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2025/6/16 修正しました。
ことの始まりは半年前、いつものように学園に行くと、婚約者が最近転校してきた方と仲睦まじく目の前を歩いていた。声をかけようか迷ったが、二人の後ろ姿が幸せオーラで溢れていたので、何もすることが出来なかった。
元々親同士が決めた、婚約の為、愛はなかった、それでも関係は悪くなかったと思う、何もないところからでも育んでいくものだと思っていた。
だからこそ婚約してからのお茶会やデートはお互いを知っていく為のふれあいだと。
だけどそう思っていたのは私だけだったようです、婚約者様はこの関係に嫌気がさしてしまったのかもしれない。
親の言いなりになんかなりたくないと。
そんなことを言ってもどうにもならないのは、お互いに理解していると思っていましたが、婚約者様はお分かりになられていなかったようです。
何か吹っ切れた私の行動は早かった、父に頼み婚約破棄の手続きを着々と進め、定期的に開いていたお茶会やデートは、義務的なものだったので全てお断りをした。
もちろん学園などで彼らに会わないように細心の注意を払い、友人などに協力してもらいました。
大変でした。ここまで来るのに三ヶ月かかってしまいました。
「ふー、これぐらいやれば何かあった時にも大丈夫でしょうか」
優雅なティータイムはいつぶりだろうか。
三ヶ月前、婚約者と転校生の後ろ姿を見てから、私の行動の速さに周りは驚きを隠しきれなかった。私の侍女もその一人
「お嬢様、ここまでやる必要ありますか?」
「ベネット、必要はないかもしれませんが。何が起こるかわからないではないですか。
あのまま私がなにもせずにいたら三ヶ月後に開かれる学園のパーティーで私が婚約破棄されて、
かの女性をいじめていたとか、言われそうですしね」
私の答えにベネットはため息をついた
「お嬢様、本の読み過ぎです。
そんな事が頻繁にあったら、この国は滅びています」
ベネットは新しくお茶を入れ替えながらため息混じりにいった
「それに、お嬢様はこれでもこの国の中枢を担う公爵家の娘なのですよ。そのような場で簡単に婚約破棄などさせられては・・」
「学園のパーティーです、立場など関係ありません。どんなに身分が高いかは婚約者様に関係ありません。かの女性に惚れた、大きな場でならどうにかできないだろうかと考えてしまうものです」
ベネットは「そうですか」と少し呆れ気味に返した。
そこへ入ってきたのが、私のわがままを今回叶えてくれたお父様だった。
「それでセレスはそのパーティーで何をするのか、父様は何も聞いていないが、聞かせてもらえるのだろうか」
突然の父の訪問に驚き立ち上がりそうになる。
「お父様、女性のいる部屋に入る時はノックをして下さい」
頭をぽりぽりと掻きながら「すまないね」と私の前の席に座った。
「で、どうするんだ。お前が言ってるパーティーは三ヶ月後、今もまだ婚約者からドレスも送られてきていない。どうしてそこまでするのか聞かせてもらえるかな。父様も今回のこと、見過ごすことができないのは、わかっているね」
ベネットに出されたお茶を飲みながらニコニコと訊ねる。口調と話しの内容が全然あっていないのが怖いです、父様
「・・・ドレスはお父様に頂いた最高のものがあるじゃないですか。私はあのドレスが着たいです。
今回のことは声が聞こえたのです。声が、言うのです「気をつけて」と、私はその声に従ったまでです。それだけではわからなかったありとあらゆることに備えたまでです。
動いたのは主にベネットですが」
いきなり話をふられてしまったベネットは驚いて私を見たがため息をひとつついて「そうですね」と少し疲れた表情を見せた。と言っても私のわがままは、いつものこと、驚きはするけれども家族は声はあげない。父様だってそうだ。
「で、パーティーまであと三ヶ月準備はできているのか。三ヶ月おまえが寝る間も惜しんで準備をした計画はどうなったのだ」
父様は私を見据えて鋭い顔をした。私はにっこりと笑顔を作り
「それに関しては抜かりなく、この私が自ら指揮をとって準備したのですよ。予測不可能な者も何人がいますが、どうにかなるでしょう。
まあ、致命的なことをしてくれたら、嬉しい誤算になる可能性もあるかもしれませんがね。
いまだに婚約関係が続いていると信じているおバカな元婚約者様には申し訳ございませんが」
まだ何か、引っかかりがありますが、私ができることは、すべてやりました。
あとは本番を待つのみです。
父様は私の顔を見据えて頷いた
「そうかわかった。では、三ヶ月後楽しみにしている」
父様は納得したようにそう言うと立ち上がり部屋を出ていった。
私は座ったままお辞儀をして父様を見送った。
準備はできたので、あとは役者次第です。
パーティーまであと少し、楽しい楽しいパーティーの始まりよ。
初めましてツグです
初投稿になります
誤字脱字などあると思いますがよろしくお願いします