィアさんには見えているのだろうと判断して接しておりましたわ」


 何という事でしょう。

 ずっと見えておられる物だと思ってました。


「私とシルヴィアさんの関係については、陛下から直接、学院内での手助けをして欲しいと頼まれているのです。シルヴィアさんは御覧の通り一般的な知識が不足しておられますが、この国にとって有益な人材ですから、他に行かれてしまっては損でしょう?」


 嘘は言ってない。

 けど本質は濁してる気がする。


「年分けの時の魔力量、凄かったですもんね」

「後ろの方まで炎が来て、正直ちょっと怖かったです」

 ハルベルさんに怖がられてる!?

 これは謝るべき??


「ちなみに魔法伯様は、ただの顔見知りです」

 師匠とカロン様の距離はもっと開いて良いです。


「レオ様についてはサクレット様も知りたいんでしたっけ?物理的に仕留めるとか話してましたよね?」

「興味があるだけで、物理的に仕留めるとは言っておりませんわ」

「わたしは魔法の練習台になって欲しいだけです」

「「・・・丸焼き?」」

「物理的かもしれません」


「火魔法じゃなくて!別のです!!」

 焼いたら大惨事になってしまう!

 無駄な殺生、駄目!絶対!


「「他にも魔法が使えるんですか!?」」

「多属性も珍しいんですか?」

 結構、混じってる人ばかりなのに?


「2属性以上を扱える人は多くありません。その理由として、まずは可能性に気が付いていないという事が挙げられます。地方の魔道具では精度が欠ける為ですが、今日使用した魔晶石でも、観測者の力量次第で判断が付かないこともある為です。また、10歳の時と大人になってからとで変化する人も確認されている為、まだまだ研究中の分野でもあります」

「魔法の可視化に繋がってくる話ですね」

「サクレット様、先生みたいですね!」

「王様、納得の人選!!」

 魔法についてもまだ知らない事があったなんて・・・。

 師匠の所有する魔導書は応用編ばかりだったのかも。


「てっきり皆さん、1つだけ極めたいとか、隠してるだけだと思ってました」

「隠している方も居ますよ。見える方にはあまり効果が無い気がいたしますので、シルヴィアさんは困惑するだけかもしれませんが。」

 なるほど。

 隠してるものを無意識に暴いてしまうのは、ある気がします。


「あとは純粋に魔力不足からくる鍛錬不足です」

「・・・回復薬は不味いしお高いですもんね」

 ハルベルさんの呟きに、その場に居た全員が思わず頷いてしまいます。


 師匠のお手製しか飲んだことがないので値段は分からないけど、おばばの薬湯より不味い飲み物が在ると知ったときの衝撃たるや・・・。

 目の前に星が散って、2日も味覚が狂うとは思わなかった。

 見た目が透明でただの水としか思えないのに、苦味とえぐみの後に来る濃厚な甘味と酸味がもう、本当に。

 あれは本当に酷い。

 師匠のお手製じゃなかったら飲んでまで修行しなかった。


 そもそも魔力の使い過ぎは、それだけで頭痛と吐き気が酷い。

 望んで魔力欠乏になりたい人間は居ないと思う。


「でもまたなんで、殿下の護衛騎士を魔法の練習台にしたいんですか?」

「えっと?」

 何の話かと思ったら、レオ様について聞いてる最中でした。

 

 魅力魔法習得の為の貴重な実験台として、レオ様にもう少し興味を持たないと駄目かしら。

 とはいえ、クルーベルさんの疑問に何処まで答えて良いものか。

 後になってベルベルの口を塞ぐ、なんて作業は避けたいから。


「とりあえず陛下の許可は得てます」

 ここはひとつ、権力によるごり押しで納得してもらいましょう。


「王様の後ろ盾・・・、実は、監査目的とか?」

「あんまり聞いちゃいけない事かも?」

「そういう事にしておいて下さい」


 カロン様が一線引いてる内は、わたしは話さない方が無難なはず。

 これ以上の失態は避けたい!


「じゃあ無難なところから。王家近衛騎士、レオナルド・エヴァ伯爵。通称レオ様は、城下でも目撃例が多く、庶民にも笑顔で接してくれる為に凄く人気の高い騎士様なんです。婚約者の子爵令嬢がこの学院を卒業予定らしくて、すぐに結婚するんじゃって噂が立ってます」

「凄く仲良しで、私の実家のお店にもよく連れだっていらっしゃるんですよ!」


 婚約者がいらっしゃるの!?

次回、他の人。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ