第一章第四話「両親からのメッセージその2」
希の母彩からのメッセージ場面です。
母・彩は、ロボット工学士である。その母からのメッセージは、おそらく『守』の使い方に関するものだろうと思った。
「希、貴方を守るため、そしてコールドスリープから安全に目覚めるために作ったのが『守』だ。まず、メンテナンスについてだが、オートメンテナンス機能が搭載されているから、その点について心配する必要はないわ。」
なるほど、オートメンテナンスがあれば、知識がない私でも問題なく使えそうだ。
「次に食事についてだけど、基本的に『守』は水をエネルギー源としているの。だから、たまに水を与えてあげて。背中に給水メーターがついているから、それを見て水を与えれば大丈夫よ。」
ふむ、なるほど。水がエネルギー源なんだ。これなら私にもできそう。
「それから、『守』には感情を調教して仕込んであるから、甘えたい時は遠慮せず甘えてもいいのよ。」
なるほど。だから、これまでの『守』の行動がまるで人間のようだったんだ。母さんが感情を仕込んでいたからなんだね。
私は少し納得した。
「最後に、『守』にはメモリー機能があるわ。希が眠っている間の出来事を記録するように設定しているから、お爺様の館に行く前にその記憶を聞いてみて。」
守には記憶機能があるのか、わかったよ。
その後、場面が切り替わり、父のメッセージが始まった。
「最後に、希が生まれる前に見た予知夢がある。朝、貴方の娘が生まれる。その名は『希』にしなさい。」
父は少し間をおいてから続けた。
「私が見た予知夢の中で一番鮮明に覚えているものだ。だから、きっと『希』の名前には何か意味があるんだろう。」
その時、両親は揃って画面に映っていた。
「希、生きろ。」
「希なら大丈夫、きっと上手くいくよ。」
父と母が力強く言った。
「もう時間がない。守、命懸けで希を導いてくれ。」
プツン。
そして、メッセージは終わった。
第一章はここまで、次からは、二章です。




